レビュー

「Excel」の“ちょっと面倒”をまとめて解決できるツールボックス「nExTools」を試す

特定シートを一発表示、OR検索や指定範囲の比較など多数の機能を搭載するアドオン

「Excel」の操作をサポートする無料アドイン「nExTools」

 「Excel」を日常的に使っている人ほど、“できるが面倒”な操作に時間を取られているのではないだろうか。例えば、2つの表の違いを確認する、特定の文字列に色を付ける、決まったシートを繰り返し表示する、といった操作だ。シート名や関連ファイルの一覧を作成したり、セル範囲を画像として保存したりする作業も、標準機能だけでは意外と手間がかかる。

 そこで今回は、「Excel」にまつわる作業をサポートする無料アドイン「nExTools」を紹介したい。生成AIに注目が集まる時代ではあるが、日々の作業の手間を確実に減らしてくれる“ツールボックス”を用意しておく価値は大きい。「Excel」を長く使っている人ほど、便利さを実感しやすいアドインだ。

「nExTools」アドインをインストールすると、[nExTools]タブが追加される。なお、「アドイン」とは、「Excel」に機能を追加するためのプログラムのこと。「Adobe Acrobat」などをインストールした際に、自動的にタブが追加されることがある

「nExTools」の導入

 「nExTools」は、公式サイトから無償で入手可能。導入は、ZIPファイルを展開して同梱されている「アドインインストール支援.xlsm」を開き、[インストール]を実行する流れだ。ただし、会社支給のパソコンで利用する場合は、アドインの追加が許可されているか事前に確認しておきたい。

公式サイトからダウンロードしたZIPファイルを展開しておく。「アドインインストール支援.xlsm」をダブルクリックする
[コンテンツの有効化]をクリックし、確認画面で[はい]を選択しておく
[アドインのインストール]をクリックする
「nExTools_(バージョン).xlam」を選択して[開く]をクリックする。続けてインストール完了のメッセージが表示される。[nExTools]タブが追加されていることを確認しよう

 「nExTools」を削除する場合は「アドインインストール支援.xlsm」を開いて、[アドインのアンインストール]をクリックしよう。完全に削除せずに一時的に無効にすることも可能だ。試用しやすく、元に戻しやすいのは安心材料だ。

 なお、[Excelのオプション]の[リボンのユーザー設定]から[nExTools]タブを非表示にすることはできない。[アドイン]から[Excelアドイン]の一覧を呼び出して、「nExTools」のチェックを外すと無効になり、[nExTools]タブも非表示になる。

シート移動やセル選択をワンクリックで実行

 [nExTools]タブのボタンは[シート選択]、[セル選択]といったように、目的別のグループに分類されている。標準機能の組み合わせやショートカットキーで実現できるものもあるが、標準で「Excel」にない“あると便利”な機能がまとめられているのが特長だ。ここでは汎用的に使えて、かゆいところに手が届く便利機能を紹介しよう。

[nExTools]タブのボタンは目的に応じたグループで分類されている。汎用的に使える便利機能を見ていこう

 シート数が多ければ、切り替えるだけでも面倒だ。画面左下にある[>]や[<]を何度もクリックしたり、[Ctrl]+[PgDn]/[PgUp]キーを連打したりしているなら、「nExTools」の出番だ。ボタン名の通り、[最初のシート][中央のシート][最後のシート]に切り替えられる。

[最初のシート]は左端、[最後のシート]は右端のシートに切り替え可能。[中央のシート]は中央のシートに切り替えられる

 頻繁に切り替えるシートは登録しておくといい。ただし、[nExTools]タブからすばやく呼び出せるのは[登録シート1]と[登録シート2]の2つのみなので、優先順位を決めておこう。

登録したいシートを表示しておく。[登録一覧]-[一覧にシート名を登録]をクリックする。なお、[登録シート1]と[登録シート2]は[nExTools]タブからすばやく呼び出せる
[登録シート1]~[登録シート10]は呼び出しの名称。登録先(ここでは「登録シート1」)を選択して、[アクティブシート]をクリックすると、表示中のシートを指定できる。[登録]をクリックすると、「登録シート1」に割り当てられる。[シート名入力]では任意のシート名を指定できるが、事前にシート名を把握しておく必要があるのが少々面倒。なお、登録内容を削除する場合は[クリア]をクリックしてから[登録]をクリックする必要があることに注意

 続けて、セル操作まわりの便利機能を見てみよう。1列または1行ずれて選択してしまう操作ミスはありがちだ。選択し直すのは煩わしく、選択範囲を“ずらす”機能は、標準で用意されていない。[選択領域移動]がおすすめだ。特に画面をスクロールする必要のあるような広い選択範囲の移動に重宝する。

セルB2~E51を選択すべきところを、セルA2~D51を選択してしまった。[選択領域移動]をクリックして、[右に移動]を選択する
選択範囲をセルB2~E51に移動できた

 [使用領域]や[最終セル]を使えば、データが入力されている範囲や使用領域の右下端を確認できる。不要な値や書式が残っていて、印刷範囲が意図せず広がるようなトラブルの確認にも役立つ。

[最終セル]で、ワークシートの使用領域の右下端を確認できる。この例では「J51」が選択された

 なお、[アクティブセル領域]は、表などの連続するデータ範囲を選択する機能。[Ctrl]+[A]キーを押すことで近い操作はできる。

 ファイルの共有前に、すべてのシートのアクティブセルを「A1」にしておきたいという要望は多い。[セルA1(全シート)]を利用しよう。シートを1つずつ切り替えて、[Ctrl]+[Home]キーを押すより圧倒的に手早い。

[セルA1]-[セルA1(全シート)]をクリックすると、すべてのワークシートのアクティブセルが「A1」になる

 頻繁に利用するセル範囲がある場合は[登録領域]に登録しておくこともできる。前述の[登録シート]と同じ要領で登録できる。確認欄や入力欄など、毎回同じセル範囲を参照する表では効果が大きい。広い表をスクロールする手間を減らせる。

検索・比較の作業を一気に片付ける

 意外と手間がかかる検索・比較の作業をサッと処理できるのも「nExTools」の強みだ。例えば、[Ctrl]+[F]キーを押せば、文字列の検索はできる。しかし、実際には検索して終わりではない。見つけたセルに色を付けたり、結果を一覧化したりと、後続の作業が発生することが多い。

 以下の表で『キーボード』と『テンキー』という言葉が含まれるセルを見つけて、文字色を変更することを考えてみよう。標準機能なら、1つのキーワードごとに検索・書式設定の操作が必要になるが、「nExTools」の[値検索]なら、複数のキーワードを含むセルを検索して、そのまま書式設定まで可能だ。

[値検索]-[アクティブシート]をクリックする
『キーボード』と『テンキー』という2つのキーワードをスペースで区切って入力する。検索方法は[OR検索]、結果表示は[セル選択]として[OK]をクリックする。なお、検索対象を[値]とした場合は非表示のセルは検索対象外となる。結果表示を[一覧作成]とすると、セル番地とセルの内容をまとめた一覧が新しいファイルとして作成される
『キーボード』と『テンキー』のキーワードを含むセルがすべて選択されるので、そのまま[フォントの色]を赤色に設定した

 [値検索]のメニューにある[選択領域]は選択中のセル範囲、[アクティブブック]は開いているファイル全体が検索の対象となる。[指定フォルダ][指定フォルダ配下フォルダ]はフォルダー単位、[指定ファイル]は指定したファイルを対象に検索結果を一覧で表示する。なお、セルの背景色やフォント色を条件に探したい場合は、[色検索]も利用できる。

 2つのセル範囲の内容を比較する機会も多い。関数で判定列を作る方法もあるが、確認だけなら色分けで済ませられるほうが手早い。[重複データ]と[共通データ]グループを見てみよう。

 名前の通り、重複するデータと共通するデータを探すための機能だが、単純に差分を見分けたい場合は[共通データ]グループの[2つのセル領域]のほうが使い勝手が良い。共通するデータの有無を指定して、セルを塗り分けられる。

 塗り分けられた色を利用して、色フィルターで絞り込むといった作業を続けることもできる。データ量が多ければ、“新規ブックに出力”のオプションを使ってもいいだろう。

[2つのセル領域]をクリックする
比較元の[セル領域A]の入力欄をクリックして、対象のセル範囲をドラッグする
比較先の[セル領域B]の入力欄をクリックして、対象のセル範囲をドラッグする
[共通しないデータに色設定]を選択して[OK]をクリックする
2つのセル範囲のうち、“共通しない”セルの色が塗り分けられた

 [重複データ]グループの[色分け]は重複するデータごとに塗り分けられる。同じチームや分類などを見分けたいシーンでは重宝する。

[重複データ]グループの[色分け]を利用して、重複データを色分けした結果

 なお、これらの機能でセルの背景色や文字色を設定した場合、[Ctrl]+[Z]キーで元に戻せないことに注意。元に戻したい場合は[nExTools]タブの[書式]グループや[ホーム]タブの[フォント]グループから書式を“なし”に設定し直そう。

使う機能を絞って、より使いやすく

 シートやファイルを操作する機能も豊富に用意されている。例えば、[シート一覧からシート名コピー]を使えば、ファイルに含まれるシート名をまとめてコピーできる。シートタブをダブルクリックしてシート名をコピーする手間が省ける。

[シート名コピー]-[シート一覧からシート名コピー]をクリックする
ファイルに含まれるシート名をまとめてコピー可能

 そのほか、シートの保護・保護解除、パスワード管理、フォルダー内のファイル一覧作成、ファイルの一括リネームといった管理系の機能も用意されている。

 「nExTools」は多機能であるがゆえに、ほとんど使わない機能もあるだろう。しかし、日々の作業に役立つものが1つでもあれば、それだけで導入する意味はある。

 よく使う機能を厳選してクイックアクセスツールバーに登録しておく使い方もいい。例として[選択範囲を画像保存]を登録してみよう。選択したセル範囲をPNGやJPGなどの画像ファイルとして直接保存できる。

[選択範囲を画像保存]を右クリックして、[クイックアクセスツールバーに追加]をクリックする。なお、[選択範囲を画像保存]の[▼]-[画像保存設定]から、保存先や画像形式を指定できる
クイックアクセスツールバーに[選択範囲を画像保存]が追加された。他のボタンも同様に追加できる

 「nExTools」は、「Excel」作業の“ちょっと面倒”を確実に減らしてくれるアドインだ。設定ファイルのバックアップにも対応しているため、別環境へ移行しやすい。日常的に「Excel」を使う人は試してみる価値がある。

ソフトウェア情報

「nExTools」
【著作権者】
坂江 氏
【対応OS】
編集部にてWindows 11で動作確認
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.1.8(26/09/07)