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手のひらAIスパコン「DGX Spark」であえてゲーム開発、3時間のハッカソンで作ったとは思えない力作が集結した
日本初となる所有者限定の「DGX Sparkハッカソン」開催
2026年7月14日 12:10
東京・浅草橋にある技研ベースにて「第一回DGX Sparkハッカソン」(以下、DGX Sparkハッカソン)が、6月13日に開催された。
このハッカソンは、その名の通り、参加資格がNVIDIAの卓上AIミニPC「DGX Spark」の所有者に限られ、自分が持ち込んだDGX SparkでAIを活用したゲームを作るという、とてもユニークなものだ。DGX Sparkのみを対象にしたAIハッカソンは、おそらく日本初であろう。本稿ではその様子をレポートする。
手のひらに乗るAIスパコン「DGX Spark」
最初に、DGX Sparkについて簡単に説明しよう。
DGX Sparkは、NVIDIAが2025年に発表したAIスパコンであり、150×150×50.5mm、約1.2kgという手のひらに乗るサイズながら、FP4で最大1PFLOPSという高いパフォーマンスを誇る。DGX SparkはNVIDIAの純正品以外にも、リファレンスデザインが提供されており、ASUSやLenovo、MSIなどさまざまなメーカーから同等の性能を持つ製品が発売されている。
また、同製品は、NVIDIA GB10 Grace Blackwell Superchipと128GBの統合メモリを搭載していることが特徴であり、比較的規模の大きなLLMも動かすことが可能だ。発売当初の価格は60万円程度であり(現在はメモリなどの高騰のため100万円程度まで価格が上がっている)、個人でも買えるAIスパコンとして注目を集めた。
DGX SparkでAIを活用したゲームを作ることが課題、第一回DGX Sparkハッカソン
今回のハッカソンを主催したAI/ストラテジースペシャリストの清水亮氏は、AI開発やローカルLLMなどに使用することが本来の目的のDGX Sparkで、あえてゲームを作るのも面白いのではないかと考え、この「DGX Sparkハッカソン」を企画したという。前述した通り、参加条件は個人でDGX Sparkを所有していることだ。第1回となる今回は、アメリカ西海岸からリモートで参加した人や岡山から参加した人など、全9人の参加者が集まった。
最初に主催者の清水氏が、ハッカソンのテーマや作るもの、審査基準について説明を行った。
AIを活用したゲームを作ることが目的のハッカソンだが、そのテーマとして、清水氏は「DGX Sparkを使う」「面白いこと」「AIをリアルタイムで使う」の3つを挙げた。最初の2つは当然だが、3つ目はAIを使ってゲームを開発する(いわゆるバイブコーディング)だけでなく、ゲームの中でもAIをリアルタイムに使う必要があるということだ。
また、清水氏は、特にゲームセンターに置かれるゲームで重視されることとして「3分で終わる」「説明が不要」「後ろで見てて楽しい」の3つを挙げた。さらに、ゲームとは「ルール」と「それを守らせる力」の2つから成り立っており、そのイディオムとして「タイムアタック」「スコアアタック」「対戦」「デストラクション」「スピード」「ペナルティ」があることを説明した。
制限時間は3時間である。なお、本来は、Anthropicがリリースしたばかりの最新モデル「Claude Fable 5」を使ってバイブコーディングを行う予定であったが、開催当時、アメリカ政府の利用制限の影響で使用できなくなってしまい、急遽、Opus 4.8やAntigravityといった他のモデルを使って開発を行うことになった。
参加者のうち6人は、自分が所有するDGX Sparkを持ち込んでいたが、残りの3人は自宅に置いたDGX Sparkにリモートで接続して開発を行っていた。
3時間で作ったとは思えない力作が続々登場!
制限時間が終了すると、参加者が開発したゲームのプレゼンテーションを順番に行うことになった。どのゲームも完成度が高く、とても3時間で作ったとは思えない出来であった。
最初に「ORACLE DUEL」という呪文を唱えて敵を倒すゲームが披露された。このゲームを開発したドリキンさんはアメリカ西海岸から参加したという。
続いて披露された「AIムチャぶりラッシュ」は、AIが出すお題のムチャぶりに顔の表情やポーズで応えるゲームだ。ステージ1では顔真似だけ、ステージ2ではポーズの真似だけをすればクリアだが、最終ステージでは顔の表情とポーズの両方を同時に真似る必要がある。ゲームが終わるとAIによる講評コメントが表示されるのも面白い。
「ゲーム神社」は、決まったゲームをプレイするのではなく、いくつかの質問に答えていくことで、プレイヤーがやりたいゲームをその場で生成してくれる。まさに生成AIをフルに活用したゲームという印象だ。
マイクとカメラを活用した「コトダマ・バトル」は、身体を動かして攻撃を避け、敵の弱点を大声で唱えて敵を倒すゲームだった。
「HENSHIN FLIGHT」は、自転車に乗って東京の街中を走り抜けたり、変身して上空から街を眺めたりできるフライトゲーム。天使モードでは腕を動かすことで羽根を羽ばたかせることができた。
「バイト刑事の取り調べ室」は、バイト刑事になって容疑者の自供を勝ち取ることが目的という一風変わったゲーム。観客がQRコードを読むことでスマホから応援できる点が特徴だ。
「Gaussian Mission Arcade」は、ガウシアン・スプラッティングによるリアルな風景の中で、青い丸を集めていくドットイートタイプのゲームであった。
「ALIEN CODEX」は、オーソドックスなシューティングゲームだが、AI生成により、毎回違う形や動きの敵が出てくることが特徴だ。
最後に披露された「iPhone何個分?」は、左に表示されるお題の重さが、iPhone何個分に相当するかを当てるクイズゲームだが、観客がスマホから余計なものを追加して邪魔できる、観客参加型のゲームだった。
「第一回DGX Sparkハッカソン」の栄えある優勝者は……
参加者9人による各プレゼンテーションが終わると審査が始まった。
審査は、参加者全員が1人2票ずつの権利を持ち、自分がいいと思った作品に手を挙げて投票するという形式で行われた。その結果、「AIムチャぶりラッシュ」と「ALIEN CODEX」がともに5票で並んだ。最終的に清水氏のジャッジにより「AIムチャぶりラッシュ」が優勝となった。
「AIムチャぶりラッシュ」の作者は精神科医の宋龍平氏である。宋氏は岡山からこのハッカソンに参加するために上京したそうで、10代からPC-98 CanBeでプログラミングをはじめ、精神科医になる前にはフリーランスとして業務アプリの開発をしていたという。いわば筋金入りのエンジニアでもある宋氏の作品は、本人だけでなく、周りの観客も一緒に楽しめるゲームであり、今回のハッカソンのテーマにもっとも合致していたといえるだろう。筆者もぜひプレイしてみたいと感じた。
今回のDGX Sparkハッカソンは、清水氏による「AIゲームセンター」構想とも関連しており、AIを活用したゲームの可能性の一端を示したものといえる。今後の動向にも注目したい。














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