#モリトーク

第89話

チューニングしてこそ活きるMacType

「MacType」v1.2013.1231.0

 フォント描画を改善する「MacType」が昨年末、1年以上ぶりにバージョンアップした。不具合修正を中心としたマイナーなバージョンアップだったが、それを取り上げた先週の記事は多くの注目を集めており、今もなお「MacType」の人気は高いようだ。

 もしかすると、「MacType」の存在を先週初めて知った人もいるかもしれない。そこで今回は「MacType」の使い方、とくにそれぞれの環境へ最適化させる方法を改めて紹介したい。

アンチエイリアス処理の効果を変更するプロファイル機能

 本コラムの第7話でも解説したように、フォント表示の滑らかさはモニターのスペックに大きく依存する。モニターの画素密度“ppi(pixel per inch)”が高ければ高いほど、フォントサイズを大きくしたときに文字のガタつきが軽減されていく。しかし、モニターのサイズや解像度には限界があるため、フォント表示の品質は頭打ちになってしまう。

 そこで登場するのがアンチエイリアス処理であり「MacType」だが、万能ではない。アンチエイリアス処理によるフォント描画の補正もまた、モニターのスペックなどに左右されるからだ。そのため「MacType」には、アンチエイリアス処理の効果を変更するためのプロファイル機能が搭載されている。汎用的なプロファイル“Default”を選んでおけば、どんな環境でもそれなりの効果を発揮するが、自分の環境や好みに合わせてチューニングしたほうがなおよい。

 「MacType」の効果をチューニングするにはまず、起動モードを“MacTray”へ切り替え、タスクトレイアイコンのメニューで[MacType フォルダーを開く]を選択し、「MacType」のインストールフォルダを呼び出そう。その後、“ini”フォルダを開き、“Default.ini”というファイルをバックアップしておく。

アンチエイリアス処理の効果をチューニングできるウィザード画面

 次に、現在のプロファイルが“Default”であることを確認し、タスクトレイアイコンのメニューで[プロファイルを開く]-[MacType Tunerで開く]を選択しよう。すると、プロファイルをカスタマイズするためのウィザード画面が現れるので、指示に従いながらアンチエイリアス処理の効果をチューニングしていけばよい。

 このウィザード画面には、チューニングの結果をプレビュー表示する機能が搭載されており、任意のフォントを指定できる。つまり、使用頻度の高いフォントをプレビュー用のそれとして設定しておけば、そのフォントに特化したチューニングを施せる。プレビュー用のフォントはいつでも変更できるので、複数のフォントに合わせてチューニングすることも可能だ。

 ただし、すべてのフォント・フォントサイズに適したチューニングを探るのはほぼ不可能なため、実際のフォント表示を確認しながら微調整していく必要があるだろう。とくにゴシック体と明朝体の両方をよく使う場合、ひとつのプロファイルではどうしても無理が生じるので、フォント・アプリケーションごとに専用のプロファイルを作成し、それらを切り替えながら使うのもひとつの手だ。

 最後に、チューニングとは別の注意点も挙げておきたい。筆者の環境で確認したところ、「MacType」が常駐している状態では“Windows Update”を正常に実行できなかった。そのため、“Windows Update”を実行する前に、「MacType」が終了していることを確認しよう。

(中井 浩晶)