特集

オンラインソフトでスマートに!夏休みの思い出整理術

旅先で撮った写真や動画を効率よく整理、共有サービスへアップロードしよう

 いよいよ夏休み本番。海へ山へと旅行に出かける機会も多くなるだろう。旅行に出かければ写真や動画で旅の思い出を記録する機会も多くなる。しかし、せっかくの思い出もそのままでは多すぎて探しづらかったり、修正が必要になるためハードディスクの肥やしになりがち。

 本特集では、写真と動画を効率よく整理・修正し、いつでも眺められるようにするためのオンラインソフトをその手順とともに紹介する。写真や動画を極力手間をかけずに整理できれば、思い出が眠ったままになることを防げるだろう。

写真編 ~写真の取り込みから画像共有サービスへのアップロードまでを解説~

 近年、メモリカードの大容量化により、デジカメで写真を撮る場合は失敗や要・不要を考えずシャッターを切る傾向が強くなった。しかし、大量に撮影した写真は整理するのに手間がかかり、いったん溜め込んでしまうとメモリカードからパソコンへ取り込むこともおっくうになってしまう。写真編では、オンラインソフトを使った写真の取り込みから画像共有サービスへアップロードするまでの手順を説明していく。

写真の取り込みは「Windows Live フォト ギャラリー」が便利

 写真をデジカメから取り込む際は「Windows Live フォト ギャラリー」を使おう。写真取り込み時に日時でフォルダ分けする機能を備えており、1つのフォルダに分ける単位を30分から30日間のあいだで調節できるのが便利。たとえば、フォルダ分けの単位を3日に設定すれば、2泊3日で行った旅行の写真を1つのフォルダへまとめることができる。

 写真の取り込みを行うには、まずデジカメやメモリカードをパソコンに接続し、自動再生ダイアログから本ソフトの項目を選択する。もちろん、本ソフトを起動して[ファイル]メニューの[カメラまたはスキャナーからの読み込み]項目から取り込みを開始することも可能。取り込みを開始すると“写真とビデオの読み込み”ダイアログが開くので、[読み込むアイテムを確認、整理、グループ化する]ラジオボタンを選択して[次へ]ボタンを押そう。

自動再生ダイアログで「Windows Live フォト ギャラリー」の項目を選択自動再生ダイアログで「Windows Live フォト ギャラリー」の項目を選択

“写真とビデオの読み込み”ダイアログ“写真とビデオの読み込み”ダイアログ

写真を取り込む際にフォルダ分けする単位を調節したり、フォルダ名を入力することが可能写真を取り込む際にフォルダ分けする単位を調節したり、フォルダ名を入力することが可能

 次の画面ではフォルダ分けする単位を調節したり、フォルダ名を入力することが可能。単位の調節は画面右下のスライドバーで行う仕組み。また、この画面でタグを付加することも可能なので、“旅行”“お祭り”といった大まかなタグを付加しておけば、あとで整理するのが楽になるだろう。最後に[読み込み]ボタンを押せば画像の取り込み処理が始まる仕組み。

ショートカットキーで画像を移動・コピーできる「Typict」を使って写真を分別

 写真をパソコンに取り込んだら、今度は必要な写真といらない写真を分別しよう。プレビューを見ながらショートカットキー一発で写真を指定したフォルダへ移動・コピーできるソフト「Typict」なら、すばやく写真を分類できる。

「Typict」起動時に表示されるダイアログ「Typict」起動時に表示されるダイアログ

 「Typict」で分別を行うには、まず本ソフト起動時に表示されるダイアログで分別元のフォルダと分別先のフォルダを設定しよう。起動時のダイアログはタブ切り替え型になっており、[対象フォルダー]タブでは分別元のフォルダ、[振り分け先]タブでは分別に使うショートカットキーと分別先フォルダを指定できる。分別元フォルダは複数指定でき、複数フォルダに分かれた写真も連続して分別することが可能。

 分別先フォルダには、失敗した写真用のフォルダや失敗ではないが不要な写真用のフォルダを用意しておくとよいだろう。また、この際にメール送信用やデジタルフォトフレームで表示する写真用といった用途別のフォルダを用意しておけば、あとで作業するときの手間が省ける。分別用のショートカットキーは片手でタイプできるように設定しておくと効率がよい。

「Typict」のメイン画面「Typict」のメイン画面

 分別元・分別先フォルダを設定して[OK]ボタンを押すと、3ペイン型のメイン画面へ分別元に設定したフォルダ内の写真が読み込まれ、分別が可能になる。メイン画面の左ペインには分別元フォルダ内の写真がサムネイルつきリストで表示され、中央ペインに選択した写真のプレビューが表示されている。右ペインには設定した分別先フォルダとショートカットキーが表示されるので、キー操作に慣れるまでは参考にするとよいだろう。左ペインと右ペインは非表示にしてプレビューの表示部を広く取ることも可能だ。

 メイン画面では、1枚の写真を移動・コピーすると自動で次の写真が表示されるため、連続してすばやく分別を行える。また、[Ctrl]+[D]キーでコピーするか移動するかを切り替え可能で、不要な写真は移動、メール送信用など作業用の写真はコピーといった使い分けが簡単にできる。さらに、プレビューには次に分別する写真が小さく表示されるため、2枚の写真を比較しての分別が可能だ。なお、実際の移動やコピーの操作はすべての写真の分別が終了してから処理を実行する仕組みのため、操作ミスがあっても気軽にやり直せる。

写真のレタッチや管理、アップロードも「Windows Live フォト ギャラリー」で

「Windows Live フォト ギャラリー」のメイン画面「Windows Live フォト ギャラリー」のメイン画面

 分別が終わったら「Windows Live フォト ギャラリー」を再び起動して写真のレタッチを行おう。レタッチはツールバーにある[修正]ボタンから写真の詳細画面を表示し、右サイドバーで機能を選択して行う。まずは、[自動調整]ボタンを押して明るさや色、傾きを一括で自動補正してみよう。結果が気に入らない場合は手動で個別のパラメーターを調整することになる。

明るさを修正したい場合は、まずヒストグラムを調節するのがお勧め明るさを修正したい場合は、まずヒストグラムを調節するのがお勧め

 明るさを修正したい場合は、まずヒストグラムを調節するのがお勧め。面グラフの下にある白と黒のマーカーを移動させることで写真の明るさを細かく調節できる。面グラフで表された値が極端に少ない部分の外側にマーカーを合わせるとちょうどいい明るさになることが多い。それでも気に入らない場合は“明るさ”“コントラスト”“シャドウ”といったスライドバーで調節してみよう。

 色合いもスライドバーで調節する。写真に人が写っている場合は自分の肌の色と写真に映っている肌の色が、違和感なくなるように調節するとわかりやすい。画面の傾きを調節する際は表示されるグリッドを参考にスライドバーを調節すれば、自動で画面端の空白がなくなるように切り抜いてくれるのがうれしい。

写真にタグを付加写真にタグを付加

 修正が終わったら写真にタグを付加しよう。タグを付加しておけばあとで探しやすくなるほか、写真を撮った状況を思い出す助けにもなる。タグの付加はツールバーの[情報]ボタンを押すと表示される右サイドバーから行え、写真を複数選択して一括でタグを付加することも可能。顔認識技術を使った“人物タグ”を付加することも可能で、写真に写っている人の名前をタグとして保存できる。

 レタッチとタグの付加が終わったらいよいよ写真共有Webサービスへアップロードしよう。手順は簡単で、まず、アップロードしたい写真を複数選択してツールバーの[アップロード]ボタンのメニューからアップロード先を選択する。次に、アップロードするアルバムや公開範囲といった情報をダイアログで指定すれば、アップロードを開始できる。アップロード先のサービスはマイクロソフトの運営する“Windows Live”の“フォト”のほか、“Flickr”を選択可能。さらに、プラグインを追加することで“Picasa Web アルバム”などへアップロードすることもできる。

[アップロード]ボタンのメニュー[アップロード]ボタンのメニュー

“Windows Live”の“フォト”へアップロードする際のダイアログ“Windows Live”の“フォト”へアップロードする際のダイアログ

動画編 ~“見る”から“見せる”へ。動画をYouTubeにアップロードしてみよう~

 最近は高価なビデオカメラを用意しなくても、デジカメや携帯電話を使ってかなり高画質な動画を撮影できるようになった。そのため、旅行に出かけた際に、写真だけではなく動画で思い出を残すという人も増えてきたことだろう。

 しかし、せっかく動画を撮影しても、ただパソコンに保存しておくだけでは味気ない。そこで動画編では、オンラインソフトを使って旅行先で撮影した動画を補正・編集し、手軽にYouTubeにアップロードする方法と、撮影してきた動画をローカルで快適に管理する方法を紹介する。

動画の手ぶれは「vReveal」で補正

「vReveal」「vReveal」

 旅行先で動画を撮影する場合、たいていはカメラを手で持って撮影するため、どうしても手ぶれが発生しやすい。動画の手ぶれを軽減するなら「vReveal」を使うのがオススメ。もちろん手ぶれを軽減させるだけでなく、動画のコントラストやホワイトバランスを調節したり、シャープをかけるといった補正も行える。

 使い方は簡単で、初回起動時に動画が保存されているフォルダを指定すると、そのフォルダ内にある動画のサムネイルが一覧表示される。あとは補正したい動画を選択し、動画を再生させながら各補正効果に対応するボタンを押すだけでよい。このとき、シークバーの左下にあるボタンを押すことで、再生中の動画を左右に分割してオリジナルの動画と補正後の動画を見比べながら補正することも可能。

左がオリジナルの動画、右は手ぶれ補正をかけた動画

 なお、「vReveal」は3,350円のシェアウェアだが、フリーソフトとして利用することも可能。ただし、フリーソフトとして利用する場合は、出力できる動画の解像度が480pまでに制限されるほか、動画の画質を補いつつ解像度を上げる“超解像効果”を利用できないといった制限がかかる。

「Windows Live ムービー メーカー」で面白動画を作成

「Windows Live ムービー メーカー」「Windows Live ムービー メーカー」

 撮影した動画をせっかくYouTubeへアップロードするなら、「Windows Live ムービー メーカー」を使って動画を編集してみよう。「Windows Live ムービー メーカー」では、複数の動画を繋げる、BGMを挿入する、動画の不要な部分を切り取る、動画と動画の間に写真を挿入する、動画に字幕を挿入する、スタッフロールを加えるといった編集が行える。

 基本的な操作は、まず動画や音声ファイルを画面上にドラッグ&ドロップし、帯グラフ状のタイムラインに追加したあと、同じくドラッグ&ドロップで再生する順番を整える。あとは各素材ごとに必要に応じてエフェクトなどを指定していけばよい。本ソフトを使えば、YouTubeやニコニコ動画で見かけるような動画を簡単な操作で作成できるはずだ。

YouTubeへアップロード

「Windows Live ムービー メーカー」のアップロード機能「Windows Live ムービー メーカー」のアップロード機能

 「vReveal」と「Windows Live ムービー メーカー」は、いずれもYouTubeへのアップロード機能を備えている。どちらのソフトからも、動画のタイトルや説明、タグ、カテゴリーのほか、公開範囲を設定してからアップロードすることが可能。

 「vReveal」で補正した動画を「Windows Live ムービー メーカー」で編集してからYouTubeへアップロードしたり、どちらか片方のみを利用してそのままアップロードするなど、用途に応じて使い分けよう。

MEMOYouTubeの公開設定

 YouTubeと言えば動画を見るサイトというイメージが強く、とくにこれまで一度もYouTubeに動画をアップロードしたことがないという人にとっては、自分のプライベートを撮影した動画をアップロードするのは気が引けてしまうかもしれない。

 もちろん個人情報の取り扱いなどに気をつけるのは言うまでもないが、YouTubeではアップロードする動画ごとに公開範囲を以下の3パターンから指定することが可能となっている。

  • 誰でも動画を検索して再生できる“公開”
  • 検索結果などには表示されないが、URLを知っていれば再生できる“限定公開”
  • 指定したYouTubeのユーザーだけが再生できるようにする“非公開”

 景色などを収めた動画は“公開”に設定してみんなに見てもらい、仲間内の動画は“限定公開”にしておいてメールやメッセンジャーソフトでURLを送るというように、これらの設定をうまく利用して、友人や家族と思い出の動画を共有しよう。

ローカルでの管理は「ホワイトブラウザ」にお任せ

「ホワイトブラウザ」「ホワイトブラウザ」

 動画は写真に比べて中身を判別しにくいため、たくさんの動画を保存していると、どれがどの動画かわからなくなってしまいがち。そこで撮影してきた動画は、ただ単にフォルダへ溜め込むのではなく、「ホワイトブラウザ」を使って管理してみよう。

 「ホワイトブラウザ」の画面上に動画が保存されているフォルダをドラッグ&ドロップすると、フォルダ内の動画をデータベースに登録し、一定間隔で選び出されたシーンのサムネイルを表示してくれる。数枚のサムネイルが表示されるだけで、目的の動画をかなり見つけやすくなるはずだ。動画を再生したい場合は、サムネイルをダブルクリックすれば、関連付けされたメディアプレイヤーが起動する仕組み。

 さらに、タグを使った動画の管理も行える。動画にタグをつけて管理すると聞くと面倒な作業が必要に思えるが、「ホワイトブラウザ」では“タグバー”と呼ばれる機能を使うことで、手軽にタグをつけることが可能となっている。

 動画のサムネイルを選択した状態で、あらかじめ“タグバー”に追加しておいたタグをマウスのホイールでクリックすると、選択中の動画へそのタグをつけることが可能。また、“タグバー”の各タグを左クリックすれば、そのタグがついている動画を絞り込んで表示できる。“タグバー”に表示するタグは、メニューの[ツール]-[タグバー編集]から追加できる。

 また「ホワイトブラウザ」では、すべての動画を一元管理するのではなく、複数のデータファイルを使い分けることで、大まかに動画を分類することが可能。データファイルはメニューの[ファイル]-[新規作成]から作成できる。たとえば、旅行先で撮影した動画とWeb上からダウンロードした動画を分けて管理するといった使い方をするとよいだろう。

(長谷川 正太郎、加藤 達也)