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【第1回】
レジストリとは何か?
レジストリのもつ本来の役割を知っておこう
(02/06/03)
Windowsで動くソフトには、レジストリを利用するものが多数存在します。また、レジストリを編集することを専門に作られたソフトも存在します。読者のみなさんはレジストリと聞いたとき、まず何を思い浮かべるでしょうか? 「レジストリって何?」とか、「レジストリは危険だ!」とか、「レジストリを編集すれば何でもできる」とかいったことを思い浮かべませんか?
レジストリとは一体何なのでしょう? この連載ではレジストリ初心者のみなさんを対象に、全12回にわたって、「レジストリとは何なのか」、「レジストリの何が危険なのか」を取り上げ、「レジストリを編集すると何ができるのか」を解説し、「実際にレジストリの編集に挑戦する」中で、レジストリを理解して行こうと思います。
データの保存は特殊な働き
プログラミングの経験がある方ならお分かりかと思いますが、プログラムというのは、起動から終了までの間しか、メモリの内容を保持しておくことができません。つまり、1回のプログラムの実行によって得られた情報を、2回目のプログラムの実行時に参照するということは、直接的にはできないのです。
これは、例えばパソコンにインストールされているワープロソフトで文章を作った後、文章を保存せずにパソコンの電源を切ると、再びパソコンの電源を入れたとき、前に作った文章は消えているということを表しています。しかし前回作った文章が保存されていれば、2回目にワープロソフトを開いたときにも前回の文章は利用できます。このことは、背後の特殊な働きによって実現されています。
レジストリとは何か?
ではこの“背後の特殊な働き”について考えてみましょう。ワープロソフトで作った文章の場合、文章データはそのままハードディスクやフロッピーディスクなどの外部記憶装置に保存することができます。外部記憶装置は、その保存した内容をパソコンの電源を切っても保持することが可能で、これが「背後の特殊な働き」となり、2回目の起動時にも文章が引き続き使える仕組みを実現しています。
さて、保存したいデータは文章だけではありません。例えば、“1行に何文字までの入力を許可するか”などといったワープロ自身の設定データも保存したいはずです。
ここで問題が起きます。なぜならハードディスクというのは、細かいデータの保存には向いていないのです。ハードディスクは、セクターと呼ばれる「箱」がたくさん集まってできています。大きいファイルは、ファイルをいくつかに分けてたくさんの「箱」を使って保存し、小さいファイルは1つの「箱」の一部だけを使って保存するといった具合です。ところがこの箱は、1つの箱に2つ以上のファイルを入れることができない仕組みになっています。とても小さなファイルがたくさんあった場合も、「1つのファイル」=「1つの箱」という使い方しかできないので、小さいファイルを入れたためにあまってしまった「1つの箱の残った部分」は「使われない部分」となります。「使われない部分」が蓄積されれば、ハードディスクは無駄使いされてしまうことになります。
もし、ここで「小さなたくさんのファイル」を「1つの大きなファイル」にまとめることができたら、使われていないあまった部分も使われるようになり、使われていない部分が減少し、無駄使いは発生しなくなります。つまり、Windowsにインストールされている数々のソフトの設定データは、「大量の小さなファイルとして保存する」よりも、「大きな1つのファイルにまとめて保存」したほうが、ハードディスクを有効に利用することができるわけです。
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ハードディスクへのファイル保存 |
そしてWindows上で利用されている設定データは、Windowsにインストールされているソフトだけでなく、Windowsの動作を決定する重要な情報など、Windows自身の設定データや、Windosが利用する周辺機器の情報、Windowsがそれら周辺機器を利用するためのデバイスドライバーなどの情報もあります。これらのWindows上で利用される各種設定データを1つにまとめたもののことを「レジストリ」といいます。レジストリは、ハードディスクのムダ使いをなくすために様々なソフトやハードのもつ設定情報を1つにまとめたデータベースなのです。
レジストリを1つのデータベースとしてまとめたほうがよい理由はいくつかありますが、上の理由は主にWindows 95/98/Meのものです。ここでは取り上げませんが、レジストリはほかにも様々な理由から1つのファイルとして一元管理されています。
さて、今回は「レジストリとは何か?」ということで、レジストリの存在理由と、レジストリが一元管理されていることを述べました。ところが「レジストリは危険なものだ」という意見も聞かれます。次回は「レジストリは危険」とは一体どういうことなのか、ということを述べたいと思います。
(矢吹 拓也)