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Microsoftが「Windows 11」のシステム要件を見直しへ ~「PC 正常性チェック」ツールはいったん撤回

セキュリティの強化、信頼性の向上、互換性の確保の3原則を示し、要件の緩和を模索

「PC 正常性チェック」ツールはいったん撤回

 米Microsoftは6月28日(現地時間)、「Windows 11」の最小システム要件のアップデートを発表した。「Windows 11」へのアップグレードが可能かどうかを判定する「PC 正常性チェック」ツールに関しては、準備が不足していたとしていったん撤回するという。

 Windows 11のシステム要件は比較的厳しく、暗号化チップ「TPM 2.0」が必須とされるほか、CPUファミリー/モデルとして最低でもIntelの第8世代プロセッサー、AMDの「Zen 2」、Qualcomm 7/8シリーズが求められている。そのため、「PC 正常性チェック」ツールでWindows 11へアップグレードできないと判定されるシステムが続出しており、不安がユーザーの間に広まっている。

 同社によると、Windows 11で比較的厳しいシステム要件が課されている理由として、以下の3つが挙げられるという。

  • セキュリティの強化:Windows Helloやデバイスの暗号化、仮想化ベースのセキュリティ(VBS)、ハイパーバイザーで保護されたコードインテグリティ(HVCI)、セキュアブートといった保護機能を有効にするためには、対応するハードウェアが必要となる。これらのセキュリティ機能を有効化できれば、マルウェアを60%削減できる
  • 信頼性の向上:Windows 11では新しい「Windows Driver Model」が導入される。対応CPUは絞られてしまうが、ドライバー由来のクラッシュを99.8%回避できる
  • 互換性の確保:「1GHz以上、2コア以上、64bit互換CPU/SoC」というCPU要件は「Microsoft Office」やWindows 11のタスクバーに統合される「Microsoft Teams」の最小システム要件と同じで、アプリケーションとの互換性を保つための必要

 これらの原則を踏まえると、「TPM 2.0」と上記CPUファミリー/モデルが必須となるわけだ。しかし、第7世代Intel CPUやAMDの「Zen 1」に関してはこの原則を満たせる可能性があるため、要件の緩和を視野にいれつつ時間をかけてテストを行っていくという。

 また、「Windows Insider Program」におけるプレビューでは、「TPM 2.0」とCPUファミリー/モデルは要件に加えられない。多様なシステムにプレビュービルドを提供することで、より最適なハードウェア要件を探りたいとしている。

 一方、「PC 正常性チェック」ツールに関しては、Windows 11へアップグレードできない場合にその理由をはっきり示さなかったことで混乱を招いたことを認め、アプリケーションが期待されていた水準に達していなかったことを謝罪。ツールを一時的に削除することが発表された。今秋の一般提供に向けていずれは再公開される見込みだが、それまでは最小システム要件ページを確認してほしいとしている。Microsoftが公式に認めているものではないが、有志が開発するチェックツールを頼ってもよいだろう。