特集
「Mitaka Plus」を使って金環日食をシミュレートしよう!
日食をパソコン上でシミュレートするだけでなく、日食の仕組みを学べる
(12/05/17)
今月21日に関東を含む日本の太平洋岸の広い地域などで観測できる金環日食。次に日本の陸地で金環日食を観測できるのは18年後の2030年とあって、大きな話題となっている。しかし、日食が起こるのは平日の早朝であるため、忙しくて天文ショーを見ている暇がない人もいるだろう。また、天候が悪ければせっかくの天文ショーもただ空が薄暗くなるだけになってしまう。
天体シミュレーター「Mitaka」の機能拡張版「Mitaka Plus」を使えば、21日に起こる金環日食をパソコン上でシミュレートし、いつでも眺めることができる。また、金環日食が起こる際の地球と月、太陽の様子を宇宙から眺め、日食の起こる仕組みを学ぶことも可能だ。
まずは「Mitaka Plus」をセットアップ
「Mitaka Plus」は「Mitaka」との差分のみが配布されているため、「Mitaka Plus」を利用するには、まず「Mitaka」をインストールしなければならない。まずは、窓の杜ライブラリなどから「Mitaka」をダウンロードし、解凍ソフトを使ってZIPファイルを任意のフォルダへ解凍しよう。
次に、「Mitaka Plus」を公式サイトなどからダウンロードし、同じようにZIPファイルを任意のフォルダへ解凍する。あとは、「Mitaka Plus」のZIPファイルの中身を[Ctrl]+[A]キーなどで全選択してコピーし、さきほど解凍した「Mitaka」のフォルダへ貼り付ければ準備は完了。“mitakaPlus.exe”を実行すれば「Mitaka Plus」が起動する。
日食をシミュレートする準備
「Mitaka Plus」が起動したら、観測地点の設定をしよう。観測地点を設定するには経度と緯度を入力する必要がある。ただ日食をシミュレートするだけなら、経度と緯度は厳密でなくてもよいので、下記のWebサイトで観測地の市区町村名から緯度と経度を調べておくとよいだろう。厳密に調べたい場合はGPSなどを利用すればよい。
緯度と経度を調べたら、「Mitaka Plus」の[ターゲット]メニューから“観測地設定”ダイアログを開き、[追加]ボタンから新規の観測地を作成して調べた緯度と経度を入力しよう。これで、観測地点の設定は完了だ。
次に、表示設定を確認しておこう。[表示]-[惑星]メニューの[月の影]サブメニューにある[影]項目がONになっていて、[拡大率]サブメニューで[等倍]項目が選択されていれば問題ない。また、[大気]サブメニューで[一回散乱]または[多重散乱]項目が選択されていると、日食で空が暗くなる様子まで再現できる。
いよいよ日食をシミュレート
設定が整ったら[時刻]メニューから“時刻設定”ダイアログを開き、日付を2012年5月21日に、時刻を日食が始まる少し前の午前6時くらいに設定しよう。東北東方向へ画面をスクロールさせると太陽が見えるはずだ。日食をよく見るためにマウスホイールを回転させて太陽にズームインしておくとよいだろう。
あとは、“時刻設定”ダイアログの“速度”スライドバーを右に移動させれば、時間が進み日食の様子がシミュレートされる。“速度”スライドバーは右に移動させるほど速く時間が進み、左に移動させると時間を戻すことが可能。また、ダイアログ右下のプルダウンリストからは時間の進む速度を大きく変更することができる。
日食をシミュレートしてみると、太陽は右上から欠けていくことや、太陽の近くに“すばる(プレアデス星団)”や木星、水星などが見えることがわかる。だだし、実際の金環日食では空が十分に暗くならないため、星は観測できないだろう。
日食を宇宙から見てみよう
日食をシミュレートしている状態で[着陸・離陸]メニューの[着陸・離陸]項目を選択すると宇宙から日食の様子を眺めることが可能。地球の上を巨大な影が通り過ぎていくさまを確認できる。この際、[表示]-[惑星]メニューの[月の影]サブメニューにある[境界]項目をONにすると月の影になっている場所の境目がオレンジ色の線で示されるほか、金環日食になっている場所がオレンジ色の点線で示される。
さらに、[月の影]サブメニューの[半影コーン]項目をONにすると、太陽・月をつないで地球へ届く直線が赤い膜として立体的に表示され、巨大な太陽が月の影に隠れる仕組みを直感的に理解できるようになっている。
- 【著作権者】
- 国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト、加藤 恒彦 氏、高幣 俊之 氏
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.5.4(10/10/19)