さて、今回は番外編と題しまして、「窓の手」の作者、猪川 正巳氏にレジストリについてお話をうかがいました。私も「いじくるツール」というソフトを作っていますから、同じ“レジストリカスタマイズ系ツール”の作者同士、レジストリについていろいろとお話することができ、うれしく思っています。また、みなさんにとっても興味のあるお話を聞くことができたのではないかと感じています。
猪川: |
私たちの作っている“レジストリカスタマイズ系ツール”に関していえば、マイクロソフトが使用する設定値の場所を変更したり、その設定値を読みに行かないように変更されてしまうと、使えなくなる…。はかない夢という感じがします。 |
矢吹: |
たしかに、私たちが作っているような“レジストリカスタマイズ系ツール”は、全く新しいWindowsが出て、Windowsの設定とレジストリの対応関係が変わってしまえば、それに合わせて全部作り替えないといけないですからね。今でさえ、同じことをしたいだけなのに、Windowsのバージョンが変わっただけで、レジストリの編集箇所が異なってしまうことがありますし。 |
猪川: |
「Internet Explorer」をバージョンアップしただけでも起きますね。 |
矢吹: |
以前、「Internet Explorer」のタイトルが保存されているレジストリの位置が、突然、“HKEY_LOCAL_MACHINE(マシン全体の設定が保存されているレジストリキー)”から“HKEY_CURRENT_USER(ユーザー固有の設定が保存されているレジストリキー)”に変わっていたという現象に遭遇したことがありました。こういうことを考えると、僕たちの作っているソフトは、かなりWindowsに依存したプログラムということになりますね。 そういえば、「窓の手」はWindows XP版を独立させたようですが、これもやはり環境の変化への対応ですか? |
猪川: |
そうですね。Windows XPでは、レジストリの設定がだいぶ変わってしまいましたからね。これからも統合はせず、ずっと別ソフトとして公開して行くつもりです。 もともとは全部一緒にしていましたが、Windows XPは、これまでのWindowsとあまりにもかけ離れてしまいました。また今までWindows上からは変更できなかった設定でも、Windows XPの標準機能で設定できてしまうものが多くなってしまったんです。 Windows XP自身で最初から設定できるものは、Windows XPで設定するという発想のもと、「窓の手 for Windows XP」ではいろいろな機能を削りました。そうしたら、機能の数がずいぶん少なくなってしまって、これならいっそのこと別ソフトとして独立させよう、と考えたんです。基本的には、Windowsが標準でできないことを、「レジストリエディタ」を使わなくても使えるようにするというのが「窓の手」の役割なので。 |
矢吹: |
その削られた機能の分だけ、別の機能を追加するということになりますか? |
猪川: |
そうですね。要望や情報があればですけれど。 |
矢吹: |
そうですよね。ほしい機能があると要望されたときに、それを実現するために、レジストリのどこを操作すればいいのか、そもそもレジストリの操作で実現できるのかといった情報が必要になりますからね。 |
猪川: |
ほしい機能の要望がメールで寄せられたとき、5通のうち1通くらいは、それに対応するレジストリがあるんですが、残り4通くらいはレジストリでは実現できなかったり、常駐するプログラムを新しく作らなければならなかったりします。 プログラマーとしての僕のポリシーは、ソフトを常駐させないということですので、そういう機能は作りたくないというのが本音です。ただ、自分でも、新しいOS、Windows XPのレジストリについて、もっと調べていかなくてはと思ってはいるんです。 |