【第11話】
Metroスタイルとソフトの未来
(12/06/05)
マイクロソフト社製次期OSである“Windows 8”の最終プレビュー版が先週の金曜日(日本時間)に公開された。Windows 8の目玉機能は、なんといっても“Metroスタイル”という方式のアプリケーションであり、Windows用ソフトのあり方を変える節目となるかもしれない。
Windows 8用のアプリケーションは、従来通りにデスクトップ上で実行するタイプと、Metroスタイルで実行するタイプに分かれ、Metroスタイルのアプリは専用サイト“Windows ストア”を通してのみユーザーに提供される。これはApple社の“App Store”と同じような仕組みであり、開発者が自分のWebサイトなどで自作アプリを勝手に公開することはできない。
“Windows ストア”を利用すれば、アプリを手軽に公開・販売できる上、その著作権も守りながら、より多くの人に存在をアピールできるが、これまでWindowsが育んできたオープンなソフト文化とは違い、良くも悪くも閉鎖的な環境となる。同種のシステムを世に広く普及させたApple社のiOSはそれを前提として登場したため、ユーザーは自然に受け入れることができた。はたしてWindowsユーザーが今から受け入れられるのか、マイクロソフトとWindows 8にとって大きなチャレンジになるだろう。
“Windows ストア”でアプリを出品するには、たとえそれが無償アプリであっても、個人が4,900円、企業が9,800円の年間登録料を支払う必要がある。有償アプリを出品する場合は、決済システムや、試用版を提供する仕組みも活用できるので、歓迎すべきシステムだといえる。そのため、無償アプリだけを公開したいフリーソフト作者がどれくらい登場するかによって、“Windows ストア”の盛り上がりが変わってくるだろう。
Metroスタイルのアプリは、全画面表示やタッチ操作を前提にしているため、従来のデスクトップアプリと役割がかぶることは基本的にない。しかしそれは同時に、MetroスタイルのアプリがWindowsの主役になれば、Windowsそしてパソコンの役割も変わることを意味するはずだ。とくにパソコンのタブレット化が加速することは間違いないだろうし、それは未来のことではなく、もはや現実のことなのかもしれない。