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PDFアプリが「AIに強い」と仕事が変わる!軽快で高機能な「PDFelement」レビュー

「PDFを印刷して記入」や「翻訳してコピペ」はもう不要、AIの作った文章も見破れる!

Wondershare社のオールインワンPDFソリューション「PDFelement」。

 プレゼン資料や見積書、契約書、企画書、役所の申請書類など、ビジネスでは、毎日のようにPDFファイルをやりとりしている。だが多くの人は、PDFを「閲覧するだけのもの」と思い込んでいないだろうか。実はPDFを編集・活用できる環境を整えるだけで、日々の業務効率は大きく変わるのだ。

 元ファイルが手元にないPDFの修正から、紙の資料のデジタル化、海外から届いた英文レポートの翻訳まで、これらの作業にいちいち時間をかけていては、本来やるべき仕事に集中できない。

 これらの課題を解決してくれるのが、Wondershare社が開発するPDF編集ソフト「PDFelement」。AIを活用した機能が充実しており、閲覧や編集、変換、OCR、翻訳までを網羅するオールインワンのPDFソリューションだ。

 特筆すべきはAI機能の多彩さで、「要約」「内容を理解したAIとのチャット」といった基本機能はもちろん、レイアウトを保持したままの翻訳や、AIで書かれた文章の検出、PDFの書き直し、自動ブックマーク、果ては自動での墨塗り機能まで、様々な機能を備えている。

 今回は、そんな「PDFelement」が持つ豊富な機能を実際に使用し、その実力を徹底レビューしていく。


動作は軽快、操作は直感的、基本機能も充実PDFをWord/Excel/PowerPointに変換することも……

 まずは基本機能から見ていこう。

 PDFelementを起動して目に入るのは、シンプルで洗練されたUIだ。必要な機能が整理されており、マニュアルを読まなくてもどんな機能なのかが直感的に把握できる。よく使う機能は[クイックツール]として表示されており、そのほかの機能は[すべてのツール]からアクセスする。

 まずは[PDFを開く]からファイルを選択してPDFを読み込む。ドラッグ&ドロップしてもいいし、アプリに紐づけていればダブルクリックでもPDFelementで開くことができる。

 [PDF作成]でPDFファイルを作成することも可能。Wordなどのファイルからだけでなく、スキャナーから紙文書を取り込んだり、URLを指定してウェブページをPDF化することもできる。

 基本となる閲覧機能も優秀で、ブックマークやページサムネイルを使った素早いナビゲーションなどを備え、ハイライトや付箋による注釈追加も快適に動作する。

【PDFelementのホーム画面】
すっきりしたUIでわかりやすい。編集、変換、OCR、翻訳、結合、圧縮、一括処理、要約など、使用頻度の高い機能はここからすぐにアクセスできる。
注釈機能も充実している。

 PDFの編集ももちろん可能。テキストボックスを追加するだけでなく、PDF上のテキストを直接書き換えることもできる。

 フォントの種類やサイズは自動で認識されるため、修正箇所だけが浮いてしまうような違和感がない。テキストの自動折り返しにも対応しており、文章の追加や削除をしても行間やレイアウトが自然に調整されるのがすごい。画像の挿入や配置変更も自由自在だ。

 従来は、修正箇所が見つかったら、元のWordファイルやExcelファイルを入手し、修正し、再度PDF化する必要があったが、PDFelementならそのまま作業できるのが便利だ。

テキストの修正も自由自在。フォントも合わせてくれるので違和感なし。

 なお、PDFをWordやExcel、PowerPoint、HTML、ePubなどに変換することもできるので、そのようにして編集することもできる。また逆に、WordやExcel、PowerPointなどのファイルをPDFに変換することも可能だ。


Windowsのほか、MacやiPhone、Androidでも利用可能

 また、マルチプラットフォームの製品なので、WindowsMaciOS、Androidといったモバイルアプリを利用できる。

 会社や自宅、外出先など、異なる環境でも同一のアプリを使えるのはありがたいところ。クラウドストレージにアップロードしておけば、どの端末からでも同じファイルにアクセス可能だ。クラウドストレージはOneDriveやGoogle Drive、Dropboxなどの定番サービスに対応するほか、独自の「Wondershare Document Cloud」も利用できる。

 例えば、外出先でスマートフォンやタブレットからPDFに注釈を入れ、オフィスに戻ってからデスクトップで本格的に編集する、といった柔軟な使い方ができる。移動時間も作業時間に変えられるのは、忙しいビジネスパーソンにとって大きなメリットとなるだろう。

スマートフォン向けの「PDFelement」アプリも公開されている。


記入してほしい「枠線部分」を入力フォームに変える「フォーム認識」入力済みデータはCSVで収集OK

 PDFelementはプロ版にアップグレードすると、標準版にはないさらに高度な機能が利用可能になる。中でも業務に直結するのが、フォーム認識とデータ抽出の機能だ。

 PDFelementはPDF内のフォームフィールドを自動で認識し、入力可能なフォームに変換できる。

 よくあるのが「PDFで配布されている申請書」。せっかく電子化されているのに、印刷して手書きで記入し、またスキャンしてデータ化して送信する、という非効率な作業をしていないだろうか。PDFelementなら、フォームを認識させてそのまま画面上で入力できる。

 一方、そうしたPDFを集める側が便利なように、入力済みフォームからデータをCSV形式で一括抽出する機能も備えている。アンケート集計や申込書の管理といった場面でも、作業時間を大幅に削減できる。

「フォーム」ツールを開き、「…」メニューから「フォームフィールドの自動認識」をクリックする。
フォームをクリックすれば、テキストを入力できる。


OCRも高機能、見た目はスキャン画像のまま「透明なテキスト」を埋め込める

 もうひとつの目玉がOCR(光学文字認識)

 スキャンした紙の書類やカメラで撮影した画像PDFは、見た目は文字が表示されていても、データとしてはただの画像にすぎない。文字列の検索もコピーもできず、活用しにくいという課題がある。

 PDFelementのOCR機能を使えば、このようなファイルを「透明テキスト付きPDF」に変換できる。見た目は元のスキャン画像のまま、裏側にテキストデータが埋め込まれるため、全文検索が可能になるのだ。日本語の認識精度も高く、多言語に対応している。

 さらに「スキャンPDF最適化」機能を使えば、傾きの補正やノイズの除去も自動で処理される。たとえばセミナーや講演会で紙の資料を受け取った場合、スキャンしてOCRを実行するだけで、検索可能なデジタル資料に生まれ変わる。あとから「あの話はどこに書いてあったか」と探すとき、ページを1枚ずつめくる手間から解放されるのだ。

 このほかプロ版では、PDFの圧縮複数PDFに対するバッチ処理などにも対応している。

スキャンしたPDFを開くと、「スキャンの強化」や「OCRを実行する」ボタンが現れる。
スキャン資料もキーワード検索できるようになる。


強力な「AI翻訳」、レイアウトを維持したまま日本語に

 PDFelementが搭載するAI機能は多岐にわたる。

 AIチャット機能では、「チャットの相手」が選べる。「PDF」相手なら、文書の内容について質問したり、要約させたりできる。長い資料の中から特定の情報を探すとき、ページを1枚ずつ確認するよりはるかに効率がいい。

 「AI」相手なら、アイディアを考えてもらったり、わからないことを聞いたりするなど、ChatGPTなどの生成AIのように利用できる。PDFに一文追加したい、という時などに活用できる。

右側のチャット欄でAIに質問したり要約させたりできる。
「#」を入力すると、プロンプト候補がポップアップする。

 「#」を入力すると、プリセットされたプロンプト候補が表示される。「リライト」や「文法チェック」などを手軽に行えるようになっている。自分で作り込んだカスタムプロンプトを保存しておくことも可能だ。

 例えば、文章が難しすぎたり、誤字脱字があるような場合、「#リライト」を選び、PDF内の文章を選択すると、自動的にリライトしてくれる。試しに、わざと誤字をちりばめた文書をリライトさせてみると、見事にすべて修正してくれた。あとは出力をPDF側にコピー&ペーストすればいい。

PDF内の文章を選択するだけで、自動的にAIチャットに入力されるので、Enterを押す。
文章が読みやすくリライトされ、誤字脱字なども修正されている。
「PDF翻訳」機能で、外国語のテキストを日本語に置き換えることができる。

 特筆すべきは翻訳機能だ。

 PDFelementのAI翻訳は、単にテキストを訳すだけではなく、PDF内の文章のレイアウトを維持したまま日本語にしてくれるのだ。フレーズ単位の部分翻訳からPDF全体の一括翻訳まで対応しており、ニーズに合わせて使い分けられ、翻訳の速度や精度を選択することもできる。

 英語の契約書や海外の技術資料を受け取ったとき、わざわざ翻訳ツールにコピー&ペーストして、結果をまた別のファイルに貼り直す、という煩雑な手順から解放されるのだ。

見た目は完璧とは言えないが、元のレイアウトのまま、日本語で読めるようになる。

隠すべき情報をAIが検出、自動で「黒塗り」

 個人情報や機密情報が記載されているPDFを第三者に渡す際は、その部分を黒塗りしなければならない。この作業を墨消しと呼ぶが、単に黒い図形やマーカーで上塗りするだけでは不十分なのを知っているだろうか。見た目は隠れていても背後のテキストデータがそのまま残っており、コピーや検索で簡単に情報が漏洩してしまうのだ。

 情報を確実に消去するなら、「墨消し」機能を利用する。手動で任意の箇所を選択して確実に消去できるのはもちろん、AIで分析し、墨消し作業を自動化することもできる。国や文書のカテゴリーなどを指定し、墨消しすべき項目を判断してくれるので、作業時間を大幅に短縮できる。

 文字データを確実に消し、黒塗りしてくれることはもちろん、メタデータも忘れずに消してくれるので安心だ。

AIメニューから「スマート墨消し」を選択する。
国や書類のカテゴリーを指定し、「解析」をクリックする。
墨消しする項目の候補が表示されるので、黒塗りしたい項目を選択する。
墨消し完了。見た目だけでなく、メタデータを含めて消去されている。


「AIで作った文章」をAIが検出、割合を判定

 もうひとつユニークなのが、AIテキスト検出機能だ。

 PDF内の文章が「AIによって生成されたもの」なのか「人間が書いたもの」なのかを判定し、その可能性を表示してくれる。生成AIの活用が広がる今、納品物や提出書類に含まれるAI生成テキストの比率を確認したい場面は増えている。編集者やライター、教育関係者にとっては、地味に刺さる機能ではないだろうか。

 ただし、100%人間が書いた文章もある程度はAIと判断されるし、今回テストしたように100%AIに書かせても約8割しか認識しないので、あくまで参考程度にしておいた方がいいだろう。

「PDFのAI検出」機能では、文書がAIで作られた可能性をチェックできる。
AIに「AIを検出」させるためのボタン
100%AIで作った文書を試しに読み込ませた結果。

 「AIに強い」とうたうPDFelementは、これらの「AIチャット」や「AI翻訳」「AIスマート墨消し」「AI生成内容の検出」以外にも、さまざまな作業を効率化するAI機能を搭載している。

 たとえば、PDFの内容を理解する際、「AI要約」に加え、PDFの内容を自動分析して短い要約やキーポイントなどをカード形式でまとめてくれる「AIナレッジカード」という機能も用意されている。また、アウトプットを支援する「AI生成」では、PDFの内容を元にPowerPointのファイルやマークダウン、マインドマップなどを生成することもでき、冗長な文書の内容をわかりやすくまとめるのに大いに役立ってくれるだろう。


無料でも注釈機能などは利用可能、年額4980円からというコストパフォーマンスの高さが魅力

 PDFelementは、ビジネスシーンのさまざまな局面で頼りになるPDFソフトだ。基本的な閲覧や編集から、OCRによる紙資料のデジタル化、AIを活用した翻訳や要約まで、PDF作業に必要な機能がひと通り揃っている。

 気になる価格だが、PDFelementには標準版とプロ版があり、価格は標準版が年額4980円、プロ版が年額7280円。月額ではなく、年額でこの価格なのは格安と言える。プロ版には買い切りの永続ライセンスも用意されており、価格は9980円。2年以上使うのであれば、こちらの方が安くなる。OCRやフォーム抽出、バッチ処理といった高度な機能を使うならプロ版が必要だが、永続ライセンスでも1万円を切るのは嬉しいところだ。

 なお、標準版とプロ版ともに、PDF AI機能を50回まで無料で使用できる。本格的にAIを利用する場合は、別途「PDFelement AI」プランを契約する必要がある。こちらの価格は月額649円~となる。

PDFelementの個人向け料金プラン。

 PDFelementは動作が軽快で、日常のPDF閲覧ソフトとしても快適に使える。気になる人は、無料トライアル版を試してみることをおすすめする。

 ハイライトや付箋による注釈機能は無料版でも制限なく利用でき、勉強や情報整理の用途にも十分だ。まずは普段使いのPDF閲覧ソフトとして導入してみて、編集やOCRが必要になったタイミングで有料版への移行を検討するといいだろう。