レビュー

ファンシーな世界に探索とバトルの楽しさが詰め込まれたRPG「箱庭セレナータ」体験版

仕掛け満載のダンジョンをスキルを駆使して探索。体験版だが短編として完結した内容

「箱庭セレナータ」体験版

 「箱庭セレナータ」は、白雪姫やグレーテルといった物語のキャラクター達が、不思議な世界を探索していくRPG。開発中の作品で現在は体験版のみ公開されているが、体験版は本編の前日譚という位置付けでストーリーはいったん完結しており、ボリュームも3~5時間程度と単体の短編RPGとして十分楽しめる内容となっている。

 体験版で登場するキャラクターは、アリス・グレーテル・ラプンツェル・白雪姫・ベアトリーチェ。本作の特徴はキャラクターごとに用意された多彩な探索スキルで、例えば白雪姫ならリンゴ爆弾で岩を壊したり、ラプンツェルならフックショットで穴を飛び越えたりして先へ進んでいく。

 各キャラクターはバラバラの世界で目覚めたのち合流し、その後はギミック満載のダンジョン“試練の迷宮”へ挑むという流れ。探索スキルを切り替えながら道を切り拓いていくほか、パーティを複数に分けて共同でスイッチを押して先へ進むような場面もある。隠し通路や動かせる障害物なども随所に仕掛けられており、探索型RPGの醍醐味が存分に詰め込まれた作品だ。

バラバラの世界で目覚めた5人は、まずは他のメンバーと合流するため世界からの脱出を目指す。各キャラクターの世界は、それぞれの探索スキルのチュートリアルを兼ねている
複数パーティが共同で仕掛けを解く場面も
リングメニューで探索スキルを切り替える。操作パーティの変更やメンバーの合流・分離もここから
戦闘はコマンド選択型

 戦闘システムはオーソドックスなターン制のコマンドバトルだが、キャラクターごとに2回攻撃可能、魔法特化、パーティ全体を守る盾スキル持ちなど役割分担がはっきりしている。さらに、数十種類も用意されたスキルを4つまで自由に装備可能。魔法やアクティブ・パッシブスキルに加え、通常攻撃が全体化・敵の防御力無視などとコマンド自体が変化するものもあり、組み合わせ次第で戦闘スタイルががらっと変わるのが面白い。

 一方で、エンカウントはランダム制だが特定のエリア以外はエンカウント率が低めに抑えられており、探索を阻害されてストレスに感じることはまずない。レベルアップによるステータスの増加も控えめで、レベル上げではなく探索でスキルを集めることによってキャラクターを強化・カスタマイズし、さまざまな戦術を試すというやり応えのあるバトルが魅力だ。

武器専用のスロットが1つ、スキルなどを自由にセットできるスロットが4つある
クリアに必須ではない強敵も用意されており、大ダメージの追求もアツい

 なお本作は、多くの商業・同人ゲームなどに楽曲を提供している作曲家・坂本昌一郎氏が自ら制作中のゲームであり、もちろん本作のBGMも同氏が手がけている。体験版では今のところ、一部BGMは同氏が別サークルへ提供した楽曲をサークル協力のもと使用しているが、通常戦・中ボス戦曲は本作書き下ろしで、アップテンポな楽曲がバトルを盛り上げてくれる。勢いのある勝利ジングルも耳に心地よい。

“試練の迷宮”には本作の世界観が垣間見えるテキストが散りばめられている

 ゲームとしては探索と戦闘の楽しさが凝縮された内容に加え、探索時のメッセージ表示やメニューのUI、戦闘の進行などあらゆる面で動作が軽快なのもポイント。マップ上にある物を調べるとちょこちょこ反応があるのも賑やかで、手触りが気持ち良いプレイ感となっている。シナリオはイベントで語りすぎず、ダンジョンに散りばめられた本などから世界観が垣間見えるものとなっており、おとぎ話から出てきたような可愛らしいキャラクターと相まって先が気になる内容。本編のリリースも楽しみな作品だ。

ソフトウェア情報

「箱庭セレナータ」体験版
【著作権者】
sound sepher
【対応OS】
Windows 7/8
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】
0.055(15/01/06)

(中村 友次郎)