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「AIフェスティバル」は単なる技術展示会ではない、“本気のAIで遊ぶ大人”の背中を見せてくれる ~「AIフェスティバル 2025」を振り返って
AIコミュニティを醸成する「AIの文化祭」は2026年、新たなスタートラインへ
2025年12月26日 09:00
2025年11月8日、東京・秋葉原のベルサール秋葉原にて「AIフェスティバル 2025」が開催された。
「AIフェスティバル」は、最先端のAI技術とその創造的な活用を一般に広く伝えることを目的としたイベントで、今年で3回目を迎える。入場無料かつ会場を2フロアに拡大するなど、規模と内容の両面でパワーアップを遂げた今回も多くの人が来場し、会場内は大いに盛り上がった。本稿では「AIフェスティバル 2025」を振り返る。
AIの進化速度は凄まじく、1年後には今の常識が通用しない新しい世界が広がっていることだろう。しかし、会場にはそれを恐れている人はいなかった。溢れていたのは、未知の技術を「楽しんでやろう」というポジティブな熱気だけだった。
熱気あふれるAIの文化祭「AIフェスティバル 2025」を振り返って
筆者は、2023年3月の「第一回AIアートグランプリ」をはじめ、同年11月に開催された「AIフェスティバル」より毎年、このイベントには参加してきた。ChatGPTの登場で、AIの魅力と可能性にどっぷりとハマり、プライベートもビジネスも生成AI領域に全振りしているため、このAIのお祭りの取材は最高に楽しませてもらっている。
第1回のAIフェスティバルの入場料は1,000円、第2回は2,000円だったところ、第3回となる今年はなんと無料。有料イベントだったこともあり、これまでの参加者は本気でAIが好きで、コミュニティの質が高かった。果たして今年はどうなるのか?と注目していたが、相変わらず熱量の高い参加者が多かった。筆者が見たところ、通りがかりでふらっと入ってきた人はあまり多くなかったのかもしれない。
今年は「AIアートグランプリ」や「AIハッカソン」に加え、「AIクリエイターズマーケット」や「AIワークショップ」「AIでRCカーを走らせよう!」といった新企画が目白押しだった。そのため、会場も従来の2階スペースに加え、地下1階のエリアも確保。より広くなった会場内のあちこちで、いろいろな展示が楽しめることにワクワクした。
作品レベルの進歩が凄まじい「AIアートグランプリ」
「AIアートグランプリ」の作品レベルも年を追うごとに高くなっている。画像や動画の生成AIが格段に進歩しているのは当然知っているが、それでもこのクオリティの作品を作るには、生成AIをどれだけ使い込んだのか想像もつかない。選考に残った作品はどれも素晴らしく、空き時間はずっと見つめていた。
次回はぜひとも出展してみたい! 新企画「AIクリエイターズマーケット」
新企画については、事前インタビューで聞いたときから、特に「AIクリエイターズマーケット」に興味津々で、本心ではブース出展側で参加したかったほど。「それでは取材ができないだろう」と、今回は来場者目線ですべてのブースを回った。さすがAI好きだけあり、ブースはバリエーションに富んでいた。
インタビューにかこつけ、出展者全員に「どうやって作ったのか」「どんなツールを使っているのか」などを根掘り葉掘り伺った。そして、ついつい制作者の熱意に心を動かされ、缶バッジや絵本など、そこそこの点数の買い物をしてしまった。
筆者も小さな子どもがいるので、AIを使ってオリジナルの絵本を作ったり、お客さんにヒアリングした内容で即興のストーリーを作って印刷したりするサービスを出展したいと考えていたが、今回、VizOnさんや他人ハウスさんら、もうすでに形にして動いている方々がいらっしゃった。「やっぱりAIが好きなら、すぐに手を動かさなければだめなんだな」と反省しきり。出展者の熱量をおすそ分けしてもらった。
ほかにも、取り組みとして感動したのが、19世紀書店さん。日本未刊行かつ絶版になった古典の翻訳出版をしており、AIのポジティブな特性を活用し倒していて最高だった。一度データにしてしまえば、単に翻訳するだけでなく、解説本を作ったり、ラノベ風にしたりと自由自在。ビジネス化も十分考えられており、拍手を送りたい。
主催者に「AIフェスティバル 2025」を振り返っての感想を伺った
今回のイベント責任者である株式会社サードウェーブ ソーシャルコミュニケーション部 執行役員兼部長 西川典孝氏と、「AIフェスティバル」の企画段階から深く関わるAIストラテジースペシャリストの清水亮氏に、「AIフェスティバル 2025」を振り返っての感想を伺った。
「AIは決して一部の専門家だけのものではなく、私たちの日常や表現活動を豊かにしてくれる存在であることを、改めて実感させてくれる一日でした」
「生成AIをはじめとしたテクノロジーが、仕事だけでなく日常生活の中でも当たり前の存在になりつつある今、今年も多くの皆さまにご来場いただき、盛況のうちに終えることができました。今年は『AIをもっと身近に、もっと楽しく』をコンセプトに掲げ、3つの参加型企画に挑戦しました。来場者の皆さまが自ら手を動かし、AIを使って作品を作ったり、AI制御のRCカーが走る様子を目の前で体験したりすることで、AIというテクノロジーをより具体的で身近なものとして感じていただけたのではないかと思います。AIは決して一部の専門家だけのものではなく、私たちの日常や表現活動を豊かにしてくれる存在であることを、改めて実感させてくれる一日でした」(西川氏)
「『本気のAIで遊ぶ大人』の背中を見せてくれたと思っています」
「今年で3年目となるプロジェクトで、一年間走り切りました。今年もいろいろな新機軸を用意しましたが、どれも楽しんでいただけたようで何よりです。特に今年からプログラミングの完全な初心者を対象にした全国規模のハッカソンを行い、全国各地の会場でAIに興味のあるさまざまな職業、年齢層の方と出会ったことは、私にとっても大いに刺激になりました。『AIでRCカーを走らせよう!』も『本気のAIで遊ぶ大人』の背中を見せてくれたと思っています。総じて、来場した皆さんがよりAIを楽しめるようなイベントに進化できたのではないかと思っています」(清水氏)
「AIフェスティバル 2026」はこれまでの集大成でありながら、新たなスタートラインに
最後に、次回の「AIフェスティバル 2026」に向けた意気込みを伺った。
「これまでの開催を通じて強く感じているのは、AIに対する皆さまの興味・関心が年々確実に高まっているということです。仕事の効率化やビジネスの文脈だけでなく、音楽・イラスト・動画・写真・プログラミングなど、あらゆる創作活動や趣味の領域にもAIが自然と入り込みつつあります。その流れの中で、サードウェーブがAIコミュニティをさらに支援し、広げていくことは、私たちに課せられた大切な役割であり、使命であると考えています。サードウェーブは今後も、AI分野の発展と、テクノロジーを通じたより豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。『AIフェスティバル 2026』では、これまでの集大成でありながら、新たなスタートラインにもなるようなイベントを目指します。どうぞご期待ください」(西川氏)
「来年はさらに新しい企画を投入して、より多くの人々にAIを身近に感じていただき、楽しんでいただけるようにしたいと考え、今から企画を検討し始めています。特に、この一年間のバイブコーディングというプログラミングをするAIや、動画生成AI、Nano Banana ProやFLUX.2などの画像生成AIも、全てがブレークスルーと言えるような大胆な変化が起きています。プログラミングだけに限らず、もっと幅広い分野でAIを使った表現を参加者のみなさんが解放してぶつけ合ったり、新しい仲間ができたり、そういうAIを中心としたコミュニティの醸成に貢献させていただけたらなと思っています」(清水氏)
「AIフェスティバル」は、単なる技術展示会ではなく、AIという新たな道具を手に入れた人々の文化祭へと進化しつつある。見る側から、作る側へ。興味があるなら、まずはAIを使ってみることをお勧めする。そして来年の「AIフェスティバル 2026」に飛び込んでみてはいかがだろうか。


































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