【第452回】
15日間で世界を救うRPG「シルフェイド幻想譚」
時間制限のあるなかで、世界を襲う災いを見つけていくフリーシナリオRPG
(11/06/17)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、“シルフェイド”という世界を舞台とし、フリーシナリオ・期間制限つきという特徴を共有する2作品を2週にわたり紹介。まず今週は、15日後に世界を襲うという災いから世界を守るために冒険するRPG「シルフェイド幻想譚」を紹介しよう。
どのように冒険するかは“あなた”次第
「シルフェイド幻想譚」は、シルフェイドと呼ばれる世界の空に浮かぶ“天空島”を舞台にした2D見下ろし画面のフィールド探索型RPG。その“天空島”を見守る女神のような存在“リクレール”は、15日後に世界を災いが襲うことに気づき、不思議な力で意識の海を漂う“あなた”をシルフェイドの世界に召還する。主人公である“あなた”の目的は、15日後に起こるであろう災いとは何なのかを確かめ、それを阻止することだ。
このゲームの最大の面白さは、災いが起きるまでの15日間を自由に行動できること。災いの阻止が目的ではあるが、それを強要されることはなく、旅の間で出会う人達との関わり方も自由。たとえば病に苦しむ姉弟を助けるか放っておくか、人間の敵となるトカゲ兵士に対して情けをかけるのかかけないのか、魔王復活を阻止するため旅に出た男を助けに行くのか行かないのか、すべての判断はプレイヤーにゆだねられている。プレイヤーの行動によって起こるイベント、起こらないイベントが多数あり、仲間にできるキャラクターも変わるため、何度もプレイしたくなる魅力に溢れているのだ。
街の中以外は、移動するたびに時間が経過していくのも本ゲームの大きな特徴だ。15日間という制限時間に大きく影響するのはもちろん、たとえば同じ街でも昼と夜では入手できる情報が変化したり、夜ならばお店が利用できないなどの違いがある。さらに、『明日の午後に誰々がやってくる』『何日後に橋が完成する』など、世界には特定の時間に絡めた情報やイベントが散りばめられている。そのため、災いの阻止を目指すならば、街での情報収集はマメに行うことが大切だ。
主人公に宿る精霊や守り神のような存在“トーテム”も、繰り返しプレイを面白くする要素のひとつ。トーテムはプレイ開始時に3体から1体を選び、それぞれに応じた恩恵を受けられる仕組み。肉弾戦に優れる“クロウ”、時間あたりの移動距離が延びるほか、戦闘では回避が得意になるなど俊敏性に優れる“フェザー”、水の上を歩ける特殊スキルを備え、魔法のような力である“フォース”に優れる“スケイル”と、それぞれタイプが全く異なり、能力の成長にも大きな影響を与える。
そのため、どれを選ぶかによってプレイスタイルがガラリと変わることになるのだ。たとえばクロウを選べば戦闘が苦にならず、フェザーを選べば短時間で遠い場所にも行けるため探索効率が上がる。スケイルなら肉弾戦が苦手のため戦闘は大変になるが、水上移動によってほかのトーテムでは行けない場所にも移動できるようになる。
戦闘は1ターンで複数の行動が可能、“集中”と“WILL”が鍵を握る
戦闘は、ランダムエンカウント方式のコマンド選択型。1ターンで複数回のコマンド(行動)を実行できるのが特徴。行動の順序は敵・味方ともに各キャラクターがもつパラメータのひとつ“俊敏”の高さで決まる仕組みだ。
戦闘において独特な要素が、“集中”と“WILL”だ。集中は攻撃力やクリティカルの発生率を高めるコマンドで、多くのフォースの発動にも必要。集中を実行すると名前の下にバーが表示され、集中を実行するほどバーは蓄積されていく。“WILL”は1日5回まで使用できる意志の力で、使用したターンのみ攻撃力と俊敏が大幅にアップ。さらに集中が3回分蓄積されるので、そのターンは集中を実行しなくてもフォースが使用できるメリットもある。WILLは日付が変わるまで回復しないため、強敵と戦うときの切り札にしたい。なお、戦闘で全滅しても、15回までは指定した街で復活できる。
戦闘後は、筋力、俊敏、生命、知力、意志と各ステータスに経験値が加わるほか、“S.EXP”という特殊経験値が増えていく。S.EXPを消費すると自分の好きなように各ステータスをアップさせたり、特殊なスキルやフォースを覚えたり、1ターンの行動回数を増やすことが可能だ。筋力を徹底的にアップさせて肉弾戦に強くするなど、自分好みのキャラクターに育てていける。ステータスの強化か、スキルの強化か悩むのも楽しいところだ。
トーテムと相談するのがクリアへの近道
突然世界に放り出されても、何をすればいいのか迷ってしまう。そこで便利なのが“相談”コマンドだ。これは移動中でも戦闘中でも実行できるもので、トーテムからアドバイスがもらえる。移動中であれば次に何をすればいいのか示してくれるほか、戦闘中は余裕で倒せるのか、逃げたほうが得策な強敵かといった情報をくれる。困ったら、とりあえず相談をしてみよう。
このほか、重要な場所では吹き出しで“相談”や“!”、“?”といった文字が表示される。“相談”の場合は相談コマンドの実行を勧めるもので、“!”は何かしらのイベントが発生する場面を示し、“?”はアイテムなどが入手できる場所となっている。進行に詰まったら吹き出しの出る場所を探して、アイテムを使ってみるなど、何かしらのアクションを起こしてみるといいだろう。
先述の通り、本ゲームの醍醐味は繰り返しプレイにある。1回のプレイはじっくり攻略しても5~6時間でクリアまで行き着ける程度のボリュームで、難易度も高くはない。しかし、宿すトーテムによってイベントや会話の内容が変化するほか、ゲームの進め方によって、関わった人々の運命や、エンディングまで変わる。そして、詰め将棋のように必要なイベントだけに行動を絞り込めば、たった1日で世界を救うところまで行き着くことも不可能ではない。どこまでも自由に楽しめるように、実に丁寧に作り込まれている。
それとは別に、世界観も大きな魅力だ。世界の災いを探すという深刻そうなストーリーながら、トーテムとの会話は楽しく、街の住人との会話にもギャグを織り交ぜており、全体として明るい雰囲気をもっている。また、“シルフェイド”シリーズはこの「幻想譚」だけではなく、「見聞録」や「学院物語」など複数の作品がリリースされており、トーテムやWILLといった一部のシステムのほか、ギャグテイストな会話もシリーズ共通。しかも、「幻想譚」に登場するとあるキャラクターが本来居た世界を舞台にした作品もあったりと、シリーズを通してプレイすることでわかることも多い。次週は、そのシリーズ最新作となる「シルフェイド学院物語」を紹介する予定なので、興味ある方は引き続きチェックしてほしい。
- 【著作権者】
- SmokingWOLF 氏
- 【対応OS】
- Windows 98/Me/2000/XP(編集部にてWindows Vista/7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.23