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いじくるレジストリ

【第2回】

レジストリの危険性

レジストリが危険といわれる本当の理由とは?

(02/06/06)

 「レジストリが危険なのは知ってる!」という方もいるかもしれませんが、では具体的に何がどう危険なのかをいえる人はそう多くないのではないかと思います。今回は、レジストリの何が危険なのかを具体的に検討し、それぞれの対策や対処法を考えることによって、レジストリに対する理解を深めていくことにしましょう。

レジストリが壊れるとどうなるのか?

 「レジストリが危険」といわれる一番の大きな原因は、「壊れた場合に被害が大きくなる」ことがあるからです。第1回でも述べましたが、レジストリは、WindowsやWindows上のソフトやハードの設定が「まとめて」管理されているものです。大きなファイルですので一度にすべてが壊れてしまうことはほとんどありませんが、一部分だけが壊れてしまうことはあり得ます。そして、大きなファイルのどこが壊れてしまうかは予想もできません。

 さて、レジストリが壊れてしまうと、一体どうなってしまうのでしょうか? レジストリにどんな情報が入っているのか、という視点から見ていくことにしましょう。

 レジストリには、Windows上で動くソフトやハードと、Windows自身の設定が保存されています。このことから、レジストリの壊れた箇所に保存されていた設定データを利用しているソフトやハード、またはWindows自身が正常に動作しなくなる可能性があることがわかります。どんなソフトやハード、Windowsの機能が使えなくなるのかは、ときと場合によりますが、最悪の場合、Windowsが起動しなくなるという事態も起こり得ます。Windowsが起動しなくなるということは、すなわちパソコンが使い物にならなくなるということです。

レジストリはどういうときに壊れるのか?

1.ユーザーが誤ってレジストリを編集してしまうことによって発生する人為的ミス

 「レジストリエディタ」を一度でも開いたことのある人なら分かると思いますが、レジストリはとても複雑な構造になっています。たくさんの設定データが記録されていて、人間が見ても何が書いてあるのかよく分かりません。なぜこんなに複雑かというと、本来レジストリは、ソフトが扱うものだからです。元々ソフトは、こういう複雑なデータを扱う処理は得意ですし、ソフトはプログラマーの意志を忠実にこなすように作られていますから、ソフトがレジストリを扱えば、まず間違いは起きません。プログラマーは専門の知識をもっていますから、レジストリの扱い方もよく知っているわけです。しかし、何も知らない初心者ユーザーがレジストリを操作すると、必要な情報が一部改変されたり、削除されたりして、レジストリの一部が壊れてしまうかもしれません。

 したがって、レジストリを壊さないための一番の対策は、“レジストリに対する正しい知識がない状態で、不用意に「レジストリエディタ」を起動しないこと”だといえます。また、どうしても「レジストリエディタ」を使わなければならない場合は、事前にレジストリのバックアップデータを作っておくとよいでしょう。こうしておけば、もしレジストリを壊してしまったとしても、事前に作成したレジストリのバックアップデータを利用して、Windowsが正常に動作していたときの状態に戻すことができます。

2.OSがたまたま不安定になってしまって、レジストリが破壊されてしまう

 OSが不安定になる現象は、大抵のWindowsユーザーなら経験したことがあると思います。なんだか分からないけれどWindowsがうまく動作しなくなり、最悪の場合はそのまま操作を受け付けてくれなくなります。

 OSが不安定になるのは、Windows上で動作している何らかのプログラムが暴走してしまうことが原因の1つで、この場合、暴走したプログラムがマウスやキーボードの入力を担当しているプログラムに影響を及ぼすことで、操作不能になってしまうのです。しかも、このようなプログラムの暴走の場合、レジストリを管理するプログラムやそのデータまで壊されてしまう場合があり、こういったこともレジストリが壊れる一因となります。

 したがって、初心者はOSの動作を不安定にさせることが分かっているソフトや、作者によって開発途上ということが示され動作が不安定な可能性のあるソフト(一般に、α版とかβ版と呼ばれる)は、なるべく利用しないようにするとよいでしょう。また、WindowsはマルチタスクOSといわれ、一度に複数のソフトを動作させられるといわれてはいますが、たくさんのソフトを起動しすぎるとメモリ不足などの原因でWindowsの動作が不安定になることがありますから、あまり多く起動しすぎないようにも心がけましょう。しかし、このような心がけをしてもOSが不安定になることは度々ありますから、やはり日頃からレジストリのバックアップデータを作っておくことが一番の対策だと思います。

3.ハードディスクの故障でレジストリが破損してしまう

 また、ハードディスクが故障してしまうこともあります。第1回で、レジストリは設定データを「まとめて」保存したものだという話をしましたが、ハードディスク内のレジストリが保存されている箇所が破損してしまった場合も、当然レジストリが壊れる原因になります。

 ハードディスクの故障は、パソコンの使用年数や使用頻度にもよりますが、やはりいつ起きるか分からないものです。したがって、日頃からレジストリや重要なデータのバックアップデータを、作っておくように心がけましょう。

4.レジストリを悪用するウイルスの侵入

 Windows上で動作するソフトがレジストリをよく使う理由の1つとして、プログラマーがプログラムしやすいということが挙げられます。このことは、まじめなプログラマーにとっては便利なことですが、ウイルスプログラムを作成している人にとっても同様にプログラムしやすいということになります。さらにこのことを悪用すれば「レジストリを壊すことによってパソコンを動かなくするウイルス」を作ることもできます。

 こういったウイルスは、社内や友人間でのフロッピーディスクやCD-ROMのやりとりや、インターネットやメールを通じて、簡単に私たちのパソコンに侵入してきます。ウイルスに感染した場合は、最悪の場合パソコンが動かなくなることもありますから、ウイルス感染予防のためにウイルス対策ソフトを常備し、常に動作させておくとよいでしょう。

 さて、今回はレジストリの本当の危険性と、レジストリが壊れた場合にどうなるか、壊れるのはどんなときなのかを分かりやすく述べてみました。「レジストリってこんなに簡単に壊れてしまうものなのか」と、不安になった方もいるかもしれません。しかし同時に、レジストリが壊れてしまう各原因について、対策が取れることも分かったと思います。特に、レジストリのバックアップデータを作成しておき、それを書き戻してWindowsを元の状態にする「復元」は、レジストリが壊れてしまった場合に対処できる、とても有効な方法です。次回は、レジストリのバックアップの方法について述べていきたいと思います。

(矢吹 拓也)

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第2回:レジストリの危険性(02/06/06)

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