週末ゲーム

キャラクター育成が楽しい3DダンジョンRPG「異端のラビュリントス」

自由度の高いスキル習得や武器・防具のカスタマイズで最強パーティを作ろう!

(12/04/20)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、マス目状のスキル一覧で陣地を広げるようにスキルを習得したり、モンスターの魂を武器・防具にセットするなどユニークなキャラクターカスタマイズを楽しめる3DダンジョンRPG「異端のラビュリントス」を紹介する。

個性的なメンバーでダンジョンに挑むRPG

オートマッピング対応の3DダンジョンRPGオートマッピング対応の3DダンジョンRPG

個性的なキャラクター達。黒いシルエットで表示されるのが勇者のプロデューサーとなった主人公だ(名前は自由設定)個性的なキャラクター達。黒いシルエットで表示されるのが勇者のプロデューサーとなった主人公だ(名前は自由設定)

 「異端のラビュリントス」は、自由度の高いキャラクターカスタマイズが特徴のダンジョン探索RPG。ダンジョンは3D表示だが、オートマッピングかつ画面右下に周辺のマップが常時表示されるので、方向音痴で3Dダンジョンは苦手という人でも安心だ。

 主人公は、大怪我により騎士を引退し、勇者を育成・指揮するプロデューサーとなった青年。実際にダンジョン探索を行うパーティメンバーは、とことん運がなく、それが原因で騎士団を辞めることになった元見習い騎士の“ルピッグ”、シスターだけど呪いによりゾンビとなってしまった“ラティス”、マナの代わりにコインを消費して魔法を使う“ピザリー”、そして主人公達が拠点とする宿屋の娘で半ば無理矢理メンバーに加えられた“ムーモ”の4人という、個性的な面々だ。

 これらの個性は単なるストーリー上のアクセントに留まらず、実際にキャラクターのステータスや戦闘スタイルに関わってくる。たとえば“運のない女”ことルピッグは、状態異常やクリティカルヒットへの耐性が著しく低い。“幸運”のステータスが低い……どころではなく、このキャラだけ幸運のステータス欄自体がないという徹底ぶりだ。また、“ゾンビシスター”のラティスは、戦闘不能になっても1ターン後に自動で復活できるが、神聖属性の回復魔法でダメージを受ける。

 さらに“金魔道士”のピザリーは、MP(マナ)の代わりに“クレジット”と呼ばれるコインを消費して魔法を使うのが特徴。クレジットは探索で入手することもあるが基本的には店で購入する仕組みで、要するに魔法を使うたびに金がかかる。とくに序盤ではかなり痛い出費となるが、その代わり本来魔法に設定されている消費MPに関わらずどんな魔法も1クレジットで発動できるのがメリット。強力な魔法も惜しみなく使えるのが魅力だ。

マス目状にアイコンが並ぶスキル習得画面がユニーク

スキル習得画面。まだ習得できないスキルも名前とアイコンだけはわかるスキル習得画面。まだ習得できないスキルも名前とアイコンだけはわかる

 本作のウリは、キャラクターカスタマイズの自由度の高さ。そのなかでも一番の特徴が、マス目状にスキルのアイコンが並ぶスキル習得画面だ。マス目は11×11でスキルは全121種類。戦闘で使うもの、剣や槍など装備できる武器や防具の種類を増やすもの、特定のステータスをアップさせるものなどさまざまなスキルが用意されている。

 スキルは、レベルアップ時に1ずつ増えるスキルポイントを消費して習得する仕組み。スキル習得画面は全キャラ共通で、どのスキルも1ポイントで習得できるが、最大レベルは50とされているため1キャラが覚えられるスキルには限りがある。

 覚えるスキルは、すでに覚えているスキルの上下左右4マスから選ぶ仕組み。スキルを覚えると、さらにそのスキルの上下左右にあるスキルが覚えられるようになるという流れだ。スキル習得は習得画面の真ん中のマスから始まり、外周へ向けて陣地を広げるように習得していくイメージとなっている。スキルはおおむね、外周へ向かうほど強力なものが習得できる傾向だ。

 スキル習得におけるポイントは2点ある。まず、スキルの具体的な効果が表示されるのは習得済みスキルと、その上下左右にある習得可能なスキルのみ。それ以外はスキル名とアイコンのみがわかるようになっている。名前やアイコンからスキルの効果を想像し、どのスキルを優先的に習得するか計画を立てるのも面白い。

 またもう1点は、マス目を順番に広げていくというルール以外にスキル習得の制限はないこと。あるスキルを習得するとその派生スキルを習得できるようになる、といったいわゆる“スキルツリー”とは異なり、どんなルートでスキルを開拓していくのも自由となっている。中央に近い基本的なスキルから地道に取っていくのも、これと決めたスキルを一直線に取りに行くのもプレイヤーの成長戦略次第だ。

 とはいえムーモ以外の3人は、最初から4~5レベルでいくつかのスキルを習得しており、ルピッグが戦士系、ラティスが僧侶系、ピザリーが魔法使い系とある程度の方向性は与えられている。ムーモについては全くの白紙からスタートで、完全に自由な成長を楽しめるキャラクターとなっている。

ランダムダンジョンの攻略により武器や防具がレベルアップ

トラップや宝箱がひしめき合うランダムダンジョン“深緑の祭壇”トラップや宝箱がひしめき合うランダムダンジョン“深緑の祭壇”

 パーティが最初に挑むことになるダンジョンは“初心者の洞窟”。ただしとある事情により、名前に似合わず地下2Fから先は危険な魔物も徘徊する場所となっている。そこでゲームがある程度進むと、パーティは“深緑の祭壇”というランダムダンジョンでレベルアップやお金稼ぎ、アイテム集めができるようになる。

 深緑の祭壇へ行くには、手持ちの武器か防具を1つ祭壇へ捧げる必要がある。本作では武器や防具といった装備品にもレベルがあり、深緑の祭壇を1フロア攻略するごとに捧げた武器・防具のレベルが上がっていく。この武器・防具は拠点へ帰還する際に戻ってくる仕組みで、キャラクター育成のついでに装備品も強化できるお得なダンジョンというわけだ。

 深緑の祭壇では、フロア内にある階段に到達すると次のフロアへ移動可能。また、本作はランダムエンカウントだが、マップ上にシンボルで表示される強敵がフロアを徘徊しており、これを倒すことでも次のフロアへ行ける。フロアを連続で攻略するとボーナスとして経験値とお金が入手でき、このボーナスは連続攻略したフロア数に応じて増えていく。

 このため、連続攻略で一気にレベルアップといきたいところだが、本作では拠点でのみセーブ可能かつ戦闘で全滅すると即ゲームオーバーとなるため、思わぬ強敵に遭遇してしまい数時間の探索がおじゃんになることも。深緑の祭壇の探索をやめるには、ランダムに出現する出口から拠点へ戻るか、特定のアイテムを消費する必要がある。行くか戻るか、引き際の見極めが肝心だ。

倒した魔物の魂をセットして武器や防具を強化

戦闘はコマンド選択型。戦闘用スキルや魔法を駆使して戦おう戦闘はコマンド選択型。戦闘用スキルや魔法を駆使して戦おう

戦闘用スキルは特定の武器でダメージが増加するなどさまざまな特性が。詳細情報画面にしか表示されない特性もあるのでよく確認しよう戦闘用スキルは特定の武器でダメージが増加するなどさまざまな特性が。詳細情報画面にしか表示されない特性もあるのでよく確認しよう

 戦闘はコマンド選択型。MP(またはクレジット)を消費して使う魔法のほか、さまざまな戦闘用スキルが用意されており、これは1ターンごとに自動で溜まる“TP”というポイントを使って発動できる。戦闘用スキルは短剣や弓など特定の種類の武器の装備が発動条件となるものや、発動条件とは別に特定の種類の武器でダメージが増加するもの、攻撃力以外のステータスでダメージが決まるものなどがあり、キャラクターカスタマイズが戦闘スタイルと密接に関係するのが面白いところだ。

 モンスターを倒すと、ときどき“魔物の魂”と呼ばれる種類のアイテムを入手することがある。これはスキルの習得、装備品のレベルアップに並ぶキャラクターカスタマイズに重要な要素で、装備品に魔物の魂をセットすることで装備品を強化できる。たとえばネズミのモンスター“ラット”の魂なら敏捷性が上がるなど、モンスターの種類に応じたさまざまなステータスアップ効果があるほか、攻撃時に一定確率で毒や睡眠といった状態異常を与えるもの、魔物の技が使えるようになるものなど強化のバリエーションは広い。

 装備品はダンジョン探索で入手できるほか拠点のショップでも購入でき、ゲームを進めるとショップの品揃えも良くなっていく。とはいえ、必ずしも高い装備品に買い換えればよいというものでもない。装備品にはそれぞれメインのステータス向上とは別に状態異常への耐性などさまざまな特徴が備えられているほか、セットできる魔物の魂の個数も異なる。攻撃力や防御力の多少の違いは装備品のレベルアップで埋められるので、どんなキャラクターに育てたいかを考えて、それに合った特徴をもつ装備を選ぶのもよいだろう。

武器や防具は魔物の魂をセットすることで強化可能武器や防具は魔物の魂をセットすることで強化可能

武器や防具にはさまざまな特徴が設定されている。キャラクターに合ったものを選ぼう武器や防具にはさまざまな特徴が設定されている。キャラクターに合ったものを選ぼう

クリア後要素も充実。自分だけの最強パーティでレアモンスターに挑戦!

本編クリア後も冒険は続く。レアモンスターを倒して実績ゲット!本編クリア後も冒険は続く。レアモンスターを倒して実績ゲット!

 本作のクリアまでのプレイ時間は、筆者の場合は10時間弱といったところ。とはいえ、クリア後も追加ダンジョンでより強い敵と戦ったり、深緑の祭壇で最強装備を作り上げたりなど、楽しめる要素は多い。深緑の祭壇の連続攻略や特定モンスターの討伐など、さまざまな条件で“実績”が記録されるシステムもあり、やり込み度は抜群だ。

 追加ダンジョンや深緑の祭壇の深層におけるレアモンスター戦は適度にシビアで、ダンジョン内でセーブができないこともあり緊張感はなかなかのもの。このように本作は探索とキャラクターカスタマイズで“ぼくのかんがえた最強パーティ”を作り上げて戦うのが楽しい、ダンジョンRPGの醍醐味が凝縮された一作だ。

【著作権者】
tomoaky 氏
【対応OS】
(編集部にてWindows XP/7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.04(12/04/16)

(中村 友次郎)