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【第6回】
「CORUM ONLINE」シンプルなシステムと高い自由度が魅力の正当派MMORPG
(04/09/24)
“βテスト”とは、開発中のゲームを一般のユーザーにプレイしてもらい、最終的な動作検証や不具合の発見・修正などを行うもの。現在では、正式サービス開始前に無料でβテストを行うのが一般的となり、タイトル数も増加している。 そこで、MMORPGをはじめとしたβテストを実施しているタイトルの増加に伴い、毎月最終金曜日は現在βテストを実施しているゲームを“週末ゲーム”の特別版“βテスター”として紹介する。話題のゲームや独自に注目しているゲームのβテストに参加し、ゲームの内容やテスター独自の視点で感じたことなどを報告していこう。 今回紹介する「CORUM ONLINE」は、中世時代をモチーフにした“コルム大陸”で、野心を胸に成り上がろうとする人々に扮して冒険を楽しむMMORPG。ダンジョンの探索や武器作成、他のプレイヤーとの対決など、冒険を自由に楽しむのが目的となっており、ダンジョンのボスを倒したり、ある町の誰かにアイテムを届けるといった、プレイヤーの行動を制限するクエストを採用していないのが特長。ゲーム内で目的を示されることがないので、あるときは武器作成に熱中し、あるときはダンジョン内でレベルアップに努めるなど、プレイヤーの思いのままに冒険を楽しむことができるだろう。 本作品のβテストは2004年1月に始まり、7月からはユーザーの意見などを取り入れて大幅にバージョンアップした第2次βテストが行われている。“○×クイズ”の開催やプレイヤーが企画したイベントを募集するなど、運営側の積極的な活動もあり、プレイヤーはその時どきで、自分のやりたいことを楽しんでいるようだ。ゲームは主にダンジョン散策がメインとなるが、指定された時間に一部のダンジョンの占有権を巡ってプレイヤー同士が争う攻城戦が始まると、多数のプレイヤーが参加していつもお祭り騒ぎのような雰囲気のなかで楽しめる。
職業はプレイスタイルを決める大事なステップ
プレイヤーの分身となるキャラクターは、“ファイター”“レンジャー”“ソーサレス”“プリースト”“サマナー”の5種類の職業をもとに作成する。“ファイター”は体力と攻撃力が高く、剣で敵に大ダメージを与えたり、剣を投げて周囲の敵を攻撃できる特殊能力の“スキル”を使用できるので、モンスターと正面から戦うことを得意としている。“レンジャー”は、“ファイター”より体力と攻撃力が劣るものの命中率や回避率が高いため、敵の攻撃を避けながら自分の攻撃を確実に命中できるのが特長だ。“ソーサレス”は、遠距離から炎、雷、氷などで敵を攻撃する“スキル”を使いこなす。“プリースト”は味方の体力を回復させたり、戦闘力を向上させるといった補助系の“スキル”を扱うことで他のプレイヤーを支援する。そして“サマナー”は、“エレメンタル”と呼ばれる特殊な生物を召還して敵と戦わせることができる職業だ。おおまかに分けて“ファイター”“レンジャー”が接近戦主体、“ソーサレス”“プリースト”“サマナー”が遠距離戦主体となっているので、自分の好みやプレイスタイルに合わせて選択するとよいだろう。 職業選択後は、キャラクターの名前や髪型のほか、ゲーム開始時に拠点となる村を“ルディロス”か“イダー”の2つから選択する。拠点となる村に関しては、ゲームをある程度進めると両方の村を行き来できるため、自分の好みで選択しても構わないだろう。とはいえ、他のプレイヤーと一緒にゲームを楽しんだり、アドバイスをもらいたいときなどは、村の周囲に配置された“初心者ダンジョン”の数やプレイヤーの数が多い“イダー”を選択しておくとよいかもしれない。
目的を見つけるのが最初の目的?先ほども述べたが本作には、基本的な操作の解説を目的としたチュートリアルのようなイベントや、一般的なMMORPGのように攻略しなければならないシナリオ、依頼をこなすことで報酬を受け取るクエストや、プレイヤーの行動範囲を広げたりするクエストなどは存在しない。つまり、しなければならない事柄や、何かをしなければ先に進めないということはなく、いつでもプレイヤーのやりたいことが好きなようにできる。よって、ゲームを始めたばかりのプレイヤーにとっては、まず自分が何をしたらいいのか、その目的を決めることが必要となるだろう。
初めてコルム大陸に降り立つと、移動などの操作方法がウィンドウ表示されるので、ウィンドウ内に表示された内容を確認しながら操作を覚えていこう。ちなみに、移動先の指定やコンピューターキャラクター(Non Player Character、以下NPC)との会話、モンスターへの攻撃といった操作は、マウスの左クリックのみで行うことが可能。“スキル”を使う場合は、あらかじめマウスの左右ボタンそれぞれに使用する“スキル”の内容を設定しておき、対象となるモンスターやキャラクターにカーソルを合わせて左または右クリックして発動する。また、キャラクターの所持品やステータス、習得した“スキル”は、画面左下の[Item][Char][Skill]タブをクリックすることで、それぞれの内容を確認することが可能だ。
“初心者ダンジョン”でキャラクターを育てようプレイを始めてからレベルが30程度になるまでは、転送された村が“ルディロス”の場合は“キランド”や“チェシュカ”、“イダー”の場合は“イシュタニ”や“エドラス”といった、“初心者ダンジョン”内でモンスターを倒しつつ、キャラクターを成長させよう。
ダンジョン内での戦闘は、徘徊するモンスターをクリックすると攻撃を行うことが可能。ただし戦闘はリアルタイムで進行するため、複数の敵に囲まれて攻撃を受けたり背後から攻撃される場合もある。あらかじめ村で移動などの操作を練習して、敵の奇襲を回避できるようにしておくとよいだろう。 本作品は、モンスターにダメージを与えると得られる経験値を規定値まで上げることで、キャラクターがレベルアップするシステムを採用している。レベルアップ時には、キャラクターの能力を上げることができる“ステータスポイント”と新しい“スキル”を習得するために必要な“スキルポイント”を獲得可能。“ステータスポイント”は、武器使用時の攻撃力を示す“STR”、体力の最大値を上げる“VIT”、攻撃の命中率と回避率を示す“DEX”、“スキル”使用時に消費する“SP”の最大値を上げる“INT”、そして一時的にキャラクターの能力を上昇させる“オーバードライブ”という“スキル”を使用したときの攻撃力などを示す“EGO”の5つのなかから任意の能力を上昇させることが可能だ。 この際、各ステータスのレベルはバランスよく上げるよりも、特定のステータスのみを集中的に上げて職業の長所が活かせるようにした方が楽に冒険を進められるだろう。たとえば、武器による接近攻撃がメインの“ファイター”は攻撃力を上げる“STR”、“レンジャー”は命中率を上げる“DEX”、“ソーサレス”“プリースト”“サマナー”であれば魔法による攻撃が中心なので“INT”を中心に育てるのがオススメである。また“スキルポイント”は、ステータスと同じく多くの“スキル”をまんべんなく覚えるのではなく、たとえば“ソーサレス”であれば炎、雷、氷のいずれか1つといった具合に特定の“スキル”を重点的に強化して、特長あるキャラクターに育て上げると、他の職業のプレイヤーとパーティーを組んだときに欠点を補うなど、さまざまな場面で重宝される存在となるだろう。 “初心者ダンジョン”でモンスターを倒していると、“修練の剣”“修練の盾”“修練の兜”“修練の手袋”“修練の靴”といった装備品を入手できる場合がある。これらの装備品は、攻撃力や防御力といった基本的な性能は低いものの、キャラクターの移動速度や“SP”上昇といった追加効果があり、満足な装備品を揃えることができない序盤ではかなり役立つ。まずは、これら装備の収集を当面の目標にしてみるのもよいかもしれない。 さらに、“修練”に比べると確率は低いが、“初心者ダンジョン”に出没する多くのモンスターから“セットアイテム”と呼ばれる装備品を入手できることがある。“セットアイテム”は単体でも非常に強力だが、たとえば、剣・盾・ベルト・指輪の全4種類で構成される“憂鬱のスライト”を揃えると体力の最大値を20%上昇でき、グローブ・靴・首飾りで構成される“ラウェンの伝言”を揃えると、“STR”と“DEX”の数値を10ポイント上昇できるなど、同一系統の“セットアイテム”をすべて集めて装備することで、キャラクターの能力を大幅に上昇してくれる。こちらもまた、“修練”と平行して狙ってみてもいいだろう。 また、同じダンジョンでモンスターを倒しているプレイヤーを見かけたら、最大8人で構成できるパーティーを組んでみよう。パーティーを組む方法は、まず画面右下の“Group”アイコンを押して“パーティー”を選択した後、“パーティーメンバーを加える”を選び、対象となるプレイヤーにカーソルを合わせてクリックするだけ。パーティーを組むことで、打たれ弱い“ソーサレス”を“ファイター”が前線でかばったり、複数人でモンスターを同時に攻撃してすばやく倒せるようになるなど、1人では立ち向かえないような敵とも戦えるようになる。同一の職業を扱うプレイヤーであれば、その育成に関する指南などを請うのもいいかもしれない。なお、モンスターが倒したときに入手できるお金などは自動的に均等配分される。
装備品を強化して自分だけの装備を作り出そう
しかし、装備品を失うという危険性はあるものの、“強化”によるメリットは非常に大きいので、お金やアイテムの都合がつくのであれば、どんどん挑戦してみるとよいだろう。プレイヤーによっては強いアイテムを作るのではなく、とにかく限界まで“強化”してみるという本来の手段と目的が入れ替わってしまっている人もいるくらいだ。
広い世界に出て、新たな楽しみを見つけ出そう
ダンジョンは“初心者ダンジョン”のほか、川や山などに遮られている地域へ移動できる“通路ダンジョン”、モンスターの集団がプレイヤーに襲いかかる“イベントダンジョン”、他のプレイヤーやモンスターを倒してダンジョンそのものを占領できる“占領ダンジョン”が用意されている。しかし、ダンジョンはさまざまな地域に多数存在しており、その総数は実に100以上となる。地域によって出現するモンスターの種類や強さが異なるので、さまざまなダンジョンに挑戦してみるのもよいだろう。
またダンジョンで戦う以外にも、数人から数十人のプレイヤー結成される“ギルド”というサークルのようなものに所属したり、一部のダンジョンの占有権を巡ってプレイヤー同士が争う攻城戦や、他のプレイヤーと1対1で戦うなど、ゲームのなかでさまざまな楽しみを見つけることができるだろう。こうした楽しみのひとつひとつをプレイヤーの思うまま、いつでも好きなように遊ぶことができるのは、本作が高い自由度をもっている証にほかならない。
安易な目新しさを捨てるという英断
ここであえて言わせてもらうなら、本作にはとりたてて目新しい要素というものは存在しない。武器の強化やダンジョンを巡る攻城戦なども、すでに多くのMMORPG等で扱われているものだ。むしろ本作は逆に、広大なフィールドやクエストといった要素を省くことで、他のプレイヤーと協力し、ときに競い合いながらゲームを楽しむというネットゲームの本質的な面白さを、誰にでも分かりやすくストレートに提示してくれている。シンプルなシステムに徹することで、間口の広さと高い自由度を確立した本作の決断は、まさに英断だったと言えるだろう。だからこそ、筆者の行った、わずかレベル20程度で全世界の通路ダンジョンを渡り歩くという無茶も実現可能だったりするのだ。 なお本作品は、現在のところ第3次βテストを実施する予定はないとのこと。また、正式サービスについては、現在準備を進めているところだが開始時期、サービス利用料などの詳細は一切未定となっている。先にも述べたように本作は、ネットワークゲームの本質的なおもしろさを伝えてくれる作品である。だからこそネットワークゲームをプレイしたことのない初心者であれば入門用に、また上級者であればとことん遊び尽くしてみるためにも、是非本作をプレイすることをオススメしたい。
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□CORUM ONLINE (池上 拓馬)
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