【第502回】
コンパクトだが濃密なRPG「プログレッシブ光の勇者達」
わずか16×16マスのフィールドで繰り広げられる大冒険!
(12/10/26)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、シンプルかつ練り込まれたRPG「プログレッシブ光の勇者達」を紹介しよう。
16×16マスで冒険を繰り広げる1画面RPG
「プログレッシブ光の勇者達」は、16×16マスのフィールド上を探索し、“大魔王宮殿”を発見して魔王を倒すことが目的のRPG。主人公のローラを含む最大6人のパーティで行動し、戦闘はフルオート。敗北してもゲームオーバーにならず、そのマスでHPが全回復して探索を続行できるのが特徴だ。操作はマウスで画面上に表示される“方向”ボタンをクリックしてマスを移動する方式。また、各マスにはイベントが設定されていて、イベントを実行する“イベント”ボタン、イベントとは無関係に戦闘を行う“フリーバトル”ボタンがあり、戦闘は特定のイベントとフリーバトルによって発生。ランダムエンカウントは無い。
最初はすべてのマスが“?”で埋められていて、左下のマスからスタート。イベントを起こしてマスを開いていく仕組みだ。それぞれのマスには“村長の家”や“ワナ”といった名称がついているので、“?”を開く前でもある程度は何が起きるか把握できる。イベントの内容は、ヒントが聞ける“会話”のほか“仲間の加入”、“ワナ”、通行不可能な“バリア”、“イベント戦闘”、“ステータス10%アップ”などがあり、大部分は会話とバリアだ。会話では役立つ情報が得られるのでちゃんと読んだほうがいい。
ちなみにマップはランダム生成ではなく、毎回同じだ。しかしルールとして“イベントを発生させないと次のマスに進めない”というものがあり、これがクセモノ。つまりワナとわかっていてもワナを発動させないと先へ進めない、イベント戦闘に勝利しないと進めないといった事態が発生するわけだ。
本作のワナは発動するとHPが最大HPごと減ったり、仲間がひとり、あるいは全員消えるという恐ろしいもの。さらにパーティメンバーは特定のイベントをクリアするまでレベルに上限があるので、イベント戦闘に勝利できるメンバーをしっかり集めないと勝てない。それなのに仲間は入れ替えやワナで消えると二度と仲間にできないという仕様になっている。つまり編成を失敗すると先に進めない“ハマリ状態”になるということだ。
本作はこの“ハマリ状態”になるとセーブした所から、あるいは最初からやり直すしかない。セーブは戦闘中以外であればいつでも可能だが、セーブデータは1つだけなので必ず上書きとなる。今どき珍しいというか、昔のパソコンゲームのようなテイストで作られていると言える。
仲間選びが難敵撃破のカギを握る
パーティメンバーになる登場人物は特定のマスに配置されていて、最大6人までの編成が可能。フルメンバーのときに仲間に出会った場合は、誰かと入れ替えるか、仲間にしないかの二択となる。仲間は細かいステータスは無いが、それぞれレベルアップの早さが違い、なかにはまったくレベルアップしない人物もいる。
また人物にはスキルをもつ者がいて、スキルには敵から受けるダメージが半分になる“鎧”、 敵に与えるダメージが2倍になる“剣聖”、“固い”属性の敵にダメージを与えやすい“ローツフェンサー”、“武器耐性”をもつ敵にダメージを与えられる“魔法”などがある。これらのスキルはイベント戦闘に勝利するために必要となっており、上手に仲間を入れ替えていかなければハマリになる。さらにどう頑張ってもワナが発動して仲間がいなくなる場面もあり、頭を悩ませることになる。
プレイは何度もハマリを経験しながらやり直すトライ&エラー方式になるだろう。しかし煩雑な要素がなく、マップも16×16しかないので最初からやり直しても解法さえわかっていれば短時間で済み、戦闘もフルオートで敗北によるゲームオーバーもないので、レベル上げもすぐ終わる。RPGのスタイルでありながら、クリア方法を探っていくパズルゲームをプレイしている感覚と言えるかもしれない。
筆者は初プレイで適当に仲間を増やし、戦力不足で最初の山場となるイベントバトルで勝てず、やり直し。マップを作り、どこで何が起こるかをメモしながら再挑戦し、3回やり直してイベントバトルをクリアした。そのスタイルで進むもワナで仲間が全員消滅し、途方に暮れたりもしながらなんとか1日でクリアに成功。無駄のないテンポの良さは折り紙つきだ。
近年、とにかくレベルさえ上げれば進めるというRPGも多いなか、ちゃんと解法を見つけないと進めないよ、という作風はレトロ感覚でありながら、RPGって元々こうだったよなという記憶を呼び覚まされた。それも無茶苦茶な謎解きではなく、試行錯誤で突破方法が見えてくるという、知的遊びとしてほどよい感じで心地よい。フルオートのバトルでガンガン強くなっていくのも気持ちよく、全滅してやり直すリスクもないのでミスしてもパワープレイで押していく、それでダメなら知恵を使うという切り替えもいい。臨場感で勝負するタイプのゲームではないので欠点にはならないがBGMや効果音は無いので、好きな音楽でも流しながらプレイするといいだろう。
- 【著作権者】
- taketake 氏
- 【対応OS】
- Windows XP(編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 2.00(08/06/20)