#モリトーク

第129話

動揺が広がるFirefox拡張機能の改革

 「Firefox」を開発するMozillaが先月21日、「Google Chrome」と互換性がある拡張機能への切り替えを発表した。“WebExtensions”と呼ばれ、「Google Chrome」だけでなく「Opera」や「Vivaldi」など、Webレンダリングエンジン“Blink”を採用するWebブラウザーとの共通化が図れる。

 これまでの「Firefox」は拡張機能と一心同体で成長したようなもので、それを捨てることは歴史を捨てることに等しいだろう。もちろん、それには前向きな理由があるものの、否定的な感想を抱く開発者やユーザーは少なくないようだ。Mozillaが従来型の代表として名前を挙げている拡張機能の作者はどのような反応を示しているのか、一部を抜粋してみよう。

「DownThemAll!」の作者が公開した声明文

 「DownThemAll!」の作者はMozillaの発表を受けて公開した記事にて、『従来の仕組みを使えないなら終わり』『新仕様へ移行したとしても機能が大きく制限される』『拡張機能を失った「Firefox」は「Google Chrome」のクローン』といった主旨の意見を述べている。

 また、「CCK2」の作者は『新仕様で恩恵を受けるのは、「Google Chrome」の拡張機能を開発している人たちだけ』と綴った。

 今回の物議で何か思い出すことはないだろうか。Twitter社がAPIの新仕様を発表し、クライアントの開発環境を制限したときの反応と似ている。その後、サードパーティ製のTwitterクライアントは縮小へと向かってしまったので、二の舞だけは避けたい。

 注目すべきは、Mozillaが有名な拡張機能の作者と協力しながら、APIの仕様を模索していること。Twitterクライアントの前例とは違い、少なくとも一方的に機能を制限することはないと思われ、サイドバーやツールバーなどの存続を例に挙げている。拡張機能の終焉、ひいては「Firefox」の終焉を過剰に煽ることなく、これからの動向を見守ったほうがよさそうだ。

(中井 浩晶)