使ってわかるCopilot+ PC
第52回
「GIMP」+「Stable Diffusion」でNPUを使った画像生成 ~1枚約5秒で生成可能!
QualcommとIntel向けのプラグインが公開中
2025年7月18日 15:05
NPUで動かす「Stable Diffusion」
無料ながら高機能な画像編集・処理ソフト「GIMP」を使い、NPUを使って画像生成AI「Stable Diffusion」を動かせるプラグイン「Stable Diffusion plugin for GIMP」が公開されている。
本プラグインは「GIMP 2.99」用に作られたもので、「Stable Diffusion 1.5」を用いてテキストから画像を生成できる。「Snapdragon X」シリーズに搭載されたNPUを活用し、推論時間を短縮するのが特徴だ。公開されたのは約9カ月前になるようだが、NPUの活用事例としてはフォローしておきたい内容なので、使い方を含めてご紹介しよう。
なお筆者はテストしていないが、Intel製CPUに搭載されたNPUを利用する「OpenVINO AI Plugins for GIMP」もあるので、対象の環境をお持ちの方はお試しいただきたい。
インストール手順
本プラグインのインストール方法は、GitHubに書かれている。今回はこちらの手順に沿って進めていく。
最初にVisual C++ランタイムをインストールする。こちらからダウンロードし、実行する。
次に「GIMP 2.99」をインストールする。本プラグインは「GIMP 2.99.18」でテストしたとされており、そのバージョンを使用する。こちらからダウンロードし、実行する。
最後に本プラグインをインストールする。こちらから「wos-ai-plugins-v1.3-gimp-arm64.zip」のファイルをダウンロードして解凍し、その中にある「install_plugin.bat」を実行する。これは筆者の環境で数分かかった。
画像生成を試してみる
続いて使い方について。「GIMP 2.99」を起動し、[ファイル]-[新しい画像]と進んで新しい画像を作成。画像がない状態では本プラグインを使用できないため、下準備となる。
次に[レイヤー]の最下部に作成されている[Qualcomm AI Plugins]から[Stable Diffusion 1.5]を選ぶ。すると画像生成用のウインドウが表示される。
とりあえず画像生成を試してみたいなら、[Enter text to generate image]の項目に、生成したい画像の説明、すなわちプロンプトを入力する。日本語には対応しておらず生成できないようなので、英語で入力する。
プロンプトに『Surprised cat face floating in space』と入れてみると、概ね指示のイメージどおりの画像が生成された。画像サイズは512×512ドットで固定のようだ。
初期設定だと1枚だけ画像を生成するが、[Number of images]で指定した数だけ連続で画像を生成できる。生成にかかる時間は1枚で5秒程度となかなか高速。NPUもしっかり活用しているのが確認できた。
公開されたのが少し前ということもあってか、「Stable Diffusion 1.5」と古めのバージョンなので、生成画像のクオリティは今時のものとしてはそれほど高くはない。とはいえビデオメモリを搭載したGPUを必要とせず、それなりの速度でAI画像生成ができる姿を見ると、NPUの可能性は十分に感じられる。
試しに「GIMP」の最新版となる3.0.4でも試してみた。上記のbatファイルでは「GIMP 2.99」のプラグインフォルダにインストールされるため、「GIMP 3.0」のフォルダに丸ごと移動させてみたものの、「GIMP 3.0.4」のメニューに本プラグインが表示されなかった。現状では非公式な手順となるため、今回は諦めることにした。今後も開発の継続を期待したい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/