Inkscape独習ナビ!特別出張版

無料ドローツールでクマのイラストを描く! 第5回(全5回):フィルとストロークを設定しよう

シンプルな図形を組み合わせてイラストを作る

この集中連載は、無料で使える人気ベクターグラフィックソフト「Inkscape」の便利さと素晴らしさをより多くの人に知っていただくことを目的に始めました。ステップバイステップで見栄えのする作品を描いているうちに、自然と「Inkscape」の基本が習得できるようになります。具体的には、使いこなし方を解説する書籍『できるクリエイター Inkscape独習ナビ Windows&Mac対応』の入門セクションから抜粋し、再編集した原稿を短期集中連載として、日替わりでみなさまにお届けします。なお、Windowsでの操作を前提に解説していますが、たとえばショートカットキーなどでMacの場合の操作を括弧書きで併記していますので、Macでも同じ要領で読み進められます。

クマのイラストの制作の流れ(全5回)

第1回:下絵のファイルを開こう
第2回:イラストのパーツを描こう
第3回:ペンツールを使ってみよう
第4回:パーツをグループ化して操作しよう
第5回:フィルとストロークを設定しよう(今回の記事)

●サンプルファイルについて
『できるクリエイター Inkscape独習ナビ Windows&Mac対応』の公式サイトを開いて[ダウンロード]項目にある[Dekicre_inkscape.zip]をクリックしてダウンロードし、ファイルを展開しておきましょう。レッスン1で使用するデータは、展開後の[Dekicre_inkscape]-[Lesson]-[Lesson1]-[sozai]フォルダーにあります。なお、ダウンロードしたファイルに含まれているすべてのサンプルファイルは、記事を利用して「Inkscape」の操作を学習する目的以外の用途には、使用することができませんのでご注意ください。

第5回(全5回):フィルとストロークを設定しよう

フィル(塗り)とストローク(線)の色やスタイルを設定していきましょう。色を塗るとオブジェクトの重なり順がおかしい場所がわかるので、[選択ツール]で調整しましょう。

1. ストロークのスタイルを変更する

❶[選択ツール]で縫い目部分のオブジェクトを選択します。

❷[コマンドバー]の[フィル/ストローク]をクリックして、[フィル/ストローク]ダイアログを表示します。

❸[ストロークのスタイル]タブの❹[端]を[丸]に、❺[線種]を点線のもの(19 番目)に設定します。

❻点線に変更されました。

❼同様に口の部分も[ストロークのスタイル]の[端]を[丸]にします。

【ショートカットキー】[フィル/ストローク]

[Shift]+[Ctrl]([control])+[F]

2. 色を塗る

❶[選択ツール]で耳の外側を選択します。

❷[カラーパレット]の「オレンジ」をクリックしてフィルの色を設定します。

❸耳の内側は[カラーパレット]の「紫」で塗ります。

同様にして、目は「黒」、鼻と足の裏の内側は「紫」、口周りは「薄黄色」、リボンは「緑」、残りは「オレンジ」で塗りましょう。

3. 重なり順を変更する

リボンの部分や、腕や体のように重なりの順番が正しくない部分は、[選択ツール]の前面や背面に移動する機能を使って正しい重なり順にします。

❶例えば、リボンの部分は上側を選択します。

❷[ツールコントロールバー]の[選択オブジェクトを背面に一段階移動]をクリックします。

❸輪の部分が上に見えるようになりました。

足のパーツはグループ化しているので、そのまま選択して色を設定するとすべて同じ色で塗られてしまいます。

❹[Ctrl]([control])キーを押したままクリックすると、グループ内の1つのオブジェクトだけを選択できます。

❺その状態で色を設定します。

同様に肉球は「紫」、足裏本体は「オレンジ」で塗り分けます。

【H i n t】複数のオブジェクトのスタイルをまとめて変更する

[Shift]キーを押したまま[選択ツール]で複数選択すると、一括で変更することができます。

4. パーツを複製して左右対称にする

耳、足、腕などは左右対称なので、複製した後に左右反転して作成します。

❶[選択ツール]で[Shift]キーを押したまま、左耳の2つのオブジェクトを選択します。

❷[コマンドバー]の[グループ化]をクリックします。

❸[コマンドバー]の[選択オブジェクトを複製]をクリックします。

❹[選択ツール]の[ツールコントロールバー]で[水平に反転]をクリックします。

❺耳が反転しました。

❻水平方向に移動するために[Ctrl]([control])キーを押したまま、右にドラッグして配置します。

重なり順が正しくない場合は、色を塗ったときと同様に背面や前面にオブジェクトを移動します。

同様に目や腕などの右側を作ります。

リボンの左側(3つ)や足の左側(2 つ)は、耳と同様に最初にグループ化してから複製します。

最後に下絵のレイヤーを削除したら、クマのイラストの完成です。

【H i n t】[整列と配置]ダイアログで揃える

目分量でパーツが完全に左右対称になるよう揃えるのは無理があります。[整列と配置]ダイアログを使えば、水平や垂直の軸を基準にして自動的に揃えることが可能です。

【H i n t】複製とクローン

Inkscapeには複製とクローンという似た機能があります。複製したオブジェクトはオリジナルのオブジェクトの形やスタイルを変更しても、何も影響を受けませんが、クローンしたものはオリジナルと一緒に変化します。後からオブジェクトを修正することがある場合は[クローン]を使うと便利です。

次回予告

本記事“第5回:フィルとストロークを設定しよう”でクマのイラストは完成です。来週は、おしゃれカフェの宣伝チラシを制作するセクションを掲載しますのでお楽しみに!

山本潤一(やまもと じゅんいち)

本書のレッスン1〜2、練習問題1〜2を担当。InkscapeのほかにはNetBeans IDEにも興味があり、本体のPHPエリアにパッチを送ったり、プラグインを作ったりしている。

【ブログ】http://junichi11.com// 【Twitter】@junichi_11