Windows 10移行相談室

DVDビデオが再生できない!

Windows 10で削除されたDVDビデオ再生機能はオンラインソフトで補える?

 Windows 10への無償アップグレード期間も残すところあと1カ月ほど。すでに、Windows 10に移行した読者も多いのではないだろうか。しかし、Windows 10にしてみたものの、Windows 7/8.1では何気なくできた“アレ”ができないといったことがあるかもしれない。本連載では、Windows 10に移行した際に発生しがちなトラブルの解決方法をお伝えする。

標準ではDVDビデオ再生機能が搭載されていないWindows 10

 そもそもPCでDVDビデオを再生するには、MPEG-2による映像やAC-3による音声を復号するためのコーデックが必要である。Windows 7はHome Basic/Starterを除くエディションでコーデックを標準搭載していたが、このコーデック搭載に伴うMPEG-LAへの支払いライセンスは2ドル。2012年当時のMicrosoftは、出荷台数ベースで80億円以上、OSのライフサイクルを踏まえると約8,000億円の費用が必要になることを理由に、DVDビデオ再生機能をOSと切り離した。

 Microsoftは救済策として、Windows Media Centerが付属するWindows 7/8/8.1からWindows 10にアップグレードしたユーザーは、Windowsストアから「Windows DVDプレイヤー」を期間限定で無償提供している。Windowsストア上の評価は必要最小限の機能しか持ち合わせていないなど散々だが、ユーザーにはいくつかの選択肢があることを思い出してほしい。

筆者もWindows Media Center入りPCからWindows 10にアップグレードしたが、無償提供されなかったので今回購入した「Windows DVDプレイヤー」。機能は必要最小限といったところ

 たとえば市販のデスクトップアプリなら高機能を誇り、Blu-rayビデオにも対応する「PowerDVD 16」が有名だ。オンラインソフトも多数DVDビデオ再生に対応しているが、ここで問題となるのがプロテクトのかかったDVD/Blu-rayビデオである。CSS(Content Scramble System)やAACS(Advanced Access Content System)といったプロテクトをユーザーが解除するのは、2012年6月20日の著作権法改正で違法行為にあたるようになった。

 そのためCSSを解除するためのライブラリを使うアプリケーションも必然的に同法に抵触する可能性がある。筆者は法律の専門家ではないため、解釈や理解が間違っているかも知れないが、著作権法を精読すると、“技術的保護手段の回避”を行って“複製する”のが問題であり、“技術的保護手段を回避”すること自体は問題ないと読み取れる。その観点から見れば「VLC media player」を選択肢の1つに加えていいだろう。

 だが、MIAUによれば、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定に日本が加わると、視聴すら問題になる可能性が高い。そのためなのかUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)版VLCの「VLC for Windows Store」は多様な形式に対応しながらもDVDビデオ再生には未対応である。

デスクトップアプリ版の「VLC media player」
UWPアプリ版「VLC for Windows Store」。バージョン1.7.0.0時点ではDVDビデオの再生には対応していない

 最終的に合法になるのか非合法になるのか判断できないが、PCによるDVDビデオ視聴環境が今後悪化するのはWindows 10に限った話ではない。世知辛い世の中である。