#モリトーク

第114話

WebとClearTypeと日本語の相性

 第112話と第113話の2回に渡って取り上げてきたWebブラウザーのDirectWrite、今回はそのまとめ。ClearTypeの描画品質を向上させるDirectWrite環境では、ClearTypeに対応するフォント、つまり日本語の場合は「メイリオ」を利用するのが理想的だ。

「Google Chrome」用の拡張機能「Stylish」

 ところが、Web描画のフォントを固定することは手段こそ用意されているものの、デメリットも大きく、常用にはあまり向かない。第113話で説明したように、Webブラウザーの標準機能でフォントを固定すると、それがすべてのWebページに適用されるため、Webページによってはそのデザインが崩れてしまう。

 また、閲覧しているWebページのスタイルシートを差し替えられる「Google Chrome」および「Firefox」用の拡張機能「Stylish」を利用する方法もある。たとえば下記のように設定すると、特定のWebページ・Webサイトでのみ、フォントを任意に固定できる。それでも、フォントレンダリングにこだわるユーザーならその手間に見合った結果を得られるが、多くのユーザーにとっては面倒な作業だろう。

*{  font-family: "メイリオ", "Meiryo";  }
独自のフォントレンダリングエンジンを搭載する「Sleipnir」

 Webブラウザーの例に限らず、ClearTypeと日本語フォントはそもそも相性がよくない。テキストエディターなどのようにフォントが固定されていれば、その描画に慣れてくる面もあるが、Webサイトごとにフォントが切り替わるWebブラウザーでは相性の悪さが目立ってしまう。そのため、ClearTypeが効かない「MS ゴシック」を消去法的に好む意見も少なくない。

 もし今回の話題をきっかけにフォント描画に興味をもったなら、独自のフォントレンダリングエンジンが搭載された「Sleipnir」を試してみよう。「MS ゴシック」も含めて、あらゆるフォントが滑らかに描画されるほか、その効果を手軽に調整することができる。ただし、これも最終的には好みの問題になるだろう。

(中井 浩晶)