ニュース
GPT-6 Astraのトークン消費をローカルAIで解決できるか?
Ryzen AI Max+ 395と128GBのメモリを搭載した「DAIV CX」によるゲーム開発活用事例
2026年9月25日 08:41
ローカルAIに強い「DAIV」で、生成AIを用いたゲーム開発を考える
東京ゲームショウ2026のビジネスデイ2日目となる9月18日、マウスコンピューターが出展したG TUNE/NEXTGEARブースにて、ステージイベント「【DAIV×生成AI】ゲーム開発現場でのAI活用」が開かれた。
登壇者は、デジタルハリウッド大学大学院教授の新清士氏、マウスコンピューターでデスクトップPCのプロダクトマネージャーを務める林田奈美氏。進行はゲームキャスターの海老江邦敬氏が務めた。今回の話の肝になるのは、「GPT-6 Astra」など強力なクラウドAIが登場した今、ローカルAIをどう活用できるのかという話だ。
クラウドAIに対するローカルAIの利点
ステージには、Ryzen AI Max+ 395と128GBのメインメモリを搭載した「DAIV CX-A9A60」の実機が用意された。外見はかなりコンパクトで、ほぼミニPCという印象だが、大容量のメモリでローカルAIを動かすのに適したPCとなっている。こちらは新氏に2週間ほど前に届けられたそうで、どういった使い方ができるのか実演を交えて紹介された。
新氏は最初に、ローカルAIのメリットを3点紹介した。1つは大型LLMを手元で動かせるようになってきたこと。まさに「DAIV CX」のように、大容量メモリを搭載したPCが入手可能になったことで、大型LLMを用途に応じて選べるようになってきている。
2つ目は、繰り返しの用途。ローカルAIに必要なコストは、PCを用意する初期投資と電気代。クラウドAIのようにトークンを食いつぶすような心配がない。3つ目は社内のデータを外部に出さないで済むこと。データ漏洩に対する安全性を担保できるAIを使いたいというニーズは当然ある。
ただし、最先端のクラウドAIと比べて、ローカルAIの性能には限界がある。これをどう使うかについて新氏は、『クラウドAIでフォーマットを作り、繰り返しの作業が発生する状況になったら、その作業をアプリケーション化する。その作業をローカルLLMに移していく』と述べた。
「LM Studio」で巨大LLMを動かす
その説明として、「DAIV CX」の具体的な利用例が4つ示された。
1つ目は、ローカルLLMを動かすAIチャットツール「LM Studio」。AIモデル「Gemma 4 31B」の動作デモが紹介されたが、このファイル容量はQ5_K_Sの量子化で22.7GBとなっている。量子化の度合いを変えるなどすれば、一般的に売られているゲーミング向けのGPUでも何とか動かせるサイズのものだ。
しかし最新モデルの「Qwen3.8-Flash-Next」では、IQ2_Mの量子化で81.27GBとかなり大きい。AIモデルは概ねファイルサイズが大きいほど賢くなり、このくらいのサイズになるとクラウドAIには劣るものの、コーディングも一部任せられるくらいの性能があるという。20GB程度のAIモデルでは難しい作業も、大容量メモリを活かして巨大LLMを用いれば、現実的になってくる。
ここで林田氏から『80GBのAIモデルを使うのに、128GBもメモリが必要なのか?』という質問が。新氏は『AIはモデルデータを読むだけでなく、チャットのデータ保持にもメモリを使う。全部のメモリをモデルデータで使い切ると会話ができなくなる。128GBメモリに80GBのAIだと、文庫本数冊分のデータを保持できる』と説明した。
LLMの返答から、音声や動画をリアルタイム生成
2つ目の利用例も同じくLLMを活用したもので、ローカルLLM同士で会話する仕組みを導入した「Rinon Voice Lab」が紹介された。ユーザーの入力に対して「LM Studio」で動かしたローカルチャットAIが返答すると、その内容を「Irodori-TTS」が音声に変換し、再生する。
これを2人のチャットAIキャラクターで行い、お互いの発言を受けて勝手にやり取りするという仕組みも用意。ユーザーは2人にお題を与えることで、会話の方向性をコントロールするだけで、あとはAI同士がずっと話を続けるというものだ。
この処理は全て「DAIV CX」単体で実行されているため、インターネット接続も不要。この仕組みを使えば、AIの音声による自動応答システムなども作れるだろう。
これをさらに発展させて、動画も生成できる仕組みも紹介された。動画の生成には数秒程度かかるものの、リアルな女性が語り掛けてくる映像になっている。新氏曰く、「生成待ちの時間はあるが、だんだん慣れてきて実在感が強くなってくる」のだそうだ。
繰り返し作業になるゲームのデバッグにローカルLLMを活用
3つ目は今回の本題となるもので、シューティングゲームの制作について。「Neon Swarm」というワイヤーフレーム風グラフィックスを採用した作品で、かなり遊べる内容なのだが、「GPT-6 Astra」により1時間で作られたのだそうだ。先述のとおり、「DAIV CX」で動かせるローカルAIで、これほどのゲームを作れるものはまだない。
ではローカルAIをどこで使うのかというと、デバッグ作業だ。デバッグツールを用意し(作成はAI)、ゲームの操作を「LM Studio」で動かす映像認識可能なAIに行わせる。ゲームをほんの少し動かして一時停止し、その映像から次の行動をローカルAIに考えさせて、また少し動かす……という繰り返しをさせる。
この作業もクラウドAIで実行はできるものの、繰り返しの作業はトークン使用量が大きくなる。『これを「GPT-6 Astra」にやらせたら、一瞬でトークンがなくなる』のだそうで、ここにローカルAIを投入することで事実上無制限にAIによるデバッグを動かせるようになる。また開発中のゲームのデバッグデータが外部に出ることがないのもメリットになる。
「DAIV CX」を映像制作環境の母艦に据える
4つ目は「百夜スタジオ」と名付けられた映像制作環境。アーティストやプランナー、ディレクターが使うことを前提とした画像管理ソフトに、画像や動画の生成機能を加えたものとなっている。複数の画像・動画生成AIを選んで使用でき、1分以上の長編動画も生成可能なのが特徴だという。
AI画像・動画生成ツールは「ComfyUI」がスタンダードな立ち位置になっているが、複雑なことをやろうとすると非常に扱いが難しく、プランナーの手に余ってしまう。より扱いやすくするのが、このツールの目的の1つとなる。
仕組みとしては、プロンプトの作成や翻訳、整理を「LM Studio」に行わせた上で、画像・動画生成は「ComfyUI」に流し込む。「ComfyUI」を習熟する必要なく、LLMがユーザーの意図を適切に把握して繋ぎ込んでくれる。読み込ませた画像をLLMが認識し、画像に含まれる要素をプロンプトとして書き出す機能も用意されている。
「百夜スタジオ」の仕組みを実現するのに、LLMの動作だけでなく、ハブ機能やデータ管理など複数の機能が同時に動くことになり、現在は複数のPCを動かしている。これらを「DAIV CX」に一元化して、画像・動画生成だけは「DAIV CX」よりも強力なGPUを搭載したレンダリング専用機に流し込むという仕組みにできないかと考えているそうだ。
これで構成がシンプルになりプランナーにも扱いやすくなる。規模的には『会社内で数十人で使うくらいなら回せるのではないか』とのことだ。「DAIV CX」をLLMサーバーとしてだけでなく、多機能なサーバーとして活用する事例だ。
進化が早いローカルAIは、今後もできることが増えていく
新氏はローカルAIの導入について、『電気代だけで動かせることが、クリエイターにとってどれだけ重要か。初期投資はかかるが、効果はとても大きい。ローカルLLMの性能も今後さらに上がり、使い方も広がっていくだろう』と語った。
林田氏は「DAIV」シリーズの説明にある『写真、映像、イラスト、DTM、3DCG、VRなど、あらゆるクリエイティブ制作に適した選択肢を提供する』という文言に触れ、『1年前に作ったこの説明には、AIが入っていない。今年に入ってから、AIのステージが変わってきたと感じる。そのタイミングでこの製品を提供できてよかった』と述べた。
ブース内には「DAIV CX-A9A60」も実機展示されており、ステージで紹介された2人のAIが掛け合いをするソフトが動作していた。新氏は『Windowsが動いていて、慣れた操作で扱えるのも大きい』と語っており、PCの延長線上でAIサーバーとして活用できるのが本機のメリットと言える。











































