週末ゲーム

第651回

時を止めて一気呵成の攻撃が熱い3Dロボットアクション「時止電殻」

パーツ集めのコレクション性あり、やり込みもありのハードなバトル

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、3Dアクションシューティングゲーム「時止電殻」をご紹介する。

 本作は2016年夏のコミックマーケットにて完成版が頒布された有償の同人ゲームで、現在はダウンロード版を購入可能。価格は540円(税込み)など。作者サイトにて体験版も公開されている。

真面目でシビアな3Dロボットアクション

3D空間を駆け巡るロボットアクション

 「時止電殻」は、ロボットを操って戦う3Dアクションシューティングゲーム。射撃と格闘を使い分けながら、各ステージで指示される目的をクリアしていく。

 操作はゲームパッドのみ対応で、キーボードは非対応。ロボットの武器は動きながら撃てるものと、一時的に動きが止まるが強力なものの2種類があり、それぞれ射撃と格闘を切り替えられる。他に空中に上昇・滑空できるブーストも使用できる。

 ロボットは体、左腕、右腕、足の4パーツで構成されており、ステージの内容に応じて変更できる。新たなパーツはステージ攻略で得られるお金と素材アイテムを使って、ショップで購入可能。重装甲で地上を走るタイプと、軽量で空中を高速移動できるタイプ、平均的なタイプの3つが基本で、ゲームを進めるとそれ以外の特殊パーツも登場する。

 各ステージには、敵の撃破や目標地点への到達、味方の護衛など異なる目標が設定されている。攻略にかかった時間や受けたダメージ、倒した敵の数などに応じてクリア時のスコアが決定され、スコアに応じてお金と素材アイテムの量が増える。やられてもステージの最初から何度でもやり直すことができ、無理だと思ったらメインメニューに戻ることも可能だ。

 戦闘では、あまり動かない地上目標もいれば、戦闘機のように空を飛ぶもの、自分と同じロボット型、さらには巨大な要塞なども登場する。大型の敵は命中した場所によってダメージが異なるため、弱点を狙って撃つのが大事。敵の攻撃はかなり苛烈で、真正面から突っ込むと雑魚相手でもあっという間にやられてしまうので、空中を飛び回りながら撃つ激しいアクションになる。

 一部の武装では敵をロックオンする機能が備わっているが、ある程度ターゲットを敵に向けなければいけない。またロックオンしていても弾がさほど誘導するわけではないので、動いている敵には近付いたり角度を変えたりして狙うことになる。装備には弾数も設定されており、弾切れになると格闘しかできなくなるので、無駄撃ちなく戦うのも重要。

 総合的に見てアクションはかなり難しく、3Dアクションに慣れた人でも序盤からかなり手こずるだろう。しかしアクションの挙動自体はキビキビして好反応。敵の攻撃が厳しく辛いことはあっても、思い通りに操作できないということはなかった。

銃の射撃。ロックオンできるものは狙いやすいが威力が低い
剣などの格闘も使える。ただし攻撃中の敵に突っ込むと大ダメージを受ける
敵は小型のものから巨大なものまでさまざま。攻撃は見た目通りに相当激しく、止まっているとすぐにやられる

時を止めて一方的に攻め立てろ!

時を止め、自分だけが高速に動く

 ここまで語った内容でも本作は楽しめるが、他にいくつかの特長がある。まず最大の特徴となるのが、タイトルにもなっている、時を止めるアクションだ。厳密には自分以外の時間経過が数十分の1程度になっているようだが、自分の好きなタイミングで時間を止め、その間は自分だけが自由に動くことができる。

 隙が大きい攻撃を使う際に時間を止めれば、敵に隙を突かれることなく大ダメージを与えられる。また、敵の動きが速くて弾が当たらない時も、着弾まで時間を止めてやれば簡単に撃ち落とせる。攻撃的な使い方ばかりではなく、敵や敵弾に囲まれた時に時間を止めて遠くに避難するなど、守備的な使い方もできる。

空を高速で飛ぶ敵も、時間を止めれば簡単に倒せる
猛烈な攻撃を仕掛けてくる巨大な敵も、時間を止めれば一方的に大ダメージを狙える

 ただし時を止められるのは一定時間に限られる。事前に補助脳と呼ばれるユニットを3つ選んで装備しておき、各ユニットに設定された値だけ時間を止められる。補助脳はカードの形でストックされ、パーツと同様にショップで購入が可能。各補助脳には止められる時間の長さの他にコストが設定されており、コストが高い補助脳の方が概ね止められる時間も長くなる。補助脳にはほかにスキルも設定されており、攻撃力などのステータスに影響するものもある。

 補助脳を使用するためのコストは、ステージ開始時点で500に固定されており、敵を倒すごとに増えていく。例えばコスト500の補助脳なら、開始してすぐスキルを発揮し時を止められる。コスト1,000の補助脳は最初はスキルを発揮せず、時も止められないが、敵を倒して500のコストを得られればコストオーバーが解消されて使用可能になる。

 戦闘中に時を止め続けて補助脳が限界に達すると、次の補助脳に切り替わる。この時、使い切った補助脳の分のコストが補充される。例えば保持しているコストが1,000で、コスト500の補助脳を使い切ると、保有コストは1,500になる。これをうまく使えば、連続で時を止めながら高コストの補助脳に移行できる。

 弾幕が強力で近寄るのも難しい巨大な敵に対して、弱点が見えるタイミングで時間を停止し、強力な攻撃を一気に叩き込むのが攻略の鍵になる。特に弾数は少ないが威力が大きい攻撃との相性がよく、普通に撃っていても歯が立たない敵が、あっさり倒せることもあり、かなりの爽快感がある。強力な敵のいるステージで詰まってしまったら、思い切ってパーツを変えて、時間の止め方を考えながら戦うのがいいだろう。

補助脳にはコストと時を止められる時間、スキルが設定されている
3つの補助脳を装備。コストがだんだん増えるよう計算して配置するといい

 アクションについてはもう1つ、“フル電殻モード”が使える。コスト3,000以上の時に発動でき、使用すると機体の性能が向上し、HPが完全回復する。ただし使用中は徐々にHPが減少し、あと一発という瀕死になるとモードが終了する。絶体絶命の時に発動して反転攻勢に出られる必殺技で、時間停止と一緒に使うと絶大な効果があるが、使ってしまったら勝負を決めないと後がない。

 ちなみにフル電殻モードを発動すると、HPだけでなくブーストで使用する“ブーストゲージ”も回復する。ブーストで上昇中にフル電殻モードを発動すると、ブーストゲージが満タンになり、再度ブーストすることで通常では上れない場所にも行ける。これを知らないと酷い目に遭うステージもあるので、覚えておいていただきたい。

フル電殻モードは強力だが、最終的にHPがほぼ0になる
時間停止とフル電殻モードは併用可能。最後の畳みかけに便利

多数のコレクション要素でクリア後も楽しめる作品

ロボットのパーツを入れ替えて、ステージ攻略に合う性能に仕立てる

 本作の魅力としてもう1つ伝えたいのが、カスタマイズ性の高さ。ロボットを構成するパーツは4つあるが、それぞれ攻撃、防御、機動力などの基礎ステータスに影響する。それに加えて、体と足は補助脳の持つスキルの効果を高めるものがある。また腕を変えると武装が変わる。本体重量の概念はないので、軽量な体と足に重量級の腕を付けても構わない。

 ただし各パーツには、装備に必要なキャパシティ(CAP)が設定されている。高性能なパーツほど必要なCAPは多くなる。ロボット全体のCAPは各ステージを攻略した時のスコアの合計となっており、最初は0(初期パーツは0で使用可能)。ステージを高いスコアで攻略すれば、強力なパーツも使えるようになる仕組みだ。

 クリアしたステージには何度でも再挑戦できる。先のステージを攻略してパーツを更新できてから再挑戦しハイスコアを更新できれば、CAPが上昇して装備を充実できる。また攻略時のお金や素材アイテムも何度でも入手できるので、行き詰まったら以前のステージをやり直すのも大切だ。

 他にはドールという要素もある。服や帽子、ボディなど専用のパーツを入れ替える着せ替えキャラクターで、単に見た目が変わるだけでなく、補助脳として使える。パーツによって補助脳としてのコストや能力が変化するので、『このくらいのコストで、こんな能力の補助脳が欲しい』という時に補完する役割も果たせる。

 このほか、補助脳に仕事をさせてお金を稼がせることもできる。仕事の内容は傭兵、娼館、人体実験があり、それぞれに報酬と必要な時間が書かれている。ゲーム起動中の時間経過(メニュー画面にいても可)によって、仕事の時間が終わると報酬が得られる。時々、補助脳が死亡することもあるが、カードとしては消失せず、再度仕事に出せばまた稼いでくれる。出撃で使用する補助脳には影響しないので、すべての補助脳を仕事に出して構わない。補助脳にはそれぞれ得意分野があるので、それに合わせた仕事にすれば稼ぎがよくなる。

 本作はとにかく難しい。筆者はこの手のアクションは得意な方なので、腕で何とかしてやろうと思っていたが、全く歯が立たずコンティニューの連続。やむなく前のステージを繰り返して素材を集め、装備とCAPを充実させて、ようやく1ステージ攻略できる……の繰り返しだった。また素材はスコアに応じてランダムに獲得できるが、ステージによって出るもの、出やすいものがあるようだ。目的の素材を見つけたら、そのステージを何度もプレイすればいい。

 こう説明すると作業的に聞こえるかもしれないが、CAPが少しずつ上がり、貴重な素材を見つけるというプロセスは、RPG的な面白さがある。クリアするのにすべてのパーツや補助脳を集める必要はないが、クリア後もすべてコレクションするために遊ぶ楽しみも残されている。アクション自体も腕の上達が必須なゲームなので、やり込む楽しさは十分だ。ちなみに筆者はクリアまでに10時間ほどかかっているが、パーツ集めのためにもうしばらく続けたい。

ステージクリア時のスコアによって、ロボットのCAPが上昇する。クリアしたステージに再挑戦してハイスコアを狙うのも大切だ
素材アイテムはランダムに入手できるものが多いが、特定のステージでしか出ないものもあるようだ
手に入れたお金と素材でパーツなどを購入する
ドールは補助脳として使える。装備するパーツによって性能が変化する
補助脳を仕事に出してお金を稼げる。適性のある仕事をさせたい

ソフトウェア情報

「時止電殻」
【著作権者】
電核製鋼
【対応OS】
Windows Vista/7/8/8.1/10
【ソフト種別】
ダウンロード販売 540円(税込み)など(体験版あり)
【バージョン】
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