#モリトーク

第47話

引退日が迫る旧Twitter API

 v1.0のTwitter APIが3月5日から段階的に終了し、それと同時にv1.1へと置き換わる。これはTwitter社が昨年8月に発表していたことであり、発表直後にはクライアント開発者・ユーザーの間で大きな物議を醸した。その熱も今ではだいぶ収まり、忘れてしまっている人も多そうなので、ここで復習しておこう。

“Twitter API v1.1”へ対応済みの「Janetter」

 “Twitter API v1.1”への切り替えでは、Twitter APIを利用するためのエンドポイントが変更された上で、リクエスト回数などの仕様も変更される。そのため、Twitter用クライアントおよびサービスはアクセス先を変更する必要があり、アクセス先が“Twitter API v1.0”のままだと、3月5日以降は機能しなくなる。

 ここ数週間、“Twitter API v1.1”へ対応するクライアントが目立っているのはそのためであり、窓の杜ライブラリに収録されているクライアントでは「Janetter」「V2C」「MiniTwitter」「Tween」がすでに対応しているほか、「Saezuri」もアップデートを予定している。昨年夏以降にアップデートが実施されていないクライアントは、突然利用できなくなる可能性が高いので、自分が利用しているクライアントのアップデート状況をチェックしておこう。

 一方、“Twitter API v1.1”への対応を見送り、Twitterから去ることを決断しているケースもある。そのひとつがPlayStation 3用テレビ視聴ソフト「torne」であり、視聴中のテレビ番組に関するツイートを閲覧できる“ライブ機能”が3月4日をもって無効化されるとのことだ。ただし、「torne」の製品ページでは“休止”と表現しているほか、マスコットキャラクター“トルネフ”のTwitterアカウントには『torneはこれからも進化する』との発言もあるので、再開される可能性は残っている。

 あくまで推測になるが、「torne」の“ライブ機能”が無効化される理由は、エンドポイントの変更だけではないと思われる。なぜなら、“Twitter API v1.1”にはエンドポイントとその仕様の変更に加えて、ツイート表示に関するルールの厳格化も含まれているからだ。同ルールでは、Twitter公式サイトのデザインに準拠する形で各ツイートを表示しなければならないと定義されている。「torne」の“ライブ機能”はこれから外れているので、すぐに対応できないということなのではないだろうか。

厳格化されたツイート表示に関するルール(Twitter社の開発者向けページより引用)

 実は、すでに開発終了を宣言しているTwitterクライアントの作者などから、デザインの統一化を批判する声が多く挙がっており、“Twitter API v1.1”が物議を醸した理由のひとつでもある。多様なスタイルのTwitterクライアントが存在する時代は終わり、これからは新作のクライアントも登場しにくくなるので、既存のクライアントにはこれまで以上の期待が集まることになるだろう。

(中井 浩晶)