レビュー

限られた期間でパーティを強化し魔獣を倒せ!ワンマップ・リソース管理型RPG「幽獄の14日間」

仲間を召喚し錬金で装備を作成。限りあるリソースを駆使し閉鎖空間からの脱出を目指す

「幽獄の14日間」
ゲームの舞台となるのは、1画面半程度の小さな1マップ
錬金により装備品などを揃えていく

 「幽獄の14日間」は、14日という限られた期間でキャラクターを強化し、“幽獄”と呼ばれる閉鎖空間からの脱出を目指すRPG。フリーゲームとして公開されており、想定プレイ時間は1~2時間程度。RPGツクールMV製で、Windows版をふりーむ!からダウンロードできるほかWeb上でプレイ可能なブラウザー版も用意されている。

 魔術の牢獄である幽獄は、外部から支援者が介入することにより14日間は出口が開けられているが、その前には魔獣が立ち塞がる。幽獄の力によって主人公の能力は白紙に戻されてしまっているため、出口がなくなる14日後までに仲間を増やし装備を整え、魔獣を倒せるだけのパーティへと育てるのがゲームの目的だ。

 幽獄にはアイテムを合成できる錬金釜やその素材を入手できる鉱脈と魔法樹、日数をかけて魔術を習得できる図書館など、支援者が用意した施設がある。なかでも脱出の要となるのが召喚魔法陣で、主人公のMPを10消費してパーティメンバーとなる“聖霊”を召喚することが可能。ただし召喚内容はランダムで、モンスターが召喚されることもある。錬金で生成した触媒を使えば聖霊を決め打ちで召喚できるが、素材が比較的希少なため使える機会はそう多くない。

 もっとも、モンスターを倒してレベルを上げたり素材を入手するのもパーティの強化には重要な要素で、このランダム召喚の活用がプレイの多くを占める。出現するモンスターもランダムで、ときには物理攻撃が効きにくい敵や中ボス的な強敵が出現することも。常に余裕がない中でどんな敵が出てくるかわからないという状況、そして戦闘不能者には経験値が入らないという仕様がプレイに程よい緊張感を与えてくれる。

聖霊を召喚し仲間に加える。可愛らしい少女のような姿をした聖霊達のイラストも見どころ
戦闘はATB。コマンド選択から発動までにタイムラグがある方式で、回復魔術が間に合うか……など緊迫した状況になることもしばしば

 本作のポイントは、入手可能なあらゆるリソースに限りがあること。鉱脈や魔法樹は1日に入手できる数が限られており、さらに取り過ぎると翌日に自然回復する量が減るためバランスを考える必要もある。また、MPは1日を終わらせて休息する以外に回復手段がない。とくに主人公のMPは召喚に使う貴重なリソースである一方、主人公だけが覚える全体バフ魔術や素材を入手できる魔術などもあり、限られたMPをどう使うかは非常に悩む点だ。

 こうしてパーティを育成しつつ臨む戦闘自体も、それぞれの聖霊が覚える固有魔術の活用が重要な、やり応えのあるものとなっている。戦闘には主人公と聖霊3人までの計4人が同時参加可能で、主人公が戦闘不能になると即ゲームオーバーだが、聖霊が戦闘不能になると控えメンバーが居れば入れ替わる。強敵との戦いは、まさに総力戦といった趣だ。

鉱脈や魔法樹は1日に素材を取りすぎると翌日の回復量に響く
強敵との戦いでは、パーティ編成と固有魔術の活用が勝負を分ける

 プレイ感としては、ランダムでイベントが発生し手持ちのリソースでこれを打開していくローグライクRPGと、素材を集めて装備品などを揃えていく錬金RPG、それぞれの肝となる要素を幽獄というコンパクトな1マップに凝縮したような印象。残り日数を見据えたリソース管理と、『手持ちの素材でいま生成すべきは武器か防具か』『リスクを犯して召喚を行うか、MPを素材生成に回すか』など取り得る選択肢の中でいま一番必要なものは何かを見極める意志決定に注力できる作りだ。セーブスロットは1カ所のみで、随時上書きでオートセーブされるという仕様も選択の重要性を引き上げる仕掛けとして機能している。

 召喚できた聖霊や手に入った素材といったランダム要素によりプレイ内容が大きく変わってくるため、周回プレイも楽しめる。出口にはいつでも向かうことができるので、より少ない日数でのクリアに挑戦するのも面白い。HARDモードの実装も予定されており、こちらも楽しみな作品だ。

ゲームを進めると1日1回、商人と物々交換で取引が可能になる。3つの取引内容から選べるのは1つだけとなっており、どれも欲しい物だと選択に悩むことに……
新規聖霊加入などの節目には会話イベントも発生。楽しい掛け合いの中に独自の魔術体系を持つ世界観が垣間見えたり、プレイのヒントも盛り込まれている。イベント回想も可能

ソフトウェア情報

「幽獄の14日間」
【著作権者】
饗庭淵 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.02(16/04/03)

(中村 友次郎)