マルわかり!Windows 10 Mobileガイド

第92回

Windows 10 Mobileは大丈夫!?

新たな市場を生み出すであろうMS製デバイスに期待!

 Windows 10 MobileはモバイルOSとしての基本的な機能を備えているだけでなく、タッチパネル搭載のWindows 10パソコンに近い操作感で利用できるのが特徴だ。最後となる今回はWindows 10 Mobileの行方を占う。

劣勢ながらもわずかな光は見えるWindows 10 Mobile

 Windows 10 Mobileを取り巻く現状は厳しい。StatCounterによる直近12カ月のモバイルOS市場シェアを確認すると、Androidの69.34%、iOSの19.33%に対して、Windows(Windows 8.xやWindows 10 Mobileを含む)は1.7%。この数値はグローバルだが、対象を日本国内に変更すると、iOSは69.94%、Androidは29.11%、Windowsは0.14%となる。

StatCounterによるモバイルOSの市場シェア(グローバル)

 2017年2月中旬にはVAIOが“VAIO Phone Biz”を15日~19日の期間限定ながらも30,000円(24,800円ダウン)で販売し、トリニティも“NuAns NEO”の希望小売価格を29,800円に価格改定した。このようなWindows 10 Mobileデバイスに対する値引き販売は枚挙に暇がない。また、トリニティは2月20日に新デバイス“NuAns NEO Reloaded”を発表したが、搭載OSはWindows 10 MobileからAndroid 7.1に変更している。

Windows 10 Mobile搭載の“NuAns NEO”は29,800円に価格改定(トリニティ発表会より)
Android 7.1を搭載した“NuAns NEO Reloaded”(左)と“NuAns NEO”(右)

 一見するとコンシューマー向けWindows 10 Mobile市場は雪崩のように崩れつつように見えるだろう。筆者も同様の意見を持っていたため、日本マイクロソフトへWindows 10 Mobile戦略に関する取材を申し込んだところ、方針や戦略はNGと残念な結果に。ただし、次期は未定ながらも米国本社から年に数回Windows 10 Mobile担当者が来日するため、そのタイミングならば取材OKというコメントをもらった。これらのことを鑑みると、Windows 10 Mobileが完全終了する可能性は低そうだ。

2016年11月に来日した元MicrosoftのBrian Hall氏

 ただし、これまでコンシューマー向けデバイスを一手に担ってきた、Microsoft VP Devices BusinessのBrian Hall氏は同社を2017年1月末に退社している。もちろん人1人が辞めることですべてのプロジェクトが止まることはなく、SurfaceチームはMicrosoft社内に顕在だが、これまで“Surfaceシリーズの顔”を演じてきたHall氏が抜ける影響は計り知れない。

“WinHEC 2016”でARM版Windows 10を発表するMicrosoft EVP Windows and Devices GroupのTerry Myerson氏

 他方で気になるのがARM版Windows 10の存在である。2016年12月にMicrosoftが開催した“WinHEC 2016”で発表されたものの、執筆時点でエミュレーションなどのロジックやビジネス的展開は明らかにしていない。さらに“Surface Phone(仮)”の存在も長年噂されているが、日本マイクロソフトはSurfaceシリーズをリリースする際、『これまでにない市場を作り出す』を目標に掲げており、実際2-in-1 PC市場が大きく花開いた。仮にMicrosoftがSurface Phoneをリリースするのであれば、同様に新たな市場を作り出すことを目標とするはず。

 あくまでも筆者の推測だが、ARM版Windows 10の存在が、Windows 10 MobileとWindows 10の垣根を外し、新たなソリューションを生み出す存在を目指すのではないだろうか。Microsoftの発表を待たなければWindows 10 Mobileの未来は見えず、展望というよりも願望であることは認めざるを得ないが、“後出しジャンケン”が得意なMicrosoftだからこそ、なし得る未来があるはずだ。

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