【第499回】
“ハムスタア”育成シミュレーション・バトルゲーム「STARLIKE」
少女と小動物の温かな交流、そして命を賭けた戦いの物語
(12/09/28)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、架空の動物“ハムスタア”を育成して戦わせる、シミュレーション・バトルゲーム「STARLIKE」を紹介しよう。
“ハムスタア”による賭け試合“スタアライク”に身を投じていく少女の物語
「STARLIKE」は、戦後復興期の日本風のファンタジー世界を舞台に、ハムスターに似た架空の動物“ハムスタア”による賭け試合“スタアライク”に身を投じていく少女の戦いを描く育成シミュレーション・バトルゲーム。本作は連載形式で制作が進められており、執筆時現在“第陸(6)話”までが公開されている。各話ともに、育成パートでハムスタアを育てて、最後にさまざまな強敵と“仕合”で戦うという流れ。育成の合間にはノベルパートが挟まれ、主人公の“セッちゃん”こと来宮節子とハムスタア、そして町の人々との交流が紡がれる。
物語は、セッちゃんが瀕死のハムスタア(名前は自由につけることが可能)を拾って育て始めて1カ月後から始まる。戦後の混乱した時代、幼いうちに母を亡くし父は酒浸りとなり、靴磨きや新聞配達で生活費を稼いでいるセッちゃんにとって、ハムスタアとの交流は心温まる時間だった。しかしある事情によってハムスタアは、町の見世物小屋で行われているハムスタア同士の賭け試合“スタアライク”に売られてしまう。人気ハムスタアの噛ませ犬としてなぶり殺されようとするそのとき、セッちゃんとハムスタアの心が通じ合い、一人と一匹は生きるために共に戦うことを決意するのであった……!
かわいらしいハムスタアが、武器を持って血みどろの戦いを繰り広げるというシュールな世界観が不思議な魅力を生み出している作品。童話のような語り口で描かれる少女の日常と、殺伐とした戦いの世界という非日常の対比も面白い。
最初は成り行きにより、ハムスタアを育て戦わせる職人“星工(ほしく)”となったセッちゃんとそのハムスタアが、徐々に戦う意味を見いだしていく物語も見所だ。対戦相手との因縁や、セッちゃんを見守り、導く人々との交流といったスタアライクを取り巻く人間模様も、さまざまな伏線を孕みつつストーリーを盛り上げている。
ミニゲームでハムスタアを強化していく育成パート
ゲームの基本的な流れは、修行でハムスタアを鍛えたり、仕事でお金を稼いで得物(武器)やエサなどを購入していくというもの。修行や仕事をすると1日が経過し、日によってはさまざまなイベントが発生する。仕合の日になるまでこれを繰り返し、ハムスタアを育てていく。
修行はマウスを使ったミニゲームで、冷凍肉を殴る、火の輪くぐりなどの修行により、“肉”“業”“忍”“運”という4つの基本パラメーターが増加。これにより仕合の際の攻撃力や防御力、命中力、回避力といった能力が変化する。また、ハムスタアは1日ごとにエサを消費し、このエサの種類に応じてHP最大値の増加や、特定の修行の効果アップなどの効果がもたらされる。
修行の内容は話数が進むにつれてより難しく効果も高いものに変化していくほか、仕事の種類が増えたり、神社で修行の効果を向上させる祈願ができるようになるなど、徐々に要素が増えていくため飽きが来ず、適度に戦略性のある育成が楽しめる。
戦闘はカードバトル。相手の札を“読む”のが重要
仕合の日になると、いよいよハムスタア同士の戦いだ。戦闘はトランプの札を使ったカードバトルで、1ターンごとにサイコロで先攻・後攻を決め、5枚の手札からカードを出し、数字の優劣でダメージの判定が行われる。このとき、攻撃・防御側ともにカードのスーツ(マーク)により行動内容が変わる仕組みで、攻撃時はスペード・クローバーの黒スーツの場合、命中率が高いが攻撃力が低い素手攻撃、ダイヤ・ハートの赤スーツでは命中率が低いが攻撃力が高い武器攻撃となる。防御時は、黒スーツがガード、赤スーツが回避となるといった具合だ。さらに、たとえば攻撃・防御側が両方ダイヤなど、同じスーツの場合は“相殺”としてノーダメージとなる。
カードを出すときは、同じ数字のカード、または同じスーツで3つ以上数字が並ぶカードは同時に出すことができ、この場合攻撃側が複数枚で、防御側が同じ枚数を出せなければ、攻撃側が多い分は防御側の判定なしで確実なダメージを与えることができる。戦い抜くにはほぼ必須のテクニックなので覚えておきたい。もちろん、自分が防御するときのためにこれらのカードを残しておくことも重要な駆け引きだ。
さらに、確実に勝ちを獲るために重要な要素として、防御の際に相手の攻撃カードのスーツを“読む”ことが挙げられる。相手の手札は伏せられているが、手札内のスーツの並び順には法則性があり、攻撃時に手札のどこからカードを出すかを観察することで、ある程度スーツを予測することが可能。防御時はなるべく“相殺”を狙っていくことで、仕合を有利に進めることができるわけだ。
そのほか、戦闘中に溜まるゲージを消費して繰り出す奥義“星奮”など、戦闘を盛り上げるさまざまな要素が用意されている。
凝った演出の数々も見所。この独特の世界観を体験しよう
本作は、凝った演出で独特の世界観を構築しているのも印象的。ノベルパートは原稿用紙風の画面に縦書きとなっており、セピア調のグラフィックと共にノスタルジックな雰囲気を醸し出している。
スタアライクという“非日常”の演出も鮮やかで、敵・味方ともに仕合の入場時には、一枚絵や描き文字を利用したおどろおどろしいアニメ風の入場シーンが挟まり、否が応にもバトルへの緊張感を高めていく。BGMも日常シーンの穏やかなものからハードロック調に一変。対戦相手ごとにボーカルつきのテーマ曲なども用意されており、“星奮”発動時はカットインが挿入されるなど、とにかく熱を感じさせる内容となっている。
本作は二部構想で、執筆時現在公開されている第陸話までが第一部『皇星編』として、ひとまずお話に一区切りがついたところ。しかしスタアライクに隠された“神事”としての側面など残された謎も多い。本来子供が関わるものではないスタアライクを続けることで、汚い手口や裏切りを経験していくセッちゃんとそのハムスタアが、自らの変化に戸惑いながらも成長を続けていく姿にも注目で、続編の公開が待ち遠しい作品だ。
育成・戦闘のゲーム要素と、ノベル要素が融合した本作だが、難易度が複数用意されているので、主にお話を堪能したい人も、本格的な育成をやり込みたい人も、それぞれに合った難易度で楽しめる。まずは第壱話をプレイし、この独特な世界観を体験してみてほしい。
第壱話
- 【著作権者】
- 鉄鋼団
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.02(12/08/30)
第弐話
- 【著作権者】
- 鉄鋼団
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.06(12/09/23)
第参話
- 【著作権者】
- 鉄鋼団
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.03(12/09/18)
第肆話
- 【著作権者】
- 鉄鋼団
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.01(12/09/17)
第伍話
- 【著作権者】
- 鉄鋼団
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.00(12/09/16)
第陸話
- 【著作権者】
- 鉄鋼団
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.00(12/09/21)