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プログラムを書けなくてもAIハッカソンで優勝できる!重要なのは技術ではなく『課題を見抜く力』

~急成長するAIスタートアップに聞く「AIハッカソン」がイイ理由(2)

 サードウェーブが開催した2023年の「24時間AIハッカソン」で優勝、短期間で急成長を遂げたAIスタートアップ・エムニ。代表取締役CEOの下野祐太氏は、企業向けのAI開発に日々携わりながら、自らもコードを書いてデモを作る。AIハッカソンを起点に、AI時代の育ち方をしたとも言えるスタートアップだ。

 この「AIハッカソン」は、今年も「全日本AIハッカソン 2026」として開催中。現在は予選を行っており、予選の最終回「6th ラウンド」(8月22日オンライン開催)の申し込みはまもなく7月15日(水)が締め切りだ(詳細はこちら)。今年のレギュレーションは、3時間の制限時間内にWebブラウザー(Google Chrome)から体験できる作品を制作し、審査員がそれを実際に動かして勝者を決めるというもの。参加費無料・賞金ありで、開発テーマはハッカソン開始時に発表。司会進行はAI/ストラテジースペシャリストの清水亮氏が担当する。

 今回は、AIによって開発の現場がどう変わったのかについて下野氏にお話を伺った(聞き手:鈴木 光太郎(窓の杜編集長)、構成:柳谷 智宣)。

エムニ 代表取締役CEO 下野祐太氏。
【急成長するAIスタートアップに聞く「AIハッカソン」がイイ理由】

失うものは何もない。AI時代の今こそ、人生で一度はハッカソンに飛び込んでみてほしい理由
プログラムを書けなくてもAIハッカソンで優勝できる!重要なのは技術ではなく『課題を見抜く力』
優勝→急成長のAIスタートアップが考える「AI時代の事業のあり方」と「AIハッカソン」の関係とは?(7/9掲載)

受注前に「動くたたき台」を作ってしまうスピード感、開発の速さは桁違いに変わった

 エムニでは、顧客から問い合わせを受けた後、正式な受注前に、実際に動くデモやPoC(概念実証)のたたき台を作り、それをもって提案するという。

「大量の文書から要約するシステムや、ちょっとした業務効率化のアプリケーションなら1〜2時間で動くものができます。ゴールを示して、手順はこうで、インプットとアウトプットはこうですよ、と与えてあげれば、環境さえ整っていれば物が出てくるのです」(下野氏)

エムニのミッション、ビジョン、バリュー

 例えば、ゲームで言うなら、テトリスのようなものでも、数時間で開発し、アプリケーションとして動かせるようになるという。プログラミングを縁遠い世界だと感じている人ほど、そのスピードに驚くはずだ。また、規模の大きな開発になると、変化の振れ幅はさらに大きい。

「5~6年前なら数百万円かかっていたレベルのものでも、我々は無料で、しかも一週間ほどで作れてしまいます。実際のプロジェクトでは、コードを書く生産性が10倍に上がったという結果も出ています。これまで2カ月かけていたものが一週間ほどでできるようになった、というのが今の時代のイメージです。その後、正式に受注したら、お客さまとコミュニケーションして、作りこんでいきます」(下野氏)

 業務でシステム開発に関わる人なら、この変化が脅威的に響くだろう。費用と期間が一桁変われば、これまで採算が合わずに諦めていた試みにも手が届く。アイデアを思いついてから試すまでの距離が、これまでになく短くなった。まず作って確かめるという進め方が、現実のものになっているのだ。

プログラミングはAIに任せればいい。『課題を見抜く力』があれば、誰でもアプリは作れる

 初心者だと利用するAIツールの選定に悩みそうだが、下野氏は、基本的には使い慣れたもので構わないと語った。

 そもそも、ゼロから書くわけではなく、AIと対話して『組み立てていく』感覚に近く、ChatGPTのような対話型AIでも問題なし。ただし、ハッカソンで使うならコーディングに特化したものが向いており、下野氏自身はClaude Codeをよく使っているそう。AIアシスタントの細かな性能差は、短期間のハッカソンではそれほど大きく影響しないという。

 むしろ大事なのは、どこで勝負したいか、となる。UIで魅せたいなら、ClaudeとFigmaを連携させたり、Claude Designで作り込んだりする。課題を突き詰めたいなら、図を描くツールと繋いで、課題の構造をAIと壁打ちしながら整理する。こうしたツール同士の連携も、難しく考える必要はないという。

「連携のやり方が分からないならAIに聞いてください。認証だけ人がやれば、あとは全部やってくれます。認証のボタンを押すだけです」と下野氏。

AIを怖がらないで。スマホより簡単な『創るツール』で挑戦を始めよう

 何が重要かさえ分かっていれば、手段の調べ方も、使うべきツールの選び方も、AIへ尋ねれば返ってくる。それぞれのツールに詳しいかどうかは、もはや参加のハードルにはならないという。技術のハードルが下がったことで、ハッカソンはエンジニアだけのものではなくなったのだ。

 今では、限られた持ち時間の中でも、多くの参加者が実際に動くアプリを完成させ、形にして発表していく。あるClaude関連のイベントで開かれたハッカソンで表彰された人の多くが非エンジニアで、優勝したのは弁護士だったそうだ。

 現在、求められる力が二つあるという。一つは課題を見つける嗅覚。日々の出来事に疑問を持ち、どこに価値があるのかを嗅ぎ分けられるかどうか。もう一つは、それを言葉にする力。課題のどこにボトルネックがあるのか、どう解決するのか。

「課題を見つけることは、価値を見つけることと同じだと思っています。そして、それをきちんと言語化できれば、AIに指示が出せます。創作はそれくらい民主化されてきています。あとはAIやITを怖がらないこと。スマホよりAIのほうが触るのは簡単なので、苦手だと決めつけるのはもったいないと思います」(下野氏)

 プログラミングの技術そのものより、解きたい課題を持っているかどうかに問われる軸が移ったというのが重要だ。何かを作りたい、AIに触れてみたいという気持ちがあれば、エンジニアかどうかは関係ない。技術というハードルが取り払われた今、問われるのは、課題を見抜き、言葉にし、臆せず手を伸ばす姿勢なのだ。

【急成長するAIスタートアップに聞く「AIハッカソン」がイイ理由】

失うものは何もない。AI時代の今こそ、人生で一度はハッカソンに飛び込んでみてほしい理由
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優勝→急成長のAIスタートアップが考える「AI時代の事業のあり方」と「AIハッカソン」の関係とは?(7/9掲載)