NEWS(12/08/09 18:17)

The Document Foundation、多数の機能が追加された「LibreOffice」v3.6を公開

「Calc」で“データバー”“カラースケール”を利用可能に

「LibreOffice」v3.6.0「LibreOffice」v3.6.0

 The Document Foundationは8日、「OpenOffice.org」から派生したオープンソースのオフィス統合環境「LibreOffice」の最新正式版v3.6.0を公開した。最新版では、表計算ソフト「Calc」を中心に多くの機能追加が施されている。

 「Calc」では、セルの数値をもとにセルの背景へ棒グラフを表示する“データバー”と、セルの数値をもとにセルの背景色を変更する“カラースケール”に対応した。データバーやカラースケールを利用するには、まず[書式]-[条件付き書式設定]メニューの[条件付き書式設定]項目から開くダイアログで[追加]ボタンを押す。次に、左端に現れたプルダウンリストを“すべてのセル”へ切り替えれば、データバーもしくはカラースケールの設定項目が現れる。左から2番目のプルダウンリストで“2色スケール”“3色スケール”項目を選べばカラースケール、“データバー”項目を選べばデータバーを利用可能。

“データバー”と“カラースケール”“データバー”と“カラースケール”

“条件付き書式設定”ダイアログ“条件付き書式設定”ダイアログ

書式を除いたテキスト情報のみや数値のみを貼り付け書式を除いたテキスト情報のみや数値のみを貼り付け

 また、書式を除いたテキスト情報のみや数値のみを貼り付けることが可能になったほか、右クリックメニューからセルを結合できるようになった。さらに、文書を新規作成した際のシートの数やシートを新規作成した際のシート名をオプションダイアログの“LibreOffice Calc”-“既定値”画面から設定できるようになっている。

セルを結合セルを結合

オプションダイアログの“LibreOffice Calc”-“既定値”画面オプションダイアログの“LibreOffice Calc”-“既定値”画面

CSVエクスポート時のダイアログCSVエクスポート時のダイアログ

 そのほか、CSVのインポート・エクスポートも強化。インポート時には64,000文字以上のテキストを含む行が存在してもインポート可能になるなどの改良が施された。また、エクスポート時のダイアログに“計算結果の代わりにセルの数式を保存”チェックボックスが追加された。

 ワープロソフト「Writer」では、同じスタイルで入力している文章で改行された場合に自動で行間を広げる機能が追加された。自動で行間を広げる機能は、段落設定ダイアログの“同じスタイルの場合は段落間にスペースを追加しない”チェックボックスをONにすることで無効化することもできる。また、「Microsoft Office」の“SmartArt”機能で作成された図をインポートできるようになったほか、ステータスバーに単語数を表示する仕様になった。ただし、編集部にて試用したところ、日本語の場合は一部の記号などを除いた文字数が表示される模様。

段落設定ダイアログ段落設定ダイアログ

ステータスバーに単語数を表示ステータスバーに単語数を表示

 プレゼンテーションソフト「Impress」には、ワイドモニターを使ってプレゼンテーションを行うためのページ設定が追加された。また、スライドの背景画像を指定できる“マスターページ”に10種類の画像が追加されている。

ページ設定ダイアログページ設定ダイアログ

“マスターページ”に10種類の画像が追加“マスターページ”に10種類の画像が追加

 全般的な変更点としては、画像リサイズのアルゴリズムにランチョス法が追加され、文書を画像の解像度を低くしたPDF形式でエクスポートする際の画像品質が向上したほか、PDFエクスポート時に透かしを挿入できるようになった。また、ページスタイルの用紙サイズに日本のはがきサイズが追加されたほか、「Corel Draw」で作成した文書を開けるようになった。そのほか、画面デザインも改善されている。さらに、ユーザーインターフェイスの日本語表記において、“プリンター”や“フィルター”などカタカナ語の末尾を長音で伸ばせるものは伸ばすように統一された。

PDFエクスポート時に透かしを挿入PDFエクスポート時に透かしを挿入

ページスタイルの用紙サイズに日本のはがきサイズが追加ページスタイルの用紙サイズに日本のはがきサイズが追加

 本ソフトは、Windows 2000/XP/Vista/7/8などに対応するフリーソフトで、現在The Document FoundationのWebサイトや窓の杜ライブラリからダウンロード可能。なおv3.6.0は正式版であるものの、熟練したユーザー向けのリリースとなっている。より安定したバージョンが公開されるまでの間、実務向けに利用する場合はv3.5系の利用をお勧めする。

お詫びと訂正:記事初出時、ステータスバーへ表示される単語数に関する記述が一部誤っておりました。お詫びして訂正いたします。

【著作権者】
LibreOffice contributors and/or their affiliates
【対応OS】
Windows 2000/XP/Vista/7/8など
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
3.6.0(12/08/08)

(長谷川 正太郎)