使ってわかるCopilot+ PC
第45回
Intel製CPU搭載機の「Copilot+ PC」標準機能はどこまで使える? 実機で検証してみた
「Image Creator」、「リコール」、「Click to Do」は動くのか?
2025年5月30日 06:55
x64系CPUにも「Copilot+ PC」がやってきた
「Copilot+ PC」はQualcomm製CPUを搭載した製品から始まったこともあり、Intel製やAMD製CPU、いわゆるx64系の対応は後追いになっていた。しかし最近のWindows Updateにより、ついにx64系でも「Copilot+ PC」の機能が追加されたという。
対象となるのは、40TOPS以上の性能を持つNPUを搭載した製品に限られる。これは事前の発表どおりだが、従来は製品情報に「Copilot+ PC」と名乗りながら、使えるAI機能が限られている状態だった。
今回はIntel製CPU「Core Ultra 7 258V」を搭載した、Dynabook株式会社の「dynabook XP9」を使い、Intel製CPUにおける「Copilot+ PC」の対応状況を確認してみた。
「Copilot+ PC」のAI機能を試す
まずは「Copilot+ PC」の機能として最も注目された、PCの使用状況を振り返る機能「リコール」を試してみよう。「リコール」の機能は勝手には動かず、ユーザーの許可が必要になる。
本機の場合、初回起動時に「リコール」のためのスナップショットを撮影してよいかどうかを尋ねられた。これを許可して、一度「リコール」のアプリを起動してやれば、スナップショットの収集が始まり、「リコール」が動き出す。
動作は何ら問題なく、スナップショットの蓄積も正しく行われているのを確認した。Qualcomm製CPUを搭載したモデルで試した時と、操作感は全く同じだ。
次は「Windows スタジオ エフェクト」。カメラの映像をAIがリアルタイムに加工し、背景のぼかしやカメラ目線の補正機能などが使用できる。カメラの映像を横取りして加工する形なので、特定のカメラアプリやWeb会議アプリなどに依存することなく、等しく映像を加工できるのが強み。
こちらも実際に試してみたところ、背景ぼかしや目線調整などの機能は全て問題なく動作した。
PC上で再生された音声を聞き取り、テキストに書き起こす「ライブ キャプション」も問題なく動作している。日本語から英語など、英語へのリアルタイム翻訳機能もきちんと動作している。ただし英語以外の言語へのリアルタイム翻訳は、こちらでもまだ機能していない。
続いて「コクリエイター」。「ペイント」アプリのAI機能で、下絵に対してテキストで指示を出すと、AIが画像を加工してくれるというもの。
適当に下絵を描いてから、どんな画像に加工して欲しいのかをテキストで入力すると、それに沿った画像が出力される。処理にかかる時間は長くて数秒程度と、かなり高速だ。
次は「Image Creator」。「フォト」アプリから利用できる機能で、下絵を必要とする「コクリエイター」とは異なり、テキストの指示だけで画像を生成できる。
指示を適切に行えば、クオリティの高い絵が1~2秒程度で1枚ずつ出力される。画像の品質、速度は、いずれもQualcomm製CPUを搭載したPCと変わりない。
最後は「Click to Do」。画面に表示された画像やテキストをAIが読み取り、画像の加工や情報検索など他のアプリと連携して繋げていくという機能だ。Windowsキーを押しながらマウスクリックすると、本機能が動作して画面内にある情報を読み込む。
こちらはBingによる画像検索や、「フォト」アプリでの加工などに情報を連携できる。使用感もQualcomm製CPU搭載機で試した時と変わらない。
実際にNPUを使用しているのかどうか「タスク マネージャー」で調べてみると、確かに使用されているのが確認できた。性能的にも大きな違いがないのと同様、NPU使用率の傾向もほぼ同じ。「Image Creator」で画像を連続生成していると、NPUをほぼフルに使っている様子が見られる。
「Copilot+ PC」の機能としては概ね実装されているという印象で、なおかつQualcomm製CPU搭載機と比べても使用感に差がない。性能差もほとんど感じられず、動作の安定性にも問題はない。「Copilot+ PC」を十分名乗れるAI機能が搭載されている状態だ。
ただし、「セマンティックインデックス」など、Qualcomm製CPUで使える機能が、本機ではまだ使用できないというものもある。新機能の実装はQualcomm製CPUが先行するという流れは、まだしばらく続きそうに見える。
ちなみに、「Microsoft Store」アプリにある「AI Hub」もそうで、Qualcomm製CPUを搭載したPCではローカルAI対応アプリなども紹介されているが、本機では「Copilot+ PC」ではないPCで見るのと同じで、サーバー処理のAIアプリばかりが並んでいる。Intel製CPUに搭載されたNPUだけに対応したAIアプリは既にかなり多いが、見つけづらいのが課題だ。そこをフォローする意味でも、速やかな対応を求めたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/