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河口湖に精鋭エンジニア集結! 大自然の中で24時間開発に没入できる「富士山麓AIハッカソン」が素晴らしすぎる
“人類を前進させる”作品が多数登場、非エンジニアだって負けてない!
2026年6月10日 12:25
第2ラウンドのお題は「風船を使うこと」
本来は初日に3ラウンド、翌日朝までに1ラウンドの合計4ラウンドで競われる予定だったが、第1ラウンドの審査に予定よりも時間がかかってしまったため、初日の2ラウンド目と3ラウンド目をまとめて、第2ラウンドとすることになった(全部で3ラウンド)。
第2ラウンドのお題は、下記の通り。
- 風船を使うこと
- 屋外で展示できるもの
- 3,000円で好きなものを買ってよい
風船は清水氏らがあらかじめ購入したものが各チームに配布された。予算3,000円で好きなものを買ってよいというのも、なかなか面白い条件だ。
各チームから1人が買い出し部隊に参加し、残りのメンバーと連絡を取りつつ必要なものを購入する。最初に訪れた大型スーパーと100円ショップ「ダイソー」で購入するメンバーが多かった。ちなみに、買い物の制限時間は20分で、制限時間に遅れたチームには点数減点のペナルティが与えられた。
買い物から戻ったメンバーが加わり、開発が続けられた。
なお、第2ラウンドの制限時間は約2時間。第1ラウンドよりは時間が多少長くなったものの、やはり短い時間でいかに完成度を上げるかが勝負だ。この富士山麓AIハッカソンでは、チームメンバーが手で持ち運べる範囲で自由に材料や機材を持ち込むことができるのだが、「トイトリオ」チームは小型3Dプリンターを持ち込んでおり、第2ラウンドでは3Dプリンターを活用して必要なパーツを設計、印刷していた。
風船と買ってきたアイテムを上手く使った素晴らしい作品が多数登場
第2ラウンドの審査は、審査員や参加者が一緒に各チームの拠点を回る形で行われた。
第1ラウンドと違って3本以上の作品を制作する必要はないため、1つの作品に注力するチームがほとんどであった。各チームの作品を簡単に紹介しよう。
「現実改竄機構」チームが開発した「昇天する龍」は、風船を紐で繋いだものを龍の身体に見立て、龍の頭部分で餌となる黄色い風船を5つ食べさせると龍が昇天するというゲームだ。
「null2キッズ」チームは、風船を画材として絵を描くゲームを開発していた。しかし、トラブルが生じたため、時間切れで完成できなかったそうだ。完成していれば面白そうだったので残念。当然だが、完成していないと評価は低くなる。
「トイトリオ」チームは、スーパーでもらってきた段ボールをコースにした「ドラゴンボール・ファイヤーレース」を開発した。
「トイトリオ」チームは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのロボットトイ「toio」も多数持ち込んでおり、toioを上手く活用したゲームとなっていた。火のついたろうそくを載せたtoioをラジコンで操り、コースから落ちないように進んで、自分のチームの色の風船をろうそくの炎で割って、最後に花火に火をつければ勝ちというゲームであり、プレイヤーも観客も盛り上がっていた。
「AIもいっしょ」チームが開発した「スーパーリアル・バルーンファイト」は、2つのフェーズから構成されていることが特徴だ。フェーズ1は、プレイヤーが赤と青の風船をそれぞれ右手と左手で持ち、画像認識で旗上げゲームを行う。時間とともにレベルが上がっていき、最終レベルをクリアするとフェーズ2に移行する。フェーズ2は、先端に串を付けたドローンで風船を割るというもので、こちらの作品も現実世界と上手くリンクさせたゲームであり、素晴らしかった。
「チーム技研魂」チームが開発した「風船イラスト・サバイバル」は、風船をキャンバスに見立ててお題の絵を描き、その出来をAIが判定するというゲームだ。AIの評価が低いと、針が付いたソレノイドが動いて風船を割るというギミックも用意されていた。
「フツーのOL」チームが開発した「悪の親玉ペッパーをやっつけよう」もユニークなゲームだ。
まず好きなキャラクターをカメラに見せ、その色を認識させる。すると、そのキャラクターの色を混ぜて白色を作るために必要な色が表示されるので、その色の風船をカメラに見せることで、悪の親玉ペッパーを攻撃するための準備が整うというものだ。
「ゴールデンシスターズ」チームが開発した「まねっこバルーン」は、スマホでQRコードを読んでたくさんの人が同時に参加できることが魅力だ。
ステージに配置された風船にはさまざまな表情の顔が描かれているので、その顔をカメラで撮り、それと同じ表情をすればクリアというゲームで、面白いのはそれぞれの風船に紐が付いており、その先にホウレンソウやパイナップル、スポンジタワシなど、スーパーで買い出ししてきた景品がぶら下がっていることだ。クリアできればその景品がもらえるという、縁日の屋台のような仕掛けで、参加者も盛り上がっていた。
いよいよ最後のお題が発表! 最終テーマは「AIゲームセンターに置けそうなもの」
第2ラウンドの審査終了後、各チームは夕食の準備に取りかかった。ピザを焼くチームや焚き火台を使ってBBQをやるチームなど、それぞれ楽しい時間を過ごしていたようだ。
夕食後、焚き火の周りに参加者が集まって花火をやったり、マシュマロを焼いたりしていたが、午後9時過ぎに清水氏から、最終ラウンドとなる第3ラウンドのお題が出された。
最終ラウンドのお題は、下記の通り。
- AIゲームセンターを作ったときにそこに置けそうなもの
- 持ってきたものは何でも使ってもよい
- 僕もやったことがないことに挑戦して欲しい
- 友達と一緒に対戦または協力できるもの
- 基本的に3分以内で終わるが、またやりたいと思わせるもの
「AIゲームセンター」とは、清水氏が構想しているAI搭載ゲームが遊べるゲームセンターであり、AIゲームセンターを支援するクラウドファンディングも始まっている。つまり、ゲームセンターに置いてプレイヤーからお金を取れるくらいのクオリティの作品を要求しているというわけだ。
締め切りは翌日の朝9時。開発時間は約12時間だ。もちろん、締め切りまでの時間をどう過ごすかは、各チームに委ねられている。ほぼ徹夜に近いチームや短時間仮眠して取り組むチーム、順番に交代で開発するチームなど、開発の仕方にも個性が出ていた。
AIゲームセンターに置けることを目指した作品が集結
翌朝9時に参加者が集められ、清水氏から第2ラウンド終了時点での中間順位が発表された。中間順位は以下の通りだ。
- 1位:トイトリオ
- 2位タイ:フツーのOL / AIもいっしょ / ゴールデンシスターズ
- 5位:現実改竄機構
- 6位:チーム技研魂
- 7位:null2キッズ
続いて、清水氏から追加ルールが発表された。
「本番中にトラブルが起きたら、作品に手を加えて修正してもよい」。さらに最終審査は、各チームに配布された10枚のプレイチケットを使って、他のチームの作品をプレイするロケテスト形式で行われることも発表された。
点数自体をつけられるのは筆者たち審査員だけだが、プレイヤーや観客の集まり具合なども一目瞭然になる。清水氏が目指したのは、ここ「SANU 2nd Home 河口湖 2nd」に、AIゲームセンターのプロトタイプを出現させることだ。各チームが、お客さんに楽しんでもらえるAIゲームとは何か、ということを考え抜いた成果が、次に紹介する作品たちである。
「現実改竄機構」チームは、メンバーそれぞれが別々のゲームを製作していた。
「Voice Tug of War」は、お互いの顔を引き合う綱引きゲームだが、表情で威力が変わる。また、プレイヤーの2人が協調して勝負を長引かせることで、評価が上がるシステムを採用。評価が上がっていくと画面も音もドンドン派手になっていくのが素晴らしい。「Word Meet Racing」は、2人で交互に好きな単語を入力し、その単語から連想される単語を集めていくゲームだ。最後にプレイヤーが集めた言葉から、AIがポエムを生成し、そのポエムをXに投稿することができる。「Rhythm Race Gunner」は、2人で分担して車を操る協力型ゲームだ。
「AIもいっしょ」チームが開発した「SANU PATROL」には驚かされた。
AIと協同してプレイする斬新なゲームで、プレイヤーがボタンを押すと車がジャンプする。ただし、レバーはプレイヤーが動かすのではなく、AIロボットのStackChanがレバーを前方に動かしてくれる。そうすると車が前に移動する。StackChanは自分の意思を持ち、レバーを動かすので、StackChanと息を合わせないと上手く障害物を避けることができない。
上を飛ぶ烏などの敵に対してはミサイルを撃ってやっつけることもできる。高得点を目指すにはAIの思考を読んで、AIと協同でプレイする必要がある。昔懐かし「ムーンパトロール」をベースにしたということだが、プレイヤーと物理的に動くAIロボットが協同でプレイするというのは、たしかにこれまでのゲームにはなかった新しい体験だ。
「チーム技研魂」チームは、持ち込んだタッチ機能付き横長液晶ディスプレイを2台使って、「二人の距離」という相性診断ゲームを開発した。3つの質問に答えることで、2人の相性を診断し、最後に点数と、それぞれの質問についての講評が表示される
プレイヤーの盛り上がりという点では、「null2キッズ」チームが開発した「SANU FIGHT」も素晴らしかった。
「SANU FIGHT」は全身を使って戦う格闘ゲームであり、まずプレイヤーがそれぞれ「構え」と「ノーマルパンチ」のポーズと「必殺技モーション」を撮影し、必殺技の名前を入力する。すると、AIがその映像を分析し、必殺技の強さを数値化してくれる。
準備が完了したら、自分のキャラクターを選び、相手と対戦を行う。ノーマルパンチと必殺技を使って相手と戦うが、必殺技の発動には自分が登録したポーズを実際に取る必要がある。ギャラリーにも大受けであった。また、必殺技はカードとして印刷され、プレイ後に持って帰ることができることもゲーセン向きだ。
「ゴールデンシスターズ」チームは、画面に現れたエイリアンをタップして倒す「バキューンパニック」を開発した。
このゲームの面白いところは、単に一人でプレイするだけでなく、周りで観戦している人たちがスマホを使って邪魔できるようになっているところだ。グループで遊ぶ場合も、全員が楽しめるゲームデザインになっていることに感心した。
「フツーのOL」チームは、SANUでの体験や思い出をもとに「花と虫」「マシュマロと花火」「サウナでロウリュウ」という3つのゲームを開発した。それぞれ2人で役割を分担してプレイするゲームで、センスのよいビジュアルでまとめていた。
「トイトリオ」チームは、第2ラウンドに続いて、toioをフルに活用した「Seesaw Words」ゲームを開発した。
toioはモーターが内蔵されており、ロボットとして動くのだが、このゲームではtoioをマウスのようなコントローラーとしても扱っている。スクリーンにはお題に沿った言葉がたくさん並んでおり、toioを手で動かして回すことで言葉を掴み、toioをドラッグして下に言葉を移動させ、自分が考えるお題に適合する重み順に並べていく。
AIが考える重み順と一致するほど高い点数が得られ、前にあるシーソーに乗っているtoioが動き、シーソーが物理的に傾くというギミックも用意されていた。toioをコントローラーと動くロボットとして使い分けるアイデアはさすがだ。
最終ラウンドを終えて同点1位が2チーム、審査員投票で優勝チームが決定!
清水氏から、審査員による採点の集計結果が明らかにされた。その結果は以下の通りだ。
- 1位タイ:AIもいっしょ 117点
- 1位タイ:トイトリオ 117点
- 3位:ゴールデンシスターズ 107点
- 4位:フツーのOL 104点
- 5位タイ:null2キッズ 99点
- 5位タイ:現実改竄機構 99点
- 7位:チーム技研魂 98点
なんと「AIもいっしょ」チームと「トイトリオ」チームが同点トップとなったのだ。中間順位では「トイトリオ」チームがトップだったが、最終ラウンドで「AIもいっしょ」が高得点を獲得して追い付いた形だ。
1位は審査員投票で決めることになり、その結果、選ばれたのが「AIもいっしょ」チームだ。AIロボットとプレイヤーの人間が物理空間で一緒に遊ぶという、AIの注目分野であるフィジカルAIをゲームセンターに体現したコンセプトが高く評価された。ちなみに筆者が、最終ラウンドで最高点を付けていたのも「AIもいっしょ」チームであり、ナル先生と南治氏、そしてAIのナルエビ3世によるアイデアと実装技術は圧巻であった。さすがはトップエンジニアだ。
しかし、点数が僅差だったことからもわかるように、どのチームの作品も非常によくできていた。特に、非エンジニア主体の「ゴールデンシスターズ」が3位に入ったことも素晴らしい。AIゲームセンターに置けるような作品が見たいという清水氏の狙いは見事に成功したといえるだろう。
(次のページに続く)


























