使ってわかるCopilot+ PC
第31回
899gの超軽量「Copilot+ PC」、ASUS「Zenbook SORA」の長所と短所は?
独自素材のセラルミナムで軽さと耐久性を両立
2025年2月21日 06:55
話題の超軽量「Copilot+ PC」の感触は?
前回はASUSの最新「Copilot+ PC」である「Zenbook SORA」を使って、新CPU「Snapdragon X(無印)」の性能をチェックした。上位の製品と比較してスペックダウンしていることは確かだが、8コアCPUは依然として十分な処理能力を持っている。
今回は「Zenbook SORA」の製品の方にも目を向ける。本機は899gと超軽量なのが最大の特徴だ。「Copilot+ PC」の魅力の1つとしてバッテリ持ちの長さが挙げられるが、持ち運びやすさと合わさることで価値が増すので、軽さはとても重要だ。
ただ、軽くしたPCには心配も付きまとう。軽量化と引き換えに筐体が貧弱だったり、見た目がチープだったり、機能的に削られた部分があったりということが考えられる。では本機はどうだろうか? 実際に使ってみての手触りをお伝えしたい。
軽さと品質を高いレベルで両立
まずは899gという軽さだ。ぱっと手に取った時の軽さはやはり印象的で、持ち運びが全く苦にならない。筆者宅で計測してみると、本体は894gだった。充電機とケーブルも合計176gと小型軽量で、合計1,070gとなる。充電器はUSB PDなので、他の充電機の流用もできる。
そして持つと感じるのが手触りの良さ。筐体にはASUSが開発した独自素材のセラルミナムという素材が使われており、軽さと耐久性を両立するという。さらさらとした表面加工がなされており、手触りは金属のような冷たさはなく、それでいてプラスチックのようなヤワさや安っぽさもない、不思議な感触だ。
色味もユニークだ。今回試用している「ザブリスキーベージュ」は、シルバーとゴールドの間のような色味。「アイスランドグレー」はちょっと明るめのメタリックグレーだ。ノートPCの色は圧倒的に黒が多いが、本製品ではラインナップに含まれてもいない。2色とも、派手過ぎないながらも可愛らしさもある。女性にも受け入れられやすく、ほどよく自己主張できる、絶妙な色づかいだと思う。
セラルミナムのもう1つの特徴である頑丈はどうかというと、ディスプレイの裏にあたる天面は押さえると少しへこむ。満員電車で圧迫されると危ない手ごたえだが、一般的なノートPCと比べて劣っているわけではない。
本体を手に持った時のたわみなどは全く感じられず、ねじるような動きにはかなり強い。リストレスト部に手首を置いてもへこむ感触はない。軽いが堅いという素材感は確かにある。
使用感として最も面白い部分は、ディスプレイ部を片手で開けられるところ。本体を閉じてテーブルに置き、ディスプレイ部だけをつまんで引き上げれば、本体はついてこないでディスプレイだけが綺麗に開く。本体が軽い分、この調整はかなり難しいはずだ。開く感触がとてもなめらかで気持ちいい。
そして長時間のバッテリ動作。スペック上では約23時間とされている。実際には用途によってもっと短くなることもあるはずだが、この軽さで公称23時間というだけで相当なものだ。オフィスワークや外回りも1日程度なら充電なしで安心して使える。
あとはソフトウェア周りで、「プレゼンス センシング」に対応している。これはWindows 11で実装されている機能で、画面から目線を外すと明るさを下げたり、席を離れると画面を消したりする機能。バッテリ持ちを高めるとともに、セキュリティ的な安全性も高められる。
この機能を利用するには、プレゼンス センサーが必要。Windows Hello対応の赤外線カメラと同義なのかそうでないのか不明だが、本機は対応しており、実際に正しく機能するのを確認した。
ちょっと重い上位モデルにはまた別の魅力がある
本機の注目点が軽さであることは確かだが、同時に機能や品質に妥協していないことが魅力といえる。モバイルノートPCとしての使用感は抜群で、なおかつ「Copilot+ PC」であることも価値がある。
弱点があるとしたら、高品質ゆえに価格が少し高めで、公式オンラインストアでは179,800円となっている。上位のCPUとなる「Snapdragon X Plus」を搭載した製品でも、これより安いものはいくつかある。軽さと品質にどれだけ価値を見出せるかが、本機の購入を左右するだろう。
搭載しているCPUの「Snapdragon X(無印)」の性能は、現時点ではシリーズ中で最も低い。8コアあるので絶対値としては低くはなく、むしろ極めてコストパフォーマンスが高いとは言えるのだが、それでも10コア、12コアある上位製品と比べていくぶん劣るのは事実だ。
また内蔵GPUの性能は上位製品に比べて半減している。3Dゲームなど、GPU負荷が高い用途を考えているのであれば、上位の製品を選んでおくといい。ただし「Zenbook SORA」は上位機種にした場合、CPUの強化のほかに、ディスプレイが有機ELパネルになり、バッテリ容量が増加する代わりに、重量が980gと若干増す。重量は増やさずに性能を強化はできないのが悩ましい。
ただ上位モデルは、CPUが「SnapdragonR X Elite(X1E-78-100)」に、メインメモリは32GBに強化される。これで価格は214,800円となっており、差額35,000円の割には強化部分が多く、ぐっと割安感が出てくる。こちらは高機能モバイルPCとして注目すべき製品になっている。
弱点についてはやや無理やり出した感じがするくらい、製品としての完成度は高い。特に軽さで注目されている製品ではあるが、実際に使ってみた時の満足度はさらに高い、ということは述べておこう。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/