週末ゲーム

第653回

蘇る死者達が終わりなき戦いに臨むダンジョンRPG「Buriedbornes」

ローグライクゲームをコマンド式に簡略化。抜群のわかりやすさと中毒性を両立

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、ダンジョンRPG「BuriedBornes」をご紹介する。

 本作はWebブラウザーでプレイが可能。またiOS、Androidのスマートフォン向けアプリも公開されている。いずれも利用は無料(アイテム課金あり)。

死者を蘇らせ、終わりなき戦いに臨む

蘇った英雄がダンジョンへと送り込まれる

 「Buriedbornes」は、ダンジョンを進みながらキャラクターを育てていくダンジョンRPG。アクション性はなく、行動をコマンドで選択して進めるという、レトロなようで斬新なRPGだ。

 本作はゲームシステムがとても秀逸なのだが、それ以上に魅力を感じるのが、どうしようもなく暗い世界観だ。タイトルの“Buriedbornes”というのは“死せる者ども”という意味で使われており、プレイヤーキャラクターを指す言葉でもある。

 物語のきっかけは、“こだいのはおう(古代の覇王)”の復活だ。彼は現世に蘇ると、無限に蘇るBuriedbornesを使役し、人類が住む地上の征服に乗り出した。人類は団結して抵抗するも、際限のないBuriedbornesとの戦いに、数多の英雄が命を落とした。やがて人類は疲弊し、絶望的な状況に陥っていく。

 滅亡の危機に陥った人類が取った手は、自らもBuriedbornesの力を使い、古代の覇王が率いるBuriedbornesと戦わせることだった。命を落とした英雄をBuriedbornesとして蘇らせ、古代の覇王と戦わせるべく地底へと送り込んでいく。際限なく蘇るBuriedbornes同士が戦う、終わりのない物語の始まりである。

 プレイヤーはBuriedbornesを蘇らせてはダンジョンへと向かわせ、戦いに敗れたら救い出すこともなく放置し、新たなBuriedbornesをまた蘇らせる。元英雄であるBuriedbornesには、戦士や魔法使いなどさまざまな職業のものがいるが、その中にはBuriedbornesを蘇らせる死術師すらも含まれるというのが、質の悪いジョークのようで救いがたい。

さまざまな職業の元英雄を蘇らせ、“こだいのはおう”の元へと送り込む

亡骸を糧にダンジョンの奥深くへと潜っていく

ダンジョンの移動画面。左右どちらかに移動する

 ゲームを開始すると、まず使用する職業を選択する。最初は戦士や僧侶、魔法使いなど限られた中から職業が選択できる。後に冒険の中で得られる“ませき”を使ったり、一定の条件を満たすことで、新たな職業が解放される。どのみちダンジョンでやられて新たなBuriedbornesを蘇らせる(キャラクターを作る)ことになるので、最初は何を選んでも構わない。

 ダンジョン内の移動は、右か左かどちらかを選択して進む。移動先のマスには、魔物がいるのか、その他の仕掛けがあるのかなど、大まかな情報が表示されている。魔物がいるマスに移動すると戦闘となる。なおダンジョンの内容はプレイごとに変化するので、決まったルートは存在しない。

 戦闘では、所持しているスキルを使って敵と戦う。スキルは攻撃、回復、能力アップなど色々なタイプがある。スキルを使用すると行動終了となり、敵のターンに移る。自分と敵が交互にアクションを起こしていくという、仕組みだけ見るとローグライクな戦いになっている。スキルにはそれぞれにクールタイムが設定されており、一度使ったらクールタイム分のターンが経過しないと再度使えない。

 序盤の移動マスで重要なのは“なきがら(亡骸)”だ。このマスに移動すると、倒されたBuriedbornesの亡骸から、武具やスキルを剥ぎ取って自分のものにできる。装備は武器1つと防具2つで、それぞれにさまざまな能力が設定されている。スキルは最大5つまで保有でき、新たなスキルを見つけた時には、保有しているものと差し替えができる。

 装備の能力はメニュー画面から説明を見られるものの、非常に多彩で、特殊な効果を持つものもある。詳しい説明は公式攻略Wikiに書かれているので、参照しながらプレイするのがいい。攻略は見ないでプレイしたい人もいると思うが、Wikiを見たところで絶対的な攻略方法はないゲームなので、その点は安心してデータ収集に役立ててほしい。

 キャラクターは戦いで経験値を得てレベルアップするが、能力は向上しない。亡骸を漁って装備やスキルを付け替えていくことで、キャラクターが成長していく仕組みだ。ただし亡骸は稀に死んでおらず、襲い掛かってくることがある。亡骸は元々、ダンジョン内で力尽きた他のプレイヤーだったものもあり、強力なスキルを持っていることもあるので要注意だ。

 他にはダンジョン内に落ちている宝箱を開けると、先述の“ませき”が入手できることがある。予想に違わず罠入りの宝箱もあり、大ダメージを受けることもある。さらには体力が回復できたり、能力が減少したりする謎の泉、選ぶと何が出るかわからない扉、ストーリー性のあるキャラクターとの出会いなど、さまざまなイベントがある。なお“ませき”はゲーム内で入手できるほかに、課金アイテムとして有料販売もされている。

 ダンジョンの各層にはボスがおり、移動マスで“ボス”と書かれた場所に登場する。ボスを倒せば次のフロアへ移動する。冒険の目的となる“こだいのはおう”は、地下10階のボスとして登場する。それまでのボスとは違い、圧倒的な攻撃力を持っているので、生半可なキャラクターでは倒せない。繰り返し挑戦して、何かしらの対策を立てる必要がある。もっとも、安定して“こだいのはおう”の元にたどり着くことがまず困難なのだが。

 “こだいのはおう”を倒せば物語は終わりになりそうだが、Buriedbornesはさらに深くダンジョンを潜っていく。その先にいったい何があるのかはわからないが、自らの意思によらず蘇らされたBuriedbornes達には、もはや目的と呼べるものはないのかもしれない。

“なきがら”のマスでは武具やスキルが得られる
新たな武具を手に入れ、キャラクターを成長させる
戦闘中は5つのスキルの中から行動を選ぶ
スキルも“なきがら”から入手が可能
宝箱。開ければ“ませき”などが手に入ることもあるが、罠もある
“こだいのはおう”を倒しても、Buriedbornesの歩みは止まらない

やり込みこそが本作の醍醐味

本作はとにかく簡単にやられる。何度もやり直すのが前提のゲームだ

 当初のプレイ目的が“こだいのはおう”の撃破であることは間違いないが、倒してからも冒険は続く。“ませき”を稼いで新たな職業を手に入れれば、今までになかった装備やスキルが登場し、新たな冒険が楽しめる。“こだいのはおう”の攻略方法も1つではなく、職業ごとに異なるアプローチが考えられる。“ませき”はダンジョンで倒されても、獲得した分はそのまま保持されるので、繰り返しプレイして貯めることが可能だ。

 何度もダンジョンに挑戦することによって得られるものは他にもある。ダンジョン内で稀に見つかる“まのけいやく(魔の契約)”を入手すると、新キャラクター作成時に“ませき”を支払うことで、特殊能力を1つ得た状態からゲームをスタートできる。また“ませき”を消費して、特殊アイテムを1つ持ち込むことも可能。うまく組み合わせれば、序盤を突破する確率を大幅に上げる助けになる。

 キャラクター作成の前に選べる“ラボ”では、ボスを倒すことで得られる“しのかけら”を消費することで、職業ごとに永続的な能力アップが得られる。どんな能力が付くかはランダムだが、これも繰り返しプレイすることで冒険が楽になっていく仕組みの1つだ。

 他にも実績要素が多彩にある。冒険の中で得られる武具の中には、固有の能力を持つ伝説の武具が存在する。銘入りなので一目見ればわかる上、大抵は強力な能力を持っている。一度入手した伝説の武具は図鑑にリストアップされていくので、コレクション要素として楽しめる。図鑑はスキルやモンスター、“まのけいやく”があるほか、特定の条件を満たすことで解放される“じっせき”も用意されている。

 その上の究極のやり込み要素となるのがスコアランキング。冒険中の行動はスコア化され、力尽きた時点での記録がハイスコアとなる。スコアランキングは他のプレイヤーとスコアを競うものだ。現状でも筆者と3桁違うほどのハイスコアが並んでいる上、到達階も数百階にもなっている。

 今からだと追いつくのは難しそうと思うかもしれないが、本作は現在もアップデートが実施され、新要素が次々と追加されている。直近だと10月26日にアップデートが予定されており、その後も計画が発表済みだ。新たな職業やスキルが追加されれば、それだけ冒険の幅も広がる。じっくり、のんびり遊ぶつもりでゲームをスタートしてみてほしい。

 プレイについて1点注意しておくと、セーブデータはローカルに保存されている。別のPCやスマートフォンでプレイしたい場合、いったんデータをサーバーに預けて別の端末へ移行させることはできる。送り元と送り先を間違えるとデータが消失するので、説明をよく読んで慎重に行っていただきたい。

 レトロなコマンドインターフェイスでローグライクなダンジョンRPGを表現する作品は、他にも似たものは存在する。しかし本作のシステムは表面的には極めてシンプルで、内部的には奥深く絶妙なバランスを保ち、世界観とも見事にマッチさせている。ローグライクゲームの中毒性は多くの人が知るものだが、シビアすぎて敷居が高いというイメージもある。本作はその敷居を表面的にぐっと下げ、その実、難易度は十分に高い。インターフェイスやサウンドを含め、全体としての完成度の高さは素晴らしい。

 ビジュアルやシステムの追加拡張は、今後もまだまだ余地がある。筆者がプレイした手ごたえでは、一昔前に流行った「Cookie Clicker」のように、多数のオマージュ作品が出てきそうな予感すらする名作だ。ただ、本作はシンプルだからこそいいというのも事実。素晴らしい作品だからこそ、公開当初のとっつきやすさを生かしたままで、更なる成長を見せてくれることを期待したい。

“ませき”を使って新たな職業を解放する
“まのけいやく”があれば、ゲームスタート時に能力を付与できる
1つだけだが特殊アイテムの持ち込みも可能
“ラボ”では職業ごとの能力を伸ばせる
ダンジョン内で稀に見つかる伝説の武具。特殊能力はどれも強力だ
伝説の武具はコレクション要素にもなっている
さまざまな職業で、プレイするたびに変わるダンジョンを攻略する
特定の条件を満たすと入手できる職業も存在する

ソフトウェア情報

「Buriedbornes」
【著作権者】
Nussygame
【対応OS】
Webブラウザー/iOS/Android
【ソフト種別】
フリーソフト(アイテム課金あり)
【バージョン】
1.2.2(16/10/05)