杜のAndroid研究室

第235回

シューティング風ストラテジーゲーム「ジャスティス レギオン」

索敵が戦術の肝。二足歩行兵器などさまざまな機体を操り、ヒット&アウェイで敵を倒せ!

 『杜のAndroid研究室』では、スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”をテーマに、窓の杜スタッフが厳選したアプリなどを紹介していく。今回は、シューティングゲーム風のターン制ストラテジーゲーム「ジャスティス レギオン」を紹介しよう。

全方位STGライクなターン制ストラテジー

見た目や操作はシューティングゲーム風だが自ターン進行中は敵が静止しており、じっくり考えられる

 「ジャスティス レギオン」は、見下ろし型のマップ上で二足歩行兵器などさまざまな機体を操り、敵を殲滅してステージをクリアしていくゲーム。ぱっと見では全方位シューティングゲームのような画面だが、フィールド上を自機と敵集団が交互に行動する、ターン制のストラテジーゲームとなっている。

 自機の行動時は、全方位シューティングゲームのように仮想パッドで移動と旋回を行い、機体ごとに用意された主兵装・副兵装いずれかを使って攻撃を行う。それぞれの行動にはAP(行動力)を消費し、APゲージが尽きるとターン終了という流れ。兵装によってはAPがある限り複数回使用可能だ。

 セガのアクティブ・シミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア』シリーズをご存じの方なら、それを見下ろし型にしたものと言えばわかりやすいかもしれない。ただし本作では自ターン進行中は一方的に行動可能で、敵に応戦される要素はない。

 全22面あるステージは、狭い通路に敵が待ち伏せしていたり、攻撃すると爆発して敵・味方共にダメージを与える爆弾があったりとバラエティ豊か。遮蔽物を利用し敵から隠れながら、ヒット&アウェイを狙っていくのが醍醐味のゲームとなっている。1ステージは3~5分程度でプレイできるものが中心で、繰り返しプレイ可能だ。さらに機体を開発し、さまざまな機体で異なる攻略法を試す楽しみもある。

通路に隠れている敵を発見!素通りしたら後ろから撃たれていたところ
黄色と黒のマークは爆発物。攻撃を当てれば誘爆で敵を簡単に倒せる。ただし巻き込まれないように注意

 なお本作は、対戦型全方位シューティングゲーム「真 燕派烈伝」(1998年リリース)など、シューティングゲームを中心にフリーソフトやシェアウェアのゲームを長年公開しているTEA氏の最新作だ。

敵の視界を避けつつ、背後からの攻撃が基本

背面を取るのが戦術の基本

 本作の戦闘において最も重要なのは、視界の要素だ。自機はある程度近くに居る前方の敵のみ視認することができ、見つけた敵は画面上に表示される。これは敵も同様なので、ターン終了時には遮蔽物に隠れるなどして敵に見つからないよう、残りAPに留意して移動や攻撃を行う必要がある。

 背後からの攻撃は3倍のダメージとなるので、敵の後ろに回り込み、一気に倒して離脱、というのが定石だ。また、APを大量に消費することで、銃撃系のダメージを減衰する“防御体勢”またはミサイル系の攻撃を一定確率で回避する“回避準備”をとることが可能で、敵に身を晒さねばならない時はこれらを活用することになる。

 ゲームの進行によって解放されていく“特殊兵装”も攻略のポイント。敵の方向を矢印で表示してくれる“アクティブレーダ”などがあり、1つを選んで装備できる。使用時にAPを消費するほか、装備すると最大APも減るので、戦闘スタイルやステージの状況、機体との相性を考えて選ぶのがポイント。たとえば大きく加速移動する“ロケットブースタ”は、装備するために必要なAPは多いが使用時の消費APは少ないため、広いマップで使えば移動のAPを大幅に節約でき効果的だ。

防御や回避にはAPが300必要。他の行動によりAPが300を切ってからでは発動できないため、移動して隠れるか、防御や回避で凌ぐかの判断を迫られる
“アクティブレーダ”により、敵の居る方向を把握できる

 そのほか、ステージによっては僚機が登場。自機→僚機→敵の順でターンが進行するのでこちらの手数が2倍になり、別方面へ進撃したり、囮にしたりと戦術の幅が広がる。なお、僚機は自動で行動させることも可能だが、筆者がプレイした限りではあまり合理的ではない動きをすることも多かったため、自分で操作するのがお勧めだ。

攻撃方法が異なるさまざまな機体を開発して使いこなそう

 ゲーム開始時から使える機体は、バルカン砲とミサイルを搭載したスタンダードな性能の二足歩行兵器“量産型デュエンディ”。他の機体は“開発”を行うことで使用可能となる。貫通攻撃が可能な戦闘機や、近接攻撃タイプの“剣豪型デュエンディ”など機体により攻撃方法が大きく異なるほか、ダメージへの耐久度やAPの最大値も変化する。

複数の敵や障害物を貫通して攻撃できる主兵装“スプラッシュ”を持つ“強襲プラットフォーム”
近接攻撃に特化した“剣豪型デュエンディ”。小・中型が相手なら正面からでも一撃必殺だ

 開発は、航空力、兵器工学、ロボット工学の3分野に資金を投入することで行う。資金はステージクリアでも手に入るが、ゲームの起動中は1秒ごとに勝手に増えていき、資金を投入して1秒ごとに増える額を上げることも可能。画面を放置していても億単位のお金がみるみる増えていくさまは、一時期人気を博したブラウザゲーム「Cookie Clicker」を思い起こさせる。

 各分野への資金投入は10億、100億、1,000億……と桁を増やす形で選択し、3分野への投入資金の組み合わせで開発される機体の傾向が決まるようだ。また、ステージ中で敵にある程度ダメージを与えると“捕獲”が可能になり、捕獲した機体は開発されやすくなる仕組みだ。

資金を投入し、機体を増やすことができる
機体選択画面。残機が0の機体はシルエットで表示される

 開発された機体は残機が増加し、選択してステージへ出撃可能となる。ただし撃破されてステージ攻略失敗となったり、ステージを中断し(Android端末側の戻るボタンを押すことで可能)撤退すると残機を失い、残機が0になると再び開発するまでその機体は使えなくなってしまう。

 とはいえ、前述のように開発資金が湯水のように増えるので、気軽にさまざまな機体を試すことが可能。また、量産型デュエンディだけは残機が無限で、ステージによって有利な機体などはあるが量産型デュエンディだけでも十分クリアできるゲームバランスとなっている。

 なお、僚機については開発では増えず、僚機選択画面で取得できる“設計コード”を他のプレイヤーに渡すことで、渡された側で使用機体が増えるという一種のソーシャル要素となっている。僚機はすべて残機無制限となっており、破壊されてもとくにペナルティはない。

緊張感のある攻防と、プレイスタイルの幅広さが魅力の作品

油断すると画面外から撃たれ、何が起きたかもわからぬ間にゲームオーバー

 ステージを進めるたびに敵の攻撃は激しくなっていく。通り過ぎた場所から敵が出てきて背後に大打撃、うっかり突出しすぎて蜂の巣になりゲームオーバーなど、見えないがゆえの緊張感が楽しい作品だ。とはいえターン数の制限はないため、慎重に進めればクリア自体はそれほど難しくはない。

 移動・旋回で小刻みにAPが減るにも関わらず、機体によってはそこそこ慣性もつくため仮想パッドでの操作にはやや神経を使うが、慣れれば機体を思うがままに操れる達成感を味わえるだろう。またゲームパッドにも対応しており、PS3純正のDUALSHOCK 3で試したところ右スティックによる旋回操作にやや癖があったが、左スティックによる移動は快適に行うことができた。

 滑腔砲を備えた戦車と遠くを見渡せる特殊兵装“スコープ”を組み合わせて狙撃したりとプレイスタイルの幅も広く、作者によるとさらなる武器のアイデアなども募集しているとのこと。手軽に遊べてやり込みもできる戦術ゲームをお探しならお勧めの一作だ。

ソフトウェア情報

「ジャスティス レギオン」
【著作権者】
TEASOFT
【対応OS】
Android 2.3以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
5.1(15/04/02)

(中村 友次郎)