トピック

AIのプロに聞く「ローカルAIのためのPC選び」、動画生成AIやLLMを快適に使う目安はどのくらい?

メモリやSSD、CPUはどう考える?クリエイター向けPC「DAIV」で考える

プロが考える「ローカルAIを使うためのPC」の基準とは

 AIの話題を聞かない日はないという今日このごろ。チャットAIサービスが高性能・多機能化でしのぎを削る最先端技術もあれば、飲食店でよく見かけるようになった配膳ロボットもAIで動いている。もう我々の生活はAIとは不可分になっている。

 AIというとクラウドで動くものを想像する方が多いと思うが、必ずしもそうではない。ローカルPCで動かせるものも数多くあるし、その方が都合がいいこともある。利用料金を気にせず、手元のPCで好きなだけ使える方がいいし、外部に出してはいけない機密データの扱いに困ることもなくなる。

動画生成や画像生成、LLMなどのローカルAIを実際にテストしてみた

 特に最近はPCの高性能化が進むとともに、AIの研究が進んで、ローカルPCでできることがかなり増えてきた。しかも巨大なデスクトップPCではなく、持ち運び可能なノートPCでも、AIを大いに活用できるようになってきた。

 そこで今回は、デジタルハリウッド大学特任教授で生成AIに関するスタートアップも経営、生成AIに関する研究開発も行いつつ、弊誌で連載記事「生成AIストリーム」を執筆する「しらいはかせ」こと白井 暁彦氏(以下、しらい氏)に「ローカルAIのためにノートPCを選ぶなら?」という基準で、マウスコンピューターのクリエイター向けPC「DAIV」の製品を選んでいただいた。

「ローカルAI向けPCの選び方」の基本であるビデオメモリ容量の考え方はもちろんのこと、「ストレージ(SSD)はどのように重要で、どれぐらいの容量を目安としたらよいか」やメインメモリ容量やCPUグレードの考え方、さらには、「どれぐらいの速度で、動画や画像が生成できたら快適に作業できるのか」まで、様々なご意見をいただいたので参考にしてほしい。

【記事目次】

プロが考える「ローカルAIを使うためのPC」の基準とは
クリエイターPC「DAIV」から2機種をチョイス
 - GeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載、高性能なDAIV N6-I9G80BK-C
 - GeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載、約28万円から購入できるDAIV Z6-I7G60SR-A
最重要は「ビデオメモリ」と「GPU」
メインメモリやSSDも重要
動画生成やLLMを実際にテスト、実用性のポイントはココ!
 - 動画生成は「動画1秒につき1分かからないこと」がポイントに
 - 画像生成は「1枚5秒未満」が目安
 - gpt-oss-20bもテスト
動画編集やゲームにも使える?
 - 動画編集はどちらのPCでも十分な性能
 - ゲームでも高性能、高解像度・ハイリフレッシュレートも対応OK
新たなノートPC選びに、AI用途という目線を


クリエイターPC「DAIV」から2機種をチョイス

 早速だが、しらい氏が選んだのは「DAIV N6-I9G80BK-C(NVIDIA Studio 認定PC)」(以下、DAIV N6-I9G80BK-C)と「DAIV Z6-I7G60SR-A(NVIDIA Studio 認定PC)」(以下、DAIV Z6-I7G60SR-A)という2つのPCだ。

 どちらも、クリエイティブ作業向けに最適化されたNVIDIA Studio認定PCで、クリエイティブ作業向けのStudioドライバーなどがあらかじめインストールされたもの。どちらも16型のノートPCだが、搭載するパーツが異なり、もちろん価格も異なっている。

 まずはスペックから見ていただこう。

【表1】スペック比較
DAIV N6-I9G80BK-CDAIV Z6-I7G60SR-A
CPUインテル Core Ultra 9 プロセッサー 275HX(8-Pコア+16-Eコア/24スレッド、Pコア5.4GHz+Eコア4.6GHz)インテル Core i7-13700H プロセッサー(6-Pコア+8-Eコア/20スレッド、Pコア5GHz+Eコア3.7GHz)
GPUGeForce RTX 5080 Laptop GPU(GDDR7 16GB)GeForce RTX 4060 Laptop GPU(GDDR6 8GB)
メモリ32GB DDR5-5600(16GB×2)32GB DDR5-5200(16GB×2)
SSD2TB(M.2 NVMe Gen4×4)1TB(M.2 NVMe Gen4×4)
ディスプレイ16型非光沢液晶(3,840×2,400ドット/120Hz)16型非光沢液晶(2,560×1,600ドット)
OSWindows 11 Home
汎用ポートThunderbolt 4×2、USB 3.1×2Thunderbolt 4×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0×2
カードスロットmicroSD(UHS-I対応)SDメモリーカードリーダー ※UHS-I対応
映像出力HDMI×1、Thunderbolt 4×2HDMI×1、Thunderbolt 4×1、USB 3.1 Type-C×1
無線機能インテル Killer BE1750x Wi-Fi 7、Bluetooth 5Wi-Fi 6E、Bluetooth 5
有線LANインテル Killer イーサネット E3100X 2.5Gigabit Ethernetなし
電源230W ACアダプタ180W ACアダプタ
その他500万画素カメラ(Windows Hello対応)、デュアルアレイマイク、ヘッドセット端子など200万画素カメラ(Windows Hello対応)、デュアルアレイマイク、ヘッドセット端子など
本体サイズ約356×271×19.9mm約353.7×245.3×18.5mm
重量約2.23kg約1.6kg
価格529,800円~279,800円~

GeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載、高性能な「DAIV N6-I9G80BK-C

 「DAIV N6-I9G80BK-C」は、GPUにGeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載した最新かつ高性能なノートPC。ビデオメモリは16GB。

 CPUは最新のインテル Core Ultra 9 プロセッサー 275HXを搭載。最上位の「Core Ultra 9」に属する、8つの高性能コアと16の高効率コアを内蔵したCPUで、性能の高さと消費電力の低さを両立させているのが特徴。CPU内蔵のAI専門プロセッサである「NPU」も搭載している。

 DAIVシリーズはBTOでスペックを変更できるが、今回はメインメモリ 32GB、SSD 2TBというスペックで検証している。

 高性能なGPUとCPUを搭載していることもあり、価格も50万円を超えている。おいそれと手が出る製品ではないが、これは“松コース”だそうだ。

“松コース”の「DAIV N6-I9G80BK-C」はGeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載。ローカルAIを存分に使うためのハイスペックPCだ
本体左側面
本体右側面

GeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載、約28万円から購入できる「DAIV Z6-I7G60SR-A

 もう1台の「DAIV Z6-I7G60SR-A」は“竹コース”で、GPUにGeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載。ビデオメモリは8GB。GPUのクラスは下がるが、ぐっと購入しやすくなる。価格は約28万円と半額近い。

 CPUはインテル Core i7-13700H プロセッサーで、上位クラスの「Core i7」に属するもの。搭載コアは高性能コアが6つ、高効率コアが8つ。これもなかなか高性能なCPUだ。

 検証機のメインメモリは32GB、SSDは1TB。これらはBTOで変更可能だ。

“竹コース”の「DAIV Z6-I7G60SR-A」はGeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載。価格はぐっと下がるが、これもローカルAIを試せる性能は持っている
本体左側面
本体右側面

 今回は選定をノートPCに絞っているのだが、しらい氏曰く『最近のAI活用企業では、リモートと在席作業のハイブリッドが一般的になったし、展示会や営業でデモをしたいこともあるので、デスクトップPCよりノートPCがいいことが多々ある』とのこと。

 ビジネス用では純粋な性能のほか、コストパフォーマンスや投資の回収という側面も重要になる。用いるAIに十分なスペックなら、デスクトップPCのように固定席を必要とせず、ノートPCの可搬性を活用でき、ローカルAIを(時にネットワーク無しで)社内外で動作させられるノートPC、というのは興味深い選択肢と言えそうだ。


最重要は「ビデオメモリ」と「GPU」動画生成をやるなら16GBからが主戦場、最低でも8GB

 AI用途のPCを選ぶ際に、何を基準とすべきか。PCはCPUやGPU、メモリ、SSDなど、複数のパーツで構成されており、用途によってどのパーツを重視するかが変わる。

 しらい氏によると、AI用途で最も重要なのは『ビデオメモリ容量』だという。PCを使ってきた方でも、ビデオメモリ容量はあまり意識したことがない方が大半だと思う。

 ビデオメモリとは、PCのグラフィックス処理をつかさどるGPUのために搭載される専用メモリのこと。先に出したスペックで言えば、GPUの欄にある「GDDR7 16GB」や「GDDR6 8GB」の部分だ。一般的なPCの処理に使われるメインメモリ(スペックにある「メモリ」の欄のもの)に比べて、高速にデータをやり取りできるのが特徴だ。

 元々、ビデオメモリはグラフィックス専用のメモリだったのだが、AI処理にはCPUよりGPUの方が向いていることから、GPUとともにAI処理に活用されている。AIの知識の源となるモデルデータを、ビデオメモリに読み込ませて処理することで、AIの処理を高速に行えるのがメリットだ。

 しらい氏は『AI動画生成をやりたいなら、ビデオメモリは16GBからが主戦場。8GBは最低ラインで、これ未満は実用的ではない』という。これが今回の2台を選定した最も大きな基準になっている。

 8GBのビデオメモリがあれば、『Stable Diffusion XL』による画像生成は大抵のモデルが動かせるという。それ以上のビデオメモリになる時には、必要な時にクラウドサービスを併用する方がコストパフォーマンスが良い、という判断だそうだ。


メインメモリやSSDも重要「ビデオメモリの代わり」や「モデルデータの保管場所」として

「DAIV」は搭載するパーツをカスタマイズして自分好みにできるのも特徴

 それ以外のパーツについてはどうか。

 まずSSDは、AIで生成したものを保存したり、AIのモデルデータを保存したりする場所になるため、大きければ大きいほど便利だという。今回選定したものは「DAIV N6-I9G80BK-C」で2TBになっているが、購入の際にカスタマイズが可能で、4TBや8TBにも増量できる。

 SSDは速度も重要で、巨大なAIモデルを読み込む時間を短縮できる。AIモデルが大容量だからといって、保存場所をHDDにした場合、ランダムアクセスするため非常に低速になるそうだ。

 メインメモリは、ビデオメモリの2倍が基準だそう。『WebのUIが意外とメモリを食う上、画像や動画編集ソフトも同時に動かすとメモリをかなり消費するので、多い方がいい。またビデオメモリに乗りきらないサイズのAIモデルをメインメモリに移して動かす機能もあるので、多ければ使い道はある』という。

CPUのポイントは

 なお、一般的なPCでは最も重視されることが多いCPUだが、今回検証するような「ヘビーなAI処理そのもの」に限って言えば存在感は薄くなる。

 ただし、AI生成した画像や動画は、当然、その後に編集などをするわけで、CPUはもちろん重要。また、GPUだけを高性能にしてもバランスがとれず、本来の用途であるグラフィックス処理などではGPUが性能を発揮できない場合もあるため、バランスの良い選択を心掛ける必要があるだろう。

 それ以外の一般用途でも、当然、CPUの出番は非常に多い。本稿ではGPU中心の解説が多いが、AI以外にどういう用途で使うのかを考えて選ぶといいだろう。

 ちなみに、AI処理であっても、「オンラインミーティングでの背景ぼかし」といったライトな処理はCPU内蔵のAI専門プロセッサである「NPU」で演算することで消費電力を低く抑えることができる。今回の2製品では、「DAIV N6-I9G80BK-C」が搭載するインテル Core Ultra 9 プロセッサー 275HXがNPUを搭載しており、性能だけでなく、消費電力の点でもメリットがある。

 なお、これは余談になるが、今回の2機種を実際にしらい氏に使っていただいたところ、『筐体がしっかりしていて、外側のコーティングも丁寧。キーボードの配置も使いやすい。放熱も良く、それでいて本体は重すぎない。ACアダプタも含め、重すぎては困るので、バランスが良い』と評していた。

DAIV N6-I9G80BK-C」の天面のデザインはシンプルながら、しっかりした塗装で質感は高い
DAIV Z6-I7G60SR-A」の天面のデザイン。シルバーベースのシンプルなタイプだ
DAIV N6-I9G80BK-C」のACアダプタ。高性能なノートPCはACアダプタも大きくなるが、この製品でスリムな形状で持ち運びにも配慮されている
DAIV Z6-I7G60SR-A」のACアダプタ。可搬性が高い。


動画生成やLLMを実際にテスト、実用性のポイントはココ!

 では「DAIV N6-I9G80BK-C」と「DAIV Z6-I7G60SR-A」でAI処理を体験してみよう。

動画生成は「動画1秒につき1分かからないこと」がポイントに

 しらい氏の今イチオシな動画生成は、「ComfyUI」を用いて「WAN 2.2 Fun Control」を使うものだそう。「ComfyUI」はAI画像生成に特化したUIで、「Stable Diffusion」などでもよく使われてきた。

「ComfyUI」

 「WAN 2.2 Fun Control」は、オープンソースのAI動画生成モデル。「ComfyUI」のテンプレートから「Wan 2.2 14B Fun Control」を選べば、テスト環境を構築できる。動作に問題がある時は、しらい氏のトラブルシューティングも参照するといい。

「WAN 2.2 14B Fun Control」のテンプレートを利用する

 今回は1枚のイラストと、キャラクターのモーションだけを収録した動画を用いて、イラストのキャラクターが動き出すサンプル動画を生成する。初期設定だと約5秒、153コマの動画が生成される。

このイラストのキャラクターを動かしたい
【モーションデータをAIに与える】

 2台のPCで実行してみると、「DAIV N6-I9G80BK-C」では生成に212秒、約3分半かかったのに対し、「DAIV Z6-I7G60SR-A」では395秒、約6分半かかった。時間的には倍近くの差があったことになる。

【実際に生成された動画】

 しらい氏によると、『動画生成は1秒につき1分かからないことが大事』だそう。今回の5秒の動画であれば5分以内に生成できるのが基準ということになる。少し前までは5分を切れるのはハイエンドのデスクトップPCが必要だったが、現在は「DAIV N6-I9G80BK-C」のように、ノートPCでも実現できてしまう。

 ただ、「DAIV Z6-I7G60SR-A」でも動画の生成はできている。まず試してみる程度なら対応できるし、本格的にやりたくなったらクラウドサービスを使う……という話は先の提案どおりだ。

画像生成は「1枚5秒未満」が目安

 続いてAI画像生成も実行。同じく「ComfyUI」で、基本テンプレートにある「画像生成」を用いた。「ComfyUI」ユーザーにはおなじみの、テキスト指示から画像生成するもので、初期設定だと青いボトルの画像が生成される。

基本テンプレートにある「画像生成」

 こちらは「DAIV N6-I9G80BK-C」では1枚の画像生成に1秒あまり、「DAIV Z6-I7G60SR-A」では2秒あまりという結果に。動画生成の時と同じくらいの差だ。

テキストの指示から青いボトルの画像を生成

 画像生成についてしらい氏は、『プロは100枚くらい連続生成して一番いいものを選ぶので、1枚5秒を切るとやりたいことができると感じる』と説明。画像生成にもさまざまなAIモデルがあるので、どれでも1枚5秒以内で出力できるわけではない。それでも動画生成よりは扱いやすく、「DAIV Z6-I7G60SR-A」でも気軽に試せる程度のものだ。

gpt-oss-20bもテスト、40トークン/秒ならチャット相手として快適

 続いてLLM(大規模言語モデル)のローカル実行も試していく。ローカルLLM実行ソフト「LM Studio」を使い、ChatGPTのローカル版として注目されているOpenAIのローカル版LLM「gpt-oss-20b」を動作させた。

 テストでは「LM Studio」から、「gpt-oss-20b」のモデルをダウンロードして実行し、チャットで話しかける。モデルは左のタブにある「Discover」アイコンから検索しダウンロードできる。本稿執筆時点で提供されている「LM Studio 0.3.25」では、インストール完了時に「gpt-oss-20b」がおすすめとして提示されるので、これをダウンロードしてもいい。

「LM Studio」で「gpt-oss-20b」をダウンロード

 1,000字程度で自己紹介するよう頼んでみると、とても流ちょうな日本語で自己紹介をし始める「gpt-oss-20b」。最終出力後に表示される処理速度は、「DAIV N6-I9G80BK-C」で約40トークン/秒、「DAIV Z6-I7G60SR-A」で約18トークン/秒となった。

自己紹介させると、しっかりした日本語で出力した(画像は「DAIV N6-I9G80BK-C」で出力したもの)

 40トークン/秒だと、だいたい目で追う速度と同じくらいの勢いでテキストが生成されていくので、チャット相手として快適だ。18トークン/秒だと気持ち的には待たされている感じはあるが、待ちきれないほど遅くはない。普通に使うのにギリギリくらいの速さ、と感じる人が多いだろう。

動画編集やゲームにも使える?

 なお、ローカルAIはこれら以外にもさまざまなものがある。

 しらい氏が注目するものの1つが「AITuber」だ。人間がキャラクターの見た目で話す「VTuber」から、話す声や内容をAIに任せてしまい、無人でキャラクターが勝手に話すようにするもの。

 仕組みとしては、会話を理解するLLMに音声合成、キャラクターのビジュアルを組み合わせて動作させ、人間と会話できる仮想キャラクターを作成。これに動画配信ソフトを合わせて、動画配信サイトのコメントを読んで会話する。これら全てを1台でまかなうには、ビデオメモリやGPU以外の部分も高いスペックを持つPCが求められる。しらい氏によると『AITuber Kitを使えば、Webブラウザをフロントエンドに可愛いAIキャラクターを音声で会話させることもできる』という。

 また、音声合成だけのソフトも、しらい氏おすすめの「VoiceVox」をはじめ、多数のソフトが公開されている。

AI音声合成ソフトの1つ「VoiceVox」

動画編集はどちらのPCでも十分な性能

 ほかにも、高性能なGPUがあるならゲームや動画編集など、様々な活用をしたい方もいるだろう。

 続いてはAI以外の性能について、ベンチマークテストで見ていこう。使用したのは、「Blackmagic RAW Speed Test」、「Disk Speed Test」、「3DMark v2.32.8426」だ。

 まず、動画編集の性能を測る「Blackmagic RAW Speed Test」と「Disk Speed Test」の結果は下の画像のとおり。

 具体的な結果は、それぞれのデータを見ていただきたいが、どちらのPCも、CUDAを使用すればパーフェクトな結果。ストレージもテスト範囲は十分カバーできている。動画編集の観点ではまず不満が出ることはなさそうだ。

「Blackmagic RAW Speed Test」
「Disk Speed Test」

ゲームでも高性能、高解像度・ハイリフレッシュレートも対応OK

 続いてゲームの処理能力を調べる「3DMark」の結果。

【表2】「3DMark v2.32.8426」ベンチマークスコア
DAIV N6-I9G80BK-CDAIV Z6-I7G60SR-A
Speed Way4,1832,511
Steel Nomad3,7642,163
Port Royal10,6405,612
Solar Bay70,75840,982
Time Spy15,68710,075
Fire Strike30,42822,607
Wild Life40,09230,064
Night Raid64,11449,765
CPU Profile(Max threads)15,0236,929
CPU Profile(1-thread)1,2831,043

 どちらも最新のCPUとGPUを搭載しているだけあって、ゲームの動作はかなり優秀。

 特にGeForce RTX 5080 Laptop GPUとインテル Core Ultra 9 プロセッサー 275HXを搭載する「DAIV N6-I9G80BK-C」は、最新ゲームを高解像度で遊べるほど高性能。搭載する液晶ディスプレイが120Hzのハイリフレッシュレートに対応しており、ゲームプレイにも向いている。

 比較して差が大きいのはCPU性能で、特にマルチスレッド処理では「DAIV N6-I9G80BK-C」に搭載されたインテル Core Ultra 9 プロセッサー 275HXが、デスクトップPCにも劣らぬ高性能であることが示されている。これ1台で何でもやりたい、複数作業を並行でやりたいという場合は、CPUの性能が大きく効いてくるだろう。

 ちなみに今回の2機種は、いずれもNVIDIA Studio認定PCで、初期インストールされているGPUドライバーは、クリエイター向けのStudioドライバーとなっている。Studioドライバーは、クリエイティブ作業に使う様々なアプリとの互換性検証が行われ、安定性を重視したドライバー。ほかにゲーム向けのパフォーマンス調整やバグ対応が急ぎ行われるGame Readyドライバーがある。もし、本機の用途をゲーム主体にする、あるいは最新ゲームを積極的にプレイしたいのであれば、ドライバーをGame Readyドライバーに切り替えることもできる。

GPUドライバーはStudioドライバーがインストール済み。Game Readyドライバーへの切り替えは「NVIDIA App」で簡単にできる


新たなノートPC選びに、AI用途という目線を

 ノートPCでもローカルAIは十分に動かせる時代になってきているし、試したい程度であれば最高級PCでなくてもできる、ということはお伝えできたかと思う。今後はPCとAIはますます切っても切れない関係になっていくだろう。

 今のうちからAIとは何か、その片鱗でも学んでおけば、先々で役立つ場面は想像以上に多いと思う。

 今回、しらい氏に選んでいただいた「DAIV N6-I9G80BK-C」や「DAIV Z6-I7G60SR-A」は、ノートPCでローカルAIを活用していくための、十分なポテンシャルがあるといえるだろう。次のPCを選ぶ際には、AI用途も考慮してクリエイター向けPCを1つの選択肢としてチェックしてみることをおすすめしたい。