トピック

「映像編集のプロ」が試す、動画編集のためのPC選び!「普通のノートPC」から「ミニタワーPC」まで

マウスコンピューターの4モデルを「DaVinci Resolve」で試してみた

動画編集にはどんなスペックのPCが最適?

誰もが動画に関わる時代へ

 今や、ビジネスマンでも自社情報を動画作成して発信する時代となった。また、自分の趣味をネットで発信したい人も、動画を活用することが多いだろう。

Blackmagic Designの人気ビデオ編集ツール「DaVinci Resolve」。無料で使えることもあり、最近は、普通のビジネスマンでもちょっとした動画編集で使っていることも多い。なお、今回はより幅広い検証のため、上位版「DaVinci Resolve Studio」を利用している。

 こうしたニーズの多様化にあわせ、動画編集PCも多様化、非常にハイパワーで複雑な動画編集が行えるデスクトップPCから、出先でも編集できるノートPCまで、様々なPCで「動画編集対応」がうたわれている。

 そこで今回は、かねてより動画編集に強いPCをリリースしているマウスコンピューターから、4種類のPCを筆者独自の観点で選択。筆者は1980年代にテレビ番組の編集者としてキャリアをスタートさせ、アナログからデジタル、SDからHD、SDRからHDRの流れをプロとして体験してきている。そんな経験を活かしてBlackmagic Designのハイエンド編集ツール「DaVinci Resolve Studio 20」を使い、どのような使い方が向いているのか、性能や使い勝手を検証してみた。

 具体的には、同社のスタンダードなブランドである「mouse」ブランドから、「コスパに優れたノートPC」と「ビジネスにも使える高機能なノートPC」を、クリエイター向けブランドである「DAIV」から、「GeForce RTX 4060 Laptop GPU搭載ノートPC」、そして「DAIVブランドのミニタワーPC」といった選択だ。

 一口に「動画編集」と言っても、動画のグレードや編集内容はかなりの違いがある。そうした点を気にしてみてもらうといいだろう。

【記事目次】

4台それぞれ個性あるPC、動画編集ではどう違う?
 - スタンダードなノートPC「mouse A5-A5A01SR-A」
 - 高機能なノートPC「mouse B5-A7A01SR-A」
 - NVIDIA Studio認定のクリエイター向けノートPC「DAIV Z6-I7G60SR-A」
 - DAIVシリーズのミニタワー、NVIDIA Studio認定モデル「DAIV KM-I7G70」
動画編集の性能は「普通のノートPC」と「クリエイター向け」で大きな差
 - SSD性能はどのモデルも十分
実際に編集してみる【普通のノートPC編】
 - 結論:4K編集は厳しいが、高機能モデルならHD解像度が編集可能、コスパ重視モデルは設定次第
実際に編集してみる【DAIV編】
 - 結論:4K編集も余裕、機動力ならノートPC、爆速が欲しいならミニタワー
動画編集のグレードに合わせ、ベストなPC選択を!


4台それぞれ個性あるPC、動画編集ではどう違う?「普通のノートPC」「高機能なノートPC」「クリエイター向けのノートPC」「ハイスペックなミニタワー」

 今回使用するPCは以下の4機種。

 それぞれ具体的に紹介していこう。

①スタンダードなノートPC
mouse A5-A5A01SR-A

オーソドックスなスタイルの「mouse A5-A5A01SR-A

 実売価格79,800円から購入できる、コスパの高さが光るPCだ。

 バッテリーは動画再生で約4時間、ACアダプターは65Wの丸型コネクターだが、USB-PDからの充電も可能だ。この価格ながらテンキーまで備えているのはさすが。

 HDMI出力もあり、デュアルディスプレイにも対応する。サイドに有線LANコネクターがあるあたりも様々な用途で便利だろう。データ取り込みはmicroSDカードスロットも備えている、また、SIMカードスロットも用意されており、BTOオプションでLTEモジュールを追加することでワイヤレスWANが利用できる。割とオールマイティなPCだ。

 学生などにもよく利用されている製品で、まずはこれでどれぐらいの動画編集が可能なのかを見ていきたい。

CPUAMD Ryzen 5 7430U
GPU内蔵GPU(ビデオメモリ共有)
メモリ8GB(シングルチャネル、空きスロット1)
ストレージSSD 256GB(NVMe)
ディスプレイ15.6型(フルHD、ノングレア)
重量約1.61kg
価格(標準構成)79,800円
液晶モニタは反射を拡散するノングレアタイプ
この価格でテンキーまで備える
microSDカードのほか、SIMカードスロットまである
USBーCコネクタは1つ。映像出力もできる。このほかに、HDMI出力も用意されている
背面はシンプルなブラック
付属のACアダプター

②高機能なノートPC
mouse B5-A7A01SR-A

シルバートップが美しい「mouse B5-A7A01SR-A

 高機能なノートPCとして選んだ上位スペックのPCだ。

 一般用途よりも重たいデータ処理やAI利用、動画コミュニケーションほか、軽い動画制作もこなせるクラス。クリエイター向けではないが、オフィスワークを含め、幅広い用途で高い性能を持つ製品と言える。

 バッテリーは動画再生で約10時間、ACアダプターは100Wで、USB PDタイプが付属する。

 横幅をギリギリまで詰めたデザインで、キーボードのテンキーも他のキーより細身。カーソルキーを下方向へ独立させており、視認性が高い。[Copilot]キーを大きめにフィーチャーしているのもポイント。

 背面にHDMI、USBーC、LAN端子を備える。ディスプレイ部はカメラがあるあたりが少し出っ張っており、設計・デザインともに手が込んでいる。データ取り込みはSDカードスロットが用意されている。また底面の排気スリットに至るまできっちりデザインされている、綺麗なPCだ。

CPURyzen 7 8845HS
GPUAMD Radeon 780M(ビデオメモリ共有)
メモリ16GB
ストレージSSD 500GB(NVMe Gen4x4)
ディスプレイ15.3型(WQXGA、ノングレア、sRGB100%、120Hz対応)
重量約1.68kg
価格(標準構成)139,800円
こちらもディスプレイはノングレアタイプ
キー配列。テンキーも用意されている。
左側の端子はシンプル
背面にも端子がある
右側にSDカードスロットを備える
画面カメラ部にもアクセントが
底面の排気スリットはキューブ型のデザイン
充電器はUSBーPDタイプ

③NVIDIA Studio認定のクリエイター向けノートPC
DAIV Z6-I7G60SR-A

クリエイター向けの「DAIV」ブランドに属する「DAIV Z6-I7G60SR-A

 クリエイター向けブランドである「DAIV」に属するノートPC。

 クリエイティブアプリで高パフォーマンスを約束するNVIDIA Studio認定のPCとなっている。

 GPUにGeForce RTX 4060 Laptop GPUを、CPUにCore i7-13700Hを搭載、機動力を活かしながらも映像制作に対応できるタイプで、高輝度・高色域ディスプレイ内蔵のため、安定した色管理が可能なのが特徴だ。

平型のACアダプター

 バッテリーは動画再生で約7.5時間動作可能で、ACアダプターは180Wの丸型コネクターが付属する。USBーCコネクタからの充電にも対応する。

 落ち着いたマットシルバーの筐体で、滑りにくい。タッチパッドも大きめで、グラフィック用途にも適している。ディスプレイは「Dolby Vision」対応、オーディオも「Dolby Atmos for Headphones」に対応しており、AV再生機としても魅力のあるPC。

CPUインテル Core i7-13700H
GPUGeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)
メモリ32GB(16GB×2、デュアルチャネル)
ストレージ1TB(NVMe Gen4×4)
ディスプレイ16型 液晶パネル(WQXGA、ノングレア、sRGB比100%、Dolby Vision対応)
重量約1.60kg
価格(標準構成)279,800円
ディスプレイはノングレアタイプでDolby Vision対応
タッチパッドをセンターに広く取っている
左側にメモリーカードスロット
右側にHDMI出力
ヘッドホン出力はDolby Atmos for Headphonesに対応
底面は放熱スリットがかなりの面積を占める

④DAIVシリーズのミニタワー、NVIDIA Studio認定モデル
DAIV KM-I7G70

「DAIV」ブランドのミニタワー「DAIV KM-I7G70
背面。大型ファンが搭載されている。

 より高度な動画編集に対応できる、DAIVブランドのミニタワーモデル。こちらもNVIDIA Studio認定PCだ。

 GPUにはGeForce RTX 5070を、CPUもCore Ultra 7 265を搭載する高性能モデル。4K/HDRにカラーグレーディングをしながら、動画編集の重たい処理もこなせるプロフェッショナル向け製品だ。

 ミニタワーとは言っても外寸は215×465×380mmで、机の上に置くというよりは床置きPCである。天板にUSBなどのポートがあるのもそうした理由だろう。ディスプレイ出力はマザーボード側に2系統、ビデオカード側に4系統もある。動画パフォーマンスを期待するなら、ビデオカード側の出力を利用するべきだ。

CPUインテル Core Ultra 7 265
GPUGeForce RTX 5070(GDDR7 12GB)
メモリ32GB
ストレージSSD 2TB(NVMe Gen4x4)
重量約10.7kg
価格(標準構成)349,800円
天面にUSBやイヤホン端子を備える
ビデオカードはGeForce RTX 5070

 なお、ディスプレイはiiyamaの「ProLite XB3288UHSU-B5」をお借りした。31.5インチ/4KHDR10対応で、VA方式のノングレアタイプだ。iiyamaのラインナップでは数少ないHDR10に対応した製品で、明暗差の大きな画像でもそれを表現できるのがポイントだ。

ディスプレイはiiyamaの「ProLite XB3288UHSU-B5」を使用


動画編集の性能は「普通のノートPC」と「クリエイター向け」で大きな差

 まずは、動画編集のパフォーマンスを専用ツールで比較してみよう。

 CPU/GPUのパフォーマンスについては、Blackmagic Designが提供している「Blackmagic RAW Speed Test」を使用した。これは同社のRAWフォーマットであるBlackmagic RAWを、圧縮率と解像度、フレームレート別に再生可能かを見るツールで、この結果を見ることで「どれぐらいの動画編集ができるか」の目安になる。

 結果は以下の通りだが、やはり普通のノートPCと、クリエイティブ向けのDAIVでは、かなりの性能差がある。実際の編集も、無理に同じことをやろうとするより、ここで線引きをした方がいいようだ。

【普通のノートPC】
コスパ重視のノートPC「mouse A5-A5A01SR-A」:
CPU性能は3456p(6K)/30fpsまで再生可能。GPU性能では2160p(4K)/60fpsまで再生できる。
高機能ノートPC「mouse B5-A7A01SR-A」:
CPU性能では4320p(8K)/50fpsまで再生可能。ただし、GPU性能は3456p(6K)/25fpsに留まる。
【クリエイター向けPC】
DAIVのノートPC「DAIV Z6-I7G60SR-A」:かなり性能が上がり、CPUは4320p(8K)/25fpsまで再生可能に。かなりバランスが良くなった。3456p(6K)/60fpsの成績が悪いのは、面積が広いのには強いが、高フレームレートには弱いということだろう。
DAIVのミニタワーPC「DAIV KM-I7G70」:群を抜いてよい結果。CPUもGPUも、全解像度・全フレームレートで問題なく再生できる。

SSD性能はどのモデルも十分

 動画編集では、ストレージの速度も重要になるため、これも一応チェックした。チェックツールは、こちらもBlackmagic Designのテストツール「Disk Speed Test」だ。

 これについては、一番安価なmouse A5-A5A01SR-Aのみ、一部の高画質データについて「×」が出たが、それ以外のPCでは、採用SSDによる速度差はあったが、全テストをクリアした。

mouse A5-A5A01SR-A」のSSD性能
mouse B5-A7A01SR-A」のSSD性能
DAIV Z6-I7G60SR-A」のSSD性能
DAIV KM-I7G70」のSSD性能

 以上の結果を総合すると、パフォーマンス面では「GPUの能力差が一番影響が大きい」と考えるのがいいだろう。


実際に編集してみる【普通のノートPC編】フルHDの編集は可能、高機能モデルならより快適に、ただし4Kは厳しい

 では実際に編集してみよう。ノートPCはすべてACアダプターに接続し、フルパフォーマンスで動くように設定している。またディスプレイ解像度は、100%の等倍に変更している。一般のオフィスワークでは、100%では文字が小さすぎて使いづらいところだが、動画編集ではなるべく動画再生面積を広く取りたいので、こうした設定で使用するのがいいだろう。

 なお、今回はあえて負荷をかけるために、Blackmagic「PIXIS 6K」で撮影した6K(6,048×4,032ピクセル)/29.97fps、圧縮率3:1の素材を用いた。

撮影に使用したBlackmagic「PIXYS 6K」

 では、実際に検証していこう。

 本節で見ていきたいのは、マウスコンピューターの「普通のPC」であるmouseブランドに属する「mouse A5-A5A01SR-A」および「mouse B5-A7A01SR-A」の2モデルだ。

 まず、「ちょっと微妙なあたり」ということで、4K解像度のタイムラインで編集してみたが、普通にいくつかのカットを繋ぐ編集作業でもコマ落ちが発生、リアルタイム再生はできない状況。設定を追い込むことである程度緩和できると思うが、このクラスのPCで、Blackmagic RAWを4Kで扱うのは厳しそうだ。

まずは普通にカット編集

 そこでタイムラインの解像度を落とし、HD解像度のコンテンツを作ることにした。「mouse B5-A7A01SR-A」では、これだけでリアルタイム再生できるようになる。

 一方、高コスパモデルの「mouse A5-A5A01SR-A」では、同じことをしてもリアルタイム再生はできなかった。

 だが、そこはよくしたもので、「DaVinci Resolve」には自動でプロキシファイルを作成してくれるツール「Blackmagic Proxy Generator」が付属する。プロキシファイルとは、低スペックのPCで高解像度の動画編集を行うための仕組みで、プロキシファイルを作るなどの手間と時間が必要になるが、一度作ってしまえば、快適に編集できるというものだ。

 そこで、プロキシファイルを作成し、それをタイムラインに読み込んだが、実はまだちょっと厳しい。

「DaVinci Resolve」付属の「Blackmagic Proxy Generator」

 そこでタイムラインの解像度を1/2に落としたところ、無事リアルタイム再生できるようになった。

タイムラインの解像度を下げるのはかなり有効

 映像素材はRAWファイルなので、本格的な編集を行うには、LUTの適用やカラーグレーディングが必要だ。「mouse A5-A5A01SR-A」および「mouse B5-A7A01SR-A」ではSDR向けのLUTを使い、コントラスト調整などしてみたが、再生に支障が出ることなく作業できた。

mouse A5-A5A01SR-A」はプロキシ+1/2解像度、「mouse B5-A7A01SR-A」はタイムラインをHD解像度にしただけで、オリジナルファイルのままである。

LUT適用やカラーグレーディングは問題なく作業できた

 ディスプレイの色味はしっかりしており、SDRのコンテンツなら色をいじる場合でも特に支障なく作業できる。

 約42秒のタイムラインを、HD解像度でYouTube向けに出力してみたところ、「mouse A5-A5A01SR-A」では6分3秒、「mouse B5-A7A01SR-A」では1分54秒で出力できた。

Blackmagic RAWからSDRコンテンツを作成

結論:4K編集は厳しいが、高機能モデルならHD解像度が編集可能、コスパ重視モデルは設定次第

 以上から総合的に考えると、高コスパモデルの「mouse A5-A5A01SR-A」は、DaVinci Resolveが持つプロキシ編集機能を活用したり、設定を変更すれことで、ライトな編集なら十分使える。社内報告用などとして、スマホで撮影したHD解像度の動画を短く編集して送ったり、ネットで公開するといった用途には対応できるだろう。

 また、高機能モデルの「mouse B5-A7A01SR-A」は、さすがに性能が高く、細かい設定をしなくてもフルHDの動画を編集できる。デジタルカメラのHD解像度で撮影した映像を編集する、あるいは4K作品を本番編集する前に軽く繋いでみるといった用途が良いだろう。ただ、4K解像度のものをそのまま本格的に編集すると重さを感じることになるだろう。

 出力速度の結果でもわかるように、「mouse A5-A5A01SR-A」と「mouse B5-A7A01SR-A」の価格差は約1.5倍だが、動画編集のパフォーマンスに関しては2倍以上の差がある。「mouse B5-A7A01SR-A」はかなりお買い得なPCと言えそうだ。


実際に編集してみる【DAIV編】ノートPCでも4Kが快適に編集、ミニタワーなら爆速&HDRが便利に

 続いてDAIVブランドのノートPC「DAIV Z6-I7G60SR-A」とミニタワーPC「DAIV KM-I7G70」を使ってみる。こちらは元々クリエイター用PCなので、同じソースから4K/HDRコンテンツを作ることにする。

 タイムラインは4K/HDRに設定し、先ほどと同じように編集した。

 両PCともに再生は全く問題ない。HDR向けのLUTを適用、ガンマカーブや色味をいじったが、パフォーマンス的には問題なく作業できた。どちらもGPUはNVIDIA製なので、表示能力は高い。

4K/HDRのグレーディングにも十分対応できる

 ただHDR表示に関しては違いがある。

 「DAIV Z6-I7G60SR-A」の液晶ディスプレイはDolby Vision対応だが、HDRビデオストリームには対応するものの、HDRゲームやアプリは未サポートとなっている。つまり動画が全画面表示になって、制御をビデオカードに渡してしまえばHDR表示できるが、「DaVinci Resolve」内のはめ込み動画画面は正確なHDR表示ではない。

DAIV Z6-I7G60SR-A」のHDR設定

 HDRをグレーディングするには、HDMIにHDR対応のテレビなど外部ディスプレイを接続して、そちらで確認しながら作業した方がいいだろう。

DAIV Z6-I7G60SR-A」にHDMIで4K/HDRテレビを繋げばHDR映像をモニターできる

 一方、ミニタワーの「DAIV KM-I7G70」は、ビデオストリームだけでなくアプリもHDRをサポートしているので、HDR対応ディスプレイを使っていれば、「DaVinci Resolve」内の動画ウィンドウもHDR表示になっている。HDR表示対応のセカンダリーディスプレイを繋ぎ、そちらにフル画面表示させることもできる。

DAIV KM-I7G70」のHDR設定

 NVIDIA製GPUのPCなら、さらに「DaVinci Resolve」バージョン20で搭載されたAI Super Scaleという機能内で、特殊機能を使用できる。AI Super Scaleは映像を拡大した際に、AIを使ってより高度な補間処理を行い、画質劣化を防ぐというものだ。

 AI Super Scaleは通常の「2x強化」モードなら大抵のPCで再生速度が0.5fpsぐらいになってしまう超絶重たい処理だが、NVIDIA製GPU搭載PCの場合には、「2×NVIDIA RTXビデオ」というモードが使える。

「2×NVIDIA RTXビデオ」を使えば高速AI処理が可能
「2×NVIDIA RTXビデオ」で作成した結果

 これを使えば、「DAIV KM-I7G70」ではリアルタイムで、「DAIV Z6-I7G60SR-A」でも11.2fpsぐらいで再生できる。AI処理を爆速で行える良さが出ている。

 同じく42秒のタイムラインを4K/HDRでProRes422に出力したところ、「DAIV Z6-I7G60SR-A」では4分38秒、「DAIV KM-I7G70」では33秒で出力できた。さすがミニタワー機は爆速だ。機動性が高いノートか、演算能力重視でミニタワーか、という使い分けになってくる。

結論:4K編集は余裕、機動力ならノートPC、爆速が欲しいならミニタワー

 クリエイター向けブランドをうたうだけあり、検証したノートPC、ミニタワーPCともに、4K解像度の編集は余裕で対応できる。

 ノートPCの「DAIV Z6-I7G60SR-A」なら、機動力を活かして「撮影現場でラフに編集してつながりや雰囲気を確認する」「本番前にラッシュ編集してみる」といった用途に便利そうだ。また、撮影は4KだがフィニッシュはHD解像度、といったパターンにも強い。外部ディスプレイを接続すれば、HDRコンテンツのグレーディングも可能だ。

 一方のミニタワーPC「DAIV KM-I7G70」は、フルタワーではないものの、それに匹敵するパフォーマンスを発揮した。NVIDIA Studio認定モデルとしてはもっとも低価格で、省スペースな準ワークステーションとして安心して使える。4K/HDRコンテンツのフィニッシングにも対応できるので、当然それ未満のコンテンツ制作はサクサクだ。特に、出力時間の爆速ぶりはさすがと言える。制作時間が限られる報道などでも重宝されるだろう。


動画編集のグレードに合わせ、ベストなPC選択を!

オーソドックスなスタイルの「mouse A5-A5A01SR-A
シルバートップが美しい「mouse B5-A7A01SR-A
クリエイター向けの「DAIV」ブランドに属する「DAIV Z6-I7G60SR-A
「DAIV」ブランドのミニタワー「DAIV KM-I7G70

 スタンダードなノート2台と、クリエイティブノートPCとデスクトップPCの計4台を使ってみたが、パフォーマンスの差がしっかり出る結果となった。

 一定の工夫をするなら高コスパな「mouse A5-A5A01SR-A」でも動画編集をできないこともないし、高機能ノートPCの「mouse B5-A7A01SR-A」ならフルHDの編集が可能、そしてクリエイターブランドの「DAIV」に属するノートPC「DAIV Z6-I7G60SR-A」であれば4K解像度でも出先で編集できるし、DAIVのミニタワー「DAIV KM-I7G70」なら爆速が手に入る。

 これらはもちろん「価格が上がれば性能も上がる」という関係だが、今回の4製品はそれぞれにあわせた最適化がされており、特に3つのノートPCはそれぞれデザインにも違いがある。ガワは同じで性能だけ違うといったノートが増えている中、シリーズごとにきっちりデザインの手が入っているのが、マウスコンピューターの特徴だろう。

 動画編集のグレードに合わせて、ベストなPCを選択してほしい。

小寺 信良

1963年、宮崎県出身。
18年間テレビ番組編集者を務めたのち、文筆家として独立。
専門分野はコンシューマ映像機器、放送機器、映像技術、放送文化、著作権行政、エネルギー問題、子供とIT、PTAなど。
2019年より故郷の宮崎県へ移住し、執筆活動を続ける。