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「NTLM」の廃止、「Kerberos」への移行は第2フェイズへ ~Microsoftが発表

「IAKerb」「LocalKDC」が今月にもCanaryチャネルでパブリックプレビュー

同社のアナウンス

 米Microsoftは6月2日(現地時間)、Kerberos認証のサポート機能「IAKerb」と「LocalKDC」のパブリックプレビューを今月後半にも開始すると発表した。「Windows Insider Program」のCanaryチャネルで、クライアント・サーバーともに展開される。

 「NT LAN Manager」(NTLM)は「Windows NT 3.1」で導入されたユーザー認証方式で、30年以上にわたりWindows認証の一部として利用されてきたが、もはや時代遅れとなっている。そこで、3ステップにわたる段階的な廃止フェイズが進行中だ。Microsoftはより安全な「Kerberos」への移行を推奨し、その支援を行っている。

  • フェイズ 1(実施済み):「Windows Server 2025」と「Windows 11 バージョン 24H2」で強化された「NTLM」監査機能を提供。「NTLM」がどこで使われているかを把握できる
  • フェイズ 2(2026年後半):「NTLM」依存の主要課題解消を支援。移行が円滑になるように「Kerberos」を拡張した「IAKerb」や「Kerberos」用のローカル鍵配布センター(LocalKDC)を提供
  • フェイズ 3(次期Windowsサーバー・クライアント):「NTLM」を既定で無効化。必要な場合のみポリシーで有効化できる

 「NTLM」から「Kerberos」への移行にあたってはさまざまな問題があり、以下のようなシナリオでは依然「NTLM」が使われているのが実情だ。

  • ドメインコントローラー(DC)に直接到達(line-of-sight)できないデバイス
  • ローカルアカウントが絡む認証フロー
  • スタンドアロンやワークグループの環境
  • 「Kerberos」の到達性が限られるネットワーク構成

 「IAKerb」と「LocalKDC」はこうしたギャップを削減し、「NTLM」フォールバックへの依存を軽減する。

 「IAKerb」(Initial and Pass-Through Authentication using Kerberos)は、DCに直接到達できない場合でも、サービスが代理で「Kerberos」チケットの取得を仲介する。ネットワークの分離(セグメント化)やドメインコントローラーの可視性が制限された環境、リモート・クラウド接続などで特に有用だ。

 一方の「LocalKDC」はWindowsに実装された「Key Distribution Center」(鍵配布センター)で、ローカルアカウント認証を「Kerberos」で扱えるようにする。デバイスをまたぐローカルアカウントの認証は従来「NTLM」に依存しがちだったが、「LocalKDC」があればそれは不要となる。ワークグループ環境やスタンドアロン端末、ローカルアカウントによるリモートリソースへのアクセス、ドメイン基盤を持たないピアツーピア・小規模環境などが対象となる。

  • IAKerb:企業・ドメイン環境の「NTLM」フォールバックを削減
  • LocalKDC:ローカル・非ドメイン環境の「NTLM」フォールバックを削減

 「Kerberos」をドメインの企業向け資格情報とローカルアカウントの双方へ浸透させることにより、「NTLM」フォールバックに依存してきた資格情報の窃取やリレー型攻撃――横方向への侵害拡大(ラテラルムーブメント)を含む――への耐性を高められる。

 今後のプレビュービルドでは、「IAKerb」と「LocalKDC」が以下のように設定される予定。

  • IAKerb:既定で有効
  • LocalKDC:既定で無効

 いずれもレジストリキーで設定の変更が可能で、グループポリシーやMDM(モバイルデバイス管理)による管理手段もいずれ提供される予定だ。