レビュー
カードゲーム風コマンドバトルが特徴の固定戦闘RPG「ニートスライムの魔王軍入隊試験」
セットしたスキルから3つが戦闘開始時にランダム選出、先攻・後攻2人の連携もポイント
(2016/2/18 17:57)
「ニートスライムの魔王軍入隊試験」は、カードゲームの要素を取り入れたコマンド戦闘が特徴のRPG。ゲーム投稿企画“VIPRPG紅白2015”の参加作品である短編集「無限の高さを持つ壁の前で」に含まれる作品で、「無限の高さを持つ壁の前で」は同企画の作品ページからダウンロードできる。プレイ時間は約2~3時間。
物語はニートのスライムとゴブリンが、職に就くため魔王軍入隊試験に向かうところから始まる。ゲームはステージで区切られており、各ステージに立ち塞がる固定配置の敵を倒していき、一番奥のボスを倒せばステージクリアとなる。
基本的な戦闘システムはターン制のコマンド選択型。特徴は、スライムが使うスキルはあらかじめセットした10個の中から戦闘開始時に3つがランダムで選ばれ、さらにターン経過時に一定確率で追加選出が行われるという、デッキ構築型カードゲームのようなシステムだ。
スキルには攻撃技などのアクティブスキル、ステータス上昇などのパッシブスキル、戦闘開始時や特定ターンに自動発動するオートスキルの3種類がある。ポイントは、パッシブスキルとオートスキルはセットするだけで効果があり、戦闘中に選出されても意味がなく、むしろその分アクティブスキルが選出されにくくなるため邪魔になるという点。
とくにオートスキルは戦闘開始時に敵全体へダメージを与えたりと便利である代わりに、1つで複数個分のスキル枠を使用するため他のスキルを使う機会を圧迫する。一方でアクティブスキルは同じものを2つセットして選出されやすくすることも可能。そのほかスキル使用に必要なMPは戦闘開始時は4に固定で1ターン毎に4増える仕組みのため、消費MPの高いスキルの連発は難しい。こうした要素や敵の傾向なども考慮しつつ、バランスを考えたスキル編成が重要となってくる。
また、攻撃順が味方先攻(標準ではスライム)→敵グループ→味方後攻(標準ではゴブリン)と固定なのもポイント。スライムのスキルには敵をスタン(1ターン行動不能)させるものや状態異常を与えるものなど牽制に使えるものも多く、ゴブリンはスタン中の敵へ追い打ちをかけるスキルなどを持っており、2人の連携も戦術の要となる。なおスキルは2人とも、ゲームの進行により新しいものを覚えていく。
一方で敵もさまざまな特殊攻撃を仕掛けてくるもの、回復役や盾役などパーティで連携してくるものなどがおり、中盤以降は力押しでは勝てない戦闘が多い。行動パターンを読み、連携やオートスキルなども駆使して戦術を編み出していくのが醍醐味のバトルに仕上がっている。
戦闘は少ないターンで勝利するほど経験値を多く入手できる仕組み。スライムは自動でレベルアップせず経験値を消費して任意にレベルアップ可能だが、ステージごとに決められたレベル以下でクリアするとボーナスで装備品を入手できる。またステージ中のHP回復手段は限られており、全体回復アイテムを使わないでクリアした場合もボーナスが発生。効率のよいプレイを追求するのが楽しい作品だ。
なお、本作はRPGツクール2000製だが、アーカイブファイルには実行ファイルが含まれていない。他のRPGツクール2000製ゲームから「RPG_RT.exe」をコピーして利用する形となる。
ソフトウェア情報
- 「無限の高さを持つ壁の前で」
- 【著作権者】
- 幻草 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 8.1で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
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