現役学生がつづるAIとの生活
【自分なら選ばない一日を考えて】 空いた午後をチャッピーに捧げたら、思わぬ絶景に出会った話
~現役学生がつづるAIとの生活
2026年8月7日 13:10
本記事は、複数の学生が「AI と暮らす日々」をつづる、連載企画「現役学生がつづるAIとの生活」の第5回。
今回は、予定がぽっかり空いてしまったShuntaroさんが、チャッピーで空き時間を埋める話。そのコンセプトがちょっと変わっています。
「普段しないこと」は、自分では思いつかない
海の日の午後、大学でのやることが終わり、予定がぽっかり空いた。時間は14時から17時までの約3時間。家で過ごすには少しもったいないし、かといって遠出をするほどの時間はない。せっかく海の日なのだから、普段はしないことをしてみたいと思った。
ただ、「普段しないこと」は、自分で考えると案外思いつかない。自分で行き先を選ぶ限り、結局は知っている街や、いつものカフェ、映画館などに落ち着いてしまう。そこで、ChatGPT(以下、チャッピー)に、午後の予定そのものを考えてもらうことにした。
「今から大学の空き時間(14:00~17:00)で東京近辺で何かしたい。普段行かない場所に行ってみたいので、スケジュールを綿密に立てて」
返ってきたのは、JR鶴見線に乗り、海芝浦駅と国道駅を巡るミニ旅だった。
正直に言うと、「海芝浦駅」も「国道駅」も、それまで名前すら知らなかった。横浜方面で時間を過ごすとしても、自分ならみなとみらいや中華街を選ぶ。工業地帯を走るローカル線に乗り、駅そのものを見に行くという発想はまず出てこない。
だからこそ、行ってみることにした。全く知らない場所で、自分では絶対に選ばない場所なら、「普段しないこと」という今回の目的にはぴったりだった。
知らない街を初めてまわる、分刻みの「旅のしおり」を作る
最初の提案をもとに、昼食の場所やタイムラインをチャッピーと相談しながら決定した。せっかくなので画像生成でしおり風のスケジュール画像も作ってもらった。
「海の日ということも踏まえて、電車などの時間を正確にした上で、いい感じのしおり風スケジュール画像を生成して」
単なる文章だった旅程が、しおりになった瞬間、急に「ちゃんとした旅」のように見えてくる。AIに予定を立ててもらっただけなのに、出発前から少しワクワクした。
普段の旅行では、自分で行き先を検索し、営業時間や乗り換えを調べ、それをメモにまとめる必要がある。今回は、その一連の準備をチャッピーとの会話の中で進められた。一度の質問ですべてを完成させるのではなく、最初に行き先を提案してもらい、そこへ自分の希望や時間的な制約を追加していく。AIと一緒に旅程を詰めていく感覚に近かった。
まずは「The 町中華」で担々麺と餃子
14時に鶴見駅へ到着し、最初に向かったのは「満州園」。
店に入ると、「The 町中華」という雰囲気の店内がほぼ満席に近い。
普段は町中華へ行く機会がほとんどないのだが、今回は担々麺と餃子を注文した。担々麺も満足感があったが、特に印象に残ったのは餃子だった。中の餡がジューシーでチャッピーの店選びもさすがだなと思った。
電車を降りたら、ホームのすぐ横が海だった
14時50分、鶴見駅から海芝浦行きの電車に乗った。
車窓の風景は次第に工場や倉庫が中心になり、普段乗っている路線とは空気が違う。観光地へ向かっているというより、普段は意識しない街の裏側へ入っていくような感覚だった。
そして15時1分、終点の海芝浦駅に到着した。
電車のドアが開くと、ホームのすぐ横に水面が広がっていた。
海芝浦駅は企業の私有地内にあり、一般の利用者は企業施設側へ出ることができない。その一方で、駅に直結する海芝公園には入ることができる。企業施設の撮影は禁止されているため、カメラを向ける方向にも注意が必要だ。この日は祝日だったこともあり、工場側は静かだった。
ところが、ホームにはざっと30人ほどの人がいた。大きなカメラを持った人や、駅名標を撮影する人もいる。「こんなに人がいるのか」と驚くと同時に、鉄道ファンの間ではかなり知られた場所なのだろうと感じた。
勝手に、ほとんど人がいない駅を想像していた。しかし実際には、海の日に海芝浦駅を訪れるという同じことを考えた人が、自分以外にもかなりいたようだ。
何より気持ちよかったのは、海との距離の近さだった。
暑い日だったが、ホームには海風が通り、目の前の水面を眺めているだけで少し涼しく感じる。遠くには大きな橋や港の景色も見えた。華やかな観光地ではない。それでも、電車から降りた瞬間に海が目の前に現れる体験は新鮮だった。
海芝浦駅での滞在時間は、わずか15分。15時16分の電車を逃すと予定全体が崩れるため、しおりに従って再び乗車した。短い滞在だったが、「海の日に、海の目の前にある駅へ行く」という目的は、思っていた以上にきれいにはまっていた。
一駅移動したら、昭和へタイムスリップした
次に降りたのは国道駅。
海芝浦駅では景色ばかり見ていたが、国道駅では駅そのものの構造が気になった。
階段を下りると、さらに雰囲気が変わる。
高架下のアーチ、年季の入った壁、少し薄暗い通路。つい先ほどまで海を眺めていたのに、ほんの数駅移動しただけで、昭和の映画の中に入ったようだった。国道駅は1930年に開業し、現在までほとんど改築されておらず、開業当時を思わせる雰囲気が残っている。壁には太平洋戦争末期の弾痕とも言われる跡がある。
単に「古い駅」と聞くだけでは、ここまで興味を持たなかったと思う。しかし、実際に壁を見て、通路を歩き、現在も電車を利用する人が行き交っている様子を見ると、駅が積み重ねてきた時間を想像せずにはいられなかった。
ここにも写真を撮っている人がいた。海芝浦駅とは景色が全く違うのに、どちらもカメラを持った人を引き寄せている。鉄道に詳しくない自分にとって、駅は目的地へ行く途中の場所でしかなかった。
しかし今回の旅で、駅そのものを見に行く人がいる理由が、少しだけ分かった気がした。
駅には、場所によって全く違う表情がある。海の横にある駅もあれば、90年以上前の空気を残す駅もある。普段は電車が来るまでスマートフォンを見て過ごしているが、注意して周囲を見るだけでも、駅は意外と面白い場所なのかもしれない。
AIがくれたのは、「効率的な予定」だけではなかった
15時45分の電車に乗り、15時47分に鶴見駅へ戻理、約2時間の小さな旅は、ほぼしおりどおりに終了した。
今回、チャッピーが提案したのは、有名な観光地でも、SNSで話題の店でもなかった。町中華で昼食を食べ、工業地帯を走る電車に乗り、海の目の前の駅と古い駅を見に行く。文章にするとかなり地味だが、だからこそ、自分だけではまず選ばない体験になった。
これまで生成AIは、調べものをしたり、文章を整理したり、作業を効率化したりするために使うものだと思っていた。
しかし、今回は、AIの提案が実際の自分の移動を決め、その先で食べるものや見る景色まで変えた。AIの便利さは、自分のやりたいことを早く実現してくれる点だけではないのかもしれない。自分の好みや検索履歴の外側にある選択肢を示し、「よく分からないけれど、とりあえず行ってみよう」と背中を押してくれる。そんな使い方もある。
自分一人では絶対にしなかった鶴見線のミニ旅。そのおかげで、普段暮らしている場所のすぐ近くにも、まだ知らない世界があることに気づけた。次に時間がぽっかり空いたときも、「おすすめを教えて」ではなく、こう頼んでみようと思う。
「自分なら選ばない一日を考えて」
本記事は、AICU Japan株式会社が制作しました。

























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