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プログラミング経験ほぼゼロの自分がAIハッカーの頂点を決める「全日本AIハッカソン」予選会に挑戦してみたら楽しすぎた
3時間バイブコーディングの超短期決戦で決勝進出を目指す!
2026年4月21日 09:00
日本一のAIハッカーを決める「全日本AIハッカソン 2026」(株式会社サードウェーブ主催)の1stラウンドが2026年3月28日、東京で開催された。
このハッカソンは、11月7日に開催予定の「AIフェスティバル 2026」内で行われる「全日本AIハッカソン2026 決勝戦」の予選となる大会で、2人1組のチーム戦である。今回の1stラウンドには筆者も参加者として参加してきたので、その様子をレポートしたい。
2026年のAIハッカソン予選は、オフラインとオンラインで合計6ラウンド開催
「全日本AIハッカソン」は、サードウェーブが2023年から主催しているイベント「AIフェスティバル」の中でも人気のあるイベントのひとつだ。「AIフェスティバル」とは「AIをもっと身近に、もっと楽しく」をテーマに、最新の生成AI、AIアート、AI開発、AIビジネスを体感できる日本最大級のAIイベントで、講演や展示、フリマなど、充実したコンテンツを誇る。
AIハッカソンは当初、24時間でAIを利用したサービスやソフトウェアの開発を競うものであったが、AIを活用したバイブコーディングの登場により、前回から短時間で開発を行うイベントにコンセプトが変更された。なお、「全日本AIハッカソン 2025」決勝戦の様子は、別途記事でレポートしているので参考にしてほしい。
「全日本AIハッカソン」の予選は、前回の形式を例に挙げると、プログラミングの経験がある人を対象にした「一般部門」とプログラミング未経験の人を対象にした「ビギナー部門」の2部門が設けられ、全国5カ所(東日本、西日本、九州、北海道、中日本)で開催。それぞれの部門で最優秀賞となったチーム全10チームが決勝戦に進んだ。しかし今回の「全日本AIハッカソン 2026」では、生成AIがより進化したことで、一般部門とビギナー部門を分けずに予選会が行われることになった。
具体的には、1stラウンドから6thラウンドまで全部で6回、1stと3rdと5thがオフライン、2ndと4thと6thがオンラインで開催される。オフライン予選の会場は、1stと5thが東京、3rdが大阪である。オンライン予選の実施は今回が初めてとなるが、地方在住者でも参加しやすいようにという配慮によるものだ。
今回のハッカソンは2人1組のチーム戦で行われる(ちなみに「全日本AIハッカソン 2025」では3人1組のチーム戦であった)。予選各ラウンドの参加チーム数は30チームで、10チームずつ3つのブロックに分かれて時間差で開催される。各ブロックの第1位は11月に行われる決勝戦に出場でき、各ブロックの第2位は9月に行われる敗者復活戦に出場できる。決勝戦では、各ブロック第1位の18チーム(3ブロック×6ラウンド)と敗者復活戦の上位2チーム、合計20チームでの戦いとなる。
筆者が参加したAブロックのお題は「Communication」。3時間の超短期決戦が始まった
ハッカソンは、その場で出されたお題(テーマ)に沿ったソフトウェアを制限時間内に開発し、その出来を競うものだ。今回の予選会の制限時間はわずか3時間と、これまでで一番短くなっている。
筆者はプログラミングに関する経験はほぼないが、AIを活用したバイブコーディングには興味があり、昨年の「全日本AIハッカソン 2025」の東京予選・ビギナー部門に出場した経験がある(もちろん予選通過はできなかったが……)。
今回もできれば参加したいが、チームをどうしようかなと思っていたところ、友人のやんさんから一緒にチームを組んで出場しないか、というお誘いをいただき、東京でオフライン開催される1stラウンドにエントリーすることにした。予選各ラウンドに参加できるチームは、抽選で選ばれた合計30チームだが、筆者たちのチームは運良く抽選を突破し、3月28日に行われた1stラウンドに参加できることになった。
予選ラウンドは10チームずつ、A/B/Cの3ブロックに分かれ、それぞれ別室にて時間差でスタートした。最初に、大会運営を担当する大沼功氏が、ハッカソンのレギュレーションについて次のように説明した。
- チームメンバーによるプレゼンは不要であり、発表資料を作る必要はない
- Google Chrome上で動作するアプリであること
- 作成したソフトウェアへのリンクURLだけを提出すればよい
続いて、東京予選の審査員を務めた、株式会社インプレス・窓の杜編集長の鈴木光太郎氏が、次のように挨拶をした。
「窓の杜は30年前からあるサイトで、私もPC系のキャリアは長く、大昔はオンラインソフトを作っていたことがありますので、モノを作るということは大体知っているつもりです。皆さんがどんなモノを作ってくるかとても楽しみにしています。審査基準ですが、今回は予選ということで、決勝戦や敗者復活戦もありますが、決勝の後もそれが社会を変えていくことに繋がっているようなものを期待しています。皆さんが作るモノがそのまま社会で使えるかはわかりませんが、AIはそういうものだと思っていて、その先に繋がる楽しさや可能性、そういうものを感じられるモノがいいなと思っています。ですから、チャレンジを期待しています。作ったモノがいかに度肝を抜けるかですね」
さらに「AIフェスティバル」の仕掛け人にして、司会進行である清水亮氏が、次のようにコメントした。
「今回、トップバッターの審査員を鈴木さんにお願いしたというのは非常に象徴的です。ハッカソンは、プレゼンテーションだけで誤魔化して実際には作っていなかったり、実際はほとんど動かないモノが勝ったりするとしらけちゃいます。ハッカソンが一度日本で流行したものの、廃れてしまった理由はそれだと思っていて、毎回、審査員の方と議論を重ねながら、どうすれば一番公平に“真のハッカー”にふさわしい人を選べるのかと考えた結果、実際にアプリを作ってレビューをしていただくのが一番だと考えました。窓の杜でレビューされるのと同じだから、皆さんがこれから3時間かけて作るモノが、いかにアプリとして面白いか、ユニークかというところを見ていただければと思います」
何度も言うが、ハッカソンはお題が与えられてからがスタートとなる。
「全日本AIハッカソン」では毎回、清水氏がお題を発表しているが、基本的に前もって考えるのではなく、その場で思いついたものをお題にしているそうだ。
これまでは「友」「解」「感」など漢字一文字のお題が多かったが、1stラウンド・Aブロックのお題として発表されたのは「Communication」。お題が発表されたのは10時30分、開発終了は13時30分であり、3時間の超短期決戦がスタートした。もちろん、時間差でスタートするBブロックやCブロックは、また別のお題が与えられるので、不公平になることはない。
筆者が所属するチームはプロポーズゲームを開発することに。しかし、3時間という時間はやはりあっという間だった
お題が発表され、筆者が所属するチーム「OGI」も開発を開始した。まずは、どんなアプリやサービスを作るのか、各自でアイデア出しをすることにした。
バイブコーディングには、GeminiのCanvasモードを使うことが推奨されているが、他のAIツールを使うのも自由だ。筆者もチームメンバーのやんさんも、ゲームが好きなため、基本的にゲームを作ることに決定。最初の15分間で「Communication」というお題から連想するゲームのアイデアをそれぞれ考えることにした。
そこで、筆者はChatGPTに「コミュニケーションというテーマで、これまでにないゲームのアイデアを10個挙げて下さい」というプロンプトを入力し、出てきたテーマを検討した。面白そうなものもあったが、AIを使って開発するだけでなく、AIを使ったアプリを開発するということをサブテーマとして決めていたので、「AIを活用するアイデアを10個挙げて下さい」というプロンプトを追加した。その結果、出てきたアイデアをやんさんと検討し、やんさんの意見も取り入れて「人生における究極のコミュニケーションとはプロポーズである」という仮説を立て、トゥーランドット姫のような冷酷な姫にプロポーズして口説き落とすゲーム「口説け、氷の姫君」を開発することに決定した。この時点で、時刻は11時10分。残りは2時間20分しかない。
次に、バイブコーディングへ移る前に、ゲームの詳細を定めた仕様書を作成することにした。
この仕様書作成は、Geminiを活用してやんさんが担当した。仕様書を見直して何度か修正を行い、11時40分に仕様書がほぼ完成。ここからバイブコーディングを開始した。ゲームの流れは、まず姫に関する情報が表示され、次にプロポーズの言葉を考えるシンキングタイムが5秒間あり、その後マイクに向かってプロポーズの言葉を15秒以内で叫ぶ。その内容によって姫の好感度が上下する。プロポーズの言葉は3回かけることができ、好感度がマックスになればハッピーエンド、そうでなければバッドエンドというのがゲームの流れだ。
やんさんがバイブコーディングを担当し、やんさんと筆者が実際にプレイしてデバッグを担当する、という流れで開発を行った。また、筆者はNano Bananaを利用してゲーム中で使う姫やタイトル、エンディングなどの画像作成を引き受けた。ゲームの基本的な骨組みは何とかできたのだが、Nano Bananaで作成してローカルに保存した画像を、開発したプログラムで利用する方法がわからず、タイムアップ……。ネットから探してきた画像のみで提出することになった。
やはり3時間という時間はあっという間であり、もっと効率よく開発を行う必要があると痛感した。なお、審査時にはローカル画像をゲーム中で利用する方法はわからなかったが、やんさんは翌日以降もプログラムの改良を続け、ローカル画像がゲーム中で利用できるようになった。
審査時間はたった3分。審査員が開発したソフトウェアを直接操作して評価
13時30分からは各チームが開発したソフトウェアの審査が開始された。審査の順番は、受付時に引いたクジで決まっており、筆者たちのチームは6番目となった。
なお、各チームの審査の様子については、以下の写真を見てほしい。審査員の鈴木氏が、各チームが開発したソフトウェアを直接操作して評価を行った。1チームあたりの審査時間は3分であり、たくさんの質問(チャット)を投げかけるようなソフトウェアだと時間が足りなくなることもあった。
Aブロックは親子参加チーム「Vertex Hunters」が第1位を獲得。筆者たちのチームは再起を誓う!
10チームすべての審査が終わると、結果発表が行われた。審査員は鈴木氏一人だけで、順位を決めるのにかなり悩んでいたようだ。
結果は3位から発表され、第3位がチーム「ゆるUnity電子工作部」、第2位がチーム「ビールが飲みたい」、そして栄えある第1位がチーム「Vertex Hunters」となった。鈴木氏は、今回のAIハッカソンと入賞作品について次のように語った。
「審査はとても大変でした。どの作品もすごいなと。こういうレベル感を想定していませんでした。第3位の『ゆるUnity電子工作部』の『セクシーカウンター』は、最初に言わせていただいた、どれだけこの後が面白くなるのかということで選ばせていただきました。第2位は『ビールが飲みたい』の『AI幹事ヨイさん』です。こういうところで使うと面白いよねというシーンがとてもわかりやすく、飲み会で机に置いておくといいよね、というのがイメージできるのがよかったと思います。第1位は『Vertex Hunters』の『ファーストルック~あなたの第一印象~』を選ばせていただきました。ポイントはわかりやすいインターフェイスだったというところ、いろいろなシチュエーションに応じて評価だけでなく、修正の提案をしてくれるところまでちゃんと作り込まれていたところですね。コミュニケーションにはさまざまな形がありますが、動画を撮影し、きちんと最初から最後まで面倒を見てくれる完成度の高さを評価しました」
「Vertex Hunters」チームは、昨年2025年の東日本大会・ビギナー部門の優勝チームであり、2年連続決勝進出を決めたことになる。第1位獲得に際して、決勝大会も頑張りたいとコメントしていた。
ところで、筆者たちのチームは、というと、残念ながら上位に入ることはできなかった。しかし、やんさんと2人でチームを組んでのAIハッカソンはとても楽しいものであった。
「全日本AIハッカソン 2026」は現在、3rdラウンドまでの参加申し込みが終了しているが、6月20日にオンラインで開催される4thラウンドは4月20日から、7月25日にオフライン東京会場で開催される5thラウンドは5月20日から、そして8月22日にオンラインで開催される最後の予選 6thラウンドは6月19日から参加受付開始となる。第1位を獲得しない限り、何度でも同じチームで予選に出ることは可能なので、筆者たちのチームも再起を誓って、5thラウンドに参加申し込みをしようと考えている。




























