使ってわかるCopilot+ PC
第98回
「Surface Laptop Ultra」はCopilot+ PCのはずだが、どこにも書いていない?
価格は未定。現時点でわかっている情報まとめ
2026年6月12日 17:12
「Surface Laptop Ultra」とは?
Microsoft謹製PC「Surface」シリーズに、「Surface Laptop Ultra」という新たな製品が加わる。
「Surface」シリーズのCopilot+ PCは、これまではQualcomm製の「Snapdragon X」シリーズを採用している(法人向けモデルは除く)。そしてQualcommからは新型の「Snapdragon X2」シリーズが登場しているが、採用する「Surface」は発表されていない。
そこに登場した「Surface Laptop Ultra」は、NVIDIA製の「RTX Spark」を採用。「Snapdragon X」と同じArmアーキテクチャのCPUを採用したCopilot+ PCだが、製品としての立ち位置はやや特殊だ。そのためか、公式サイトにはCopilot+ PCの文字が見当たらない。
その辺りも含めて、現状わかっている情報を確認していく。
Copilot+ PCであることを強調しない理由は?
「RTX Spark」が何かについては前回少し触れている。GeForce RTX 5070相当のGPUに、最大128GBのユニファイドメモリを搭載した、強力なAI PCである。
高性能なGPUと大容量メモリの組み合わせは、ローカルAIを操るのに最適な組み合わせだ。特に高速かつ大容量のメモリが重要になる。本機の魅力をざっくり言うと、そこそこ速いメモリを大容量で搭載し、大規模なAIモデルを動かせるところだ。
それと同時に、パワフルなNPUを搭載し、Copilot+ PCに対応することもMicrosoftが明かしている。NPUの性能は明らかにされていないが、40TOPS以上のNPUを搭載することは間違いない。
ところが「Surface Laptop Ultra」の公式サイトを見ると、Copilot+ PCのロゴが見当たらない。これまでは他社のPCも含め、Copilot+ PCに対応した製品であれば、かなり目立つ位置にCopilot+ PCのロゴが掲げられてきた。「Surface Laptop Ultra」は、ロゴどころか文字情報ですら書かれていない。
状況的に考えて、MicrosoftがいまさらCopilot+ PCではないPCを出すわけがない。もはやCopilot+ PCであることは当たり前で、わざわざ言う必要がないのか、本製品が特別なのかは明確ではない。製品の立ち位置から考えて、おそらく後者であろうとは思う。
NPUはAI向けプロセッサーと言われるが、より具体的には、推論に特化したプロセッサーである。わかりやすく言えば、できあがったAIを動かすことに特化している。しかしAIモデルの作成で行われる学習のプロセスでは、推論以外の計算も求められる。この場合、NPUよりGPUの方が適している。
Copilot+ PCは、小規模なAIモデルを動かすのに適したPCだ。これに対して「RTX Spark」は、AIモデルを動かすだけでなく、AIモデルの作成・調整を行うことも可能になる。同じAI PCであっても、できることがかなり違う。
そのような事情から、「RTX Spark」を搭載した「Surface Laptop Ultra」がCopilot+ PCであることを、ことさら強調しないという判断も理解できる。もっともNPUには低消費電力で動かせるメリットもあるため、GPUとは役割が違うと考えるべきだ。
薄型でもハイパワー、修理もしやすい
「Surface Laptop Ultra」について詳しく見ていこう。スペックの詳細は明かされていないが、公式サイトの断片的な情報からある程度は読み取れる。
ディスプレイのサイズは15型で、縦横比は3:2、画素密度は262ppiとされている。この数値から解像度を推測すると、おそらく3,240×2,160ドットあたりではないかと思われる。16:9の4K解像度から左右をちょっと縮めた形で、15型にしてはかなり精細だ。
本体の厚さは18mm未満、重さは2kg未満とされている。18mmはかなり薄型のPCの部類で、厚さ18.29mmとされる「Surface Laptop 15インチ」よりも薄い。そうなると高性能な分だけ排熱が大変そうだが、「Surface Laptop 15インチ」と比べて最大2.5倍の熱容量を備えているという。薄くても排熱能力は大幅に高まっているわけだ。
バッテリーは1日中持続する駆動時間とされている。1日中というのが、24時間なのか、実働8時間の想定なのかはわからないが、少なくとも8時間駆動はできるのだろう。
充電器はジャケットのポケットに収まるほどコンパクトなサイズだそう。『ポケットに収まるサイズ』というワードに反応してしまうが、この業界では結構なサイズまでポケットに収まるので、果たして小さいと言えるサイズかどうかはわからない。意図としては、本機はパワフルな割に意外と省電力だ、ということだろう。
タッチパッドは「Surface Laptop 15インチ」と比べて30%以上大型化。アプリでも触覚フィードバックによる細かいカーソル制御を実現するという。
面白いのは、保守性の高さをうたっているところ。修理しやすい内部構造で、交換部品はオンラインで提供するとしている。またSSDも交換が可能と明言されている。現在はSSDの価格が高騰しているので、最初は小容量モデルを選んで、価格が落ち着いたら大容量のものに交換するということも可能になる。
価格はまだ未定。年内に発売予定
気になる価格は、未発表。「RTX Spark」とスペックが似ており、先行して販売されている「DGX Spark」は、ミニPCの形状で70万円程度からとなっている。ノートPCの「Surface Laptop Ultra」とは単純に比較できないが、128GBメモリのフルスペックモデルはそれなりの価格になると思っておく方がいい(もっともスペックの詳細も未発表だが)。
発売日は2026年後半とだけ発表されている。大容量メモリを搭載する製品だけに、メモリ不足や高騰の影響で、「RTX Spark」の供給が安定しない可能性もある。年内に発売できるかどうか、あるいはごく少量での出荷となるかもしれない。
そもそも、誰でも買えるような価格ではないことは間違いないのだが。だからこその「Ultra」である。
977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/

























