使ってわかるCopilot+ PC

第97回

第4のCPU「NVIDIA RTX Spark」、実はNPU搭載でCopilot+ PCになるらしい

大容量メモリと高性能GPUがあっても、省電力なNPUには価値がある!

「RTX Spark」の公式サイト

NVIDIAがCPUベンダーに再浮上

 GPUメーカーとして知られるNVIDIAが、新たなSoC「RTX Spark」を発表した。ArmアーキテクチャのCPUに、NVIDIA BlackwellアーキテクチャのGPU、最大128GBのユニファイドメモリを搭載可能なシステムで、Arm版Windows 11が動作する。

 Windows 11搭載PC向けの主要なCPUベンダーとしては、Intel、AMD、Qualcommに続き4社目となる。またArmアーキテクチャを採用するCPUとしてはQualcommに続く2社目となり、WindowsのArm対応がさらに進むのではないかと予感させる。なおNVIDIAは初代「Surface」でWindows向けCPUを提供したことがあり、Windowsには十数年ぶりの復帰となる。

 NVIDIAのGPUは以前からAI処理に活用されており、ゲーム向けの製品である「GeForce RTX」シリーズを使えば個人でも利用できる。「RTX Spark」は最大128GBという大容量のメモリをAI向けに活用でき、しかもノートPCに収まるサイズである点で、従来型のGPUとは異なる。

 「RTX Spark」は従来のWindows PCとは一線を画す、圧倒的なAI性能を持ったマシンになる。それで本機の魅力は十分伝わるだろう。しかし本連載の趣旨であるCopilot+ PCとしてはどうだろう?

「RTX Spark」はNPUを搭載するらしい?

「RTX Spark」の公式サイトでは、搭載するノートPCが紹介されている。どれもかなり薄型なのがわかる

 NVIDIAの発表によると、「RTX Spark」を採用するPCは、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoft Surface、MSIから今秋発売予定。その後、AcerとGIGABYTEからも登場予定となっている。

 この中で注目は、Microsoft Surfaceに登場するという点。MicrosoftはCopilot+ PCを推進しており、自社ハードウェアであるSurfaceが、いまさらCopilot+ PCに非対応ということがあり得るだろうか?

 その答えはMicrosoftが「RTX Spark」の発表の際にこちらで明かしている。「RTX Spark」の性能の高さや、Arm版Windowsの改善、クリエイター向けやゲーム等のソフトウェア対応状況が説明され、最後の最後で『Copilot+ PCカテゴリに加わる』、『パワフルなNPUを搭載』とオマケ程度に書かれている。

 ほかにもNVIDIA、また同社と協業でCPUを開発したMediaTekからも「RTX Spark」に関する発表はあるが、NPUに関する情報は見当たらない。どんなNPUが搭載されるのかは、今のところ明らかにはされていないようだ。確かなことは、Copilot+ PCの要件を満たす40TOPS以上のNPUが搭載されることだけだ。

 この発表を見て、もしかするとNVIDIA製GPUでCopilot+ PCの機能が使えるのではないかと期待した方もいらっしゃるかもしれないが、そういう話ではなさそうだ。

高性能なGPUがあっても、NPUには価値がある

「RTX Spark」の公式サイトの概要に、NPUに関する情報はない

 「RTX Spark」のGPUは1PFLOPS(NVFP4時)という高性能を持っている。これはNVIDIA製のGPU製品で言えば「GeForce RTX 5070」に相当し、AI性能だけで見ればCopilot+ PCのNPUを大幅に上回る。そのためメーカーの公式発表だけでなく、メディアからもNPUの存在はほとんど意識されていない。

 では「RTX Spark」のNPUに価値がないのかというと、おそらくそうはならない。NPUはAIの推論に特化したプロセッサーであり、GPUに比べて効率よく処理できる。つまり、絶対的な性能では劣るものの、同じ推論処理を行った場合の消費電力はNPUの方が少なくて済む。

 消費電力が少ないことは、単にエコであるだけでなく、ノートPCにおいてはバッテリー持続時間を伸ばせるメリットがある。またGPUでゲームやクリエイティブな作業を行っている最中にも、一部のAI推論はNPUに任せることで、全体のパフォーマンスが上がる。

 圧倒的なGPUの性能とメモリ搭載量を考えれば、NPUの存在感が薄れるのは致し方ないが、Copilot+ PCであることは決して無駄ではない。同じAI処理でも、GPUで行うものとはカテゴリが違う、求めるところが違うものだと考えるといい。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。

・著者Webサイト:n