#モリトーク

第137話

NASA製天体シミュで木星とエウロパに思いを馳せる

「NASA's Eyes」

 先月26日、木星の衛星“エウロパ”から噴出している水蒸気の存在を示唆する観測データが発表された。厚い氷で覆われたエウロパの内部には、液体の海水が存在すると考えられている。2003年にミッションを終えた木星探査機“ガリレオ”がエウロパを調査した際に、地下の海水が液体である根拠のひとつとして、表面の亀裂や磁場の逆転を発見したため。

 もしエウロパの海水噴出が事実であれば、氷を掘削する場合よりもサンプル採取が容易になるということが今回の重大発表。水に加えて、それを熱するエネルギー源が存在するなら、地球外生命の期待も高まる。また、今年7月には探査機“ジュノー”が木星周回軌道に乗ったところであり、木星への関心が急上昇中。

探査機ジュノーが木星周回軌道に乗る様子を再現する「NASA's Eyes」
強力な磁場と放射線を放つ木星

 そこで、米航空宇宙局(NASA)純正の3D天体シミュレーター「NASA's Eyes」を利用し、木星や衛星エウロパ、探査機ジュノーを観察してみよう。指定の惑星、衛星、探査機から見た宇宙空間の時間を自由自在に操れるほか、探査機ジュノーのミッションをわかりやすく解説するモードも搭載されているので、今回は後者を紹介したい。

 起動後に画面下部のメニューから“Juno Mission”を選択すると、探査機ジュノーの今がリアルタイムに描画され、遠くには木星の姿も。続けて[EXPLORE]ボタンをクリックすれば、いよいよ木星探査へ出発。

 画面右上のボタン型メニューと画面左のパネルから、地球スイングバイや木星周回軌道への突入など、探査機ジュノーの現在・過去・未来を再生することが可能だ。このとき、天文学者ガリレオ・ガリレイが発見した4つの衛星、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストにも注目しておこう。

 こうして眺めていると、単なる機械であるはずの探査機ジュノーが人間のために働く生命体のようにも思えてくるから不思議だ。