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JetBrains、「IntelliJ IDEA」の配布を一元化。有償・無償エディションの垣根をなくす

2025.3リリースから実施

同社のアナウンス

 チェコのJetBrainsは7月17日(現地時間)、統合開発環境「IntelliJ IDEA」のディストリビューション(配布)を一元化すると発表した。これまでは(基本的に)オープンソースの「Community Edition」と商用も可能な「Ultimate Edition」が分かれていたが、単一のインストーラーで提供されるようになる。

2025.3リリースから「Community Edition」と「Ultimate Edition」を統合

 この変更は、2025.3リリースから実施されるとのこと。統一ディストリビューションにはすべての機能が含まれており、サブスクリプションを購入していれば有償機能がアンロックされる仕組みになるという。

 これによるメリットは、ライセンスの有無によりディストリビューションを使い分ける必要がなくなったことだ。アップデートなどの管理も容易となる。

  • 「IntelliJ IDEA 2025.2」からライセンス周りをアップデート。「Ultimate」サブスクリプションが期限切れになると、無料版と同じ機能セットへ制限された状態でIDEにアクセスできるようになる
  • 「IntelliJ IDEA 2025.3」から「Community」版の単独配布は終了。単一の配布パッケージを利用する形態になり、アップデートも同じものを受け取る。「Community」版を利用中の場合は、パッチで統一版へ自動で移行される。「Ultimate」ユーザーにとっての変更は、IDEの名前が「Ultimate」なしの「IntelliJ IDEA」になるだけだ
  • バージョンの削減により、複数のディストリビューションをメンテナンスしなければならないことに起因する不具合を抑制
  • 教育現場での混乱を解消。「Ultimate」版は学生と教室での使用ならば常に無料だが、状況によってどのバージョンを用いるべきかは明確ではなかった
  • これまで「Ultimate」限定だった一部の機能が、プロプライエタリなまま無料で利用可能に。無償≒オープンソースという「Community」版の立場は、現状に合わなくなっていた
  • プレミアム機能へのアクセスが容易に。気軽に試し、必要でなくなれば無償版へ戻れる

 そのほかにも、「IntelliJ IDEA」のオープンソースビルドは作業の簡素化と透明性の向上のため、「GitHub Releases」に直接公開されるようになる。また、CI/CDパイプラインでも「GitHub Actions」が導入される。

 これにより、プロジェクトのフォークやビルド環境の構築が容易になるだろう。これらは単に「IntelliJ IDEA」を使うだけであれば影響のないことだが、「IntelliJ IDEA」のソースコードにアクセスし、改善に参加したいと願う開発者にとっては朗報となる。「Android Studio」などの派生製品の開発にもメリットがある。

 ただし、オープンソースビルドには「JetBrains」アカウントを用いたバックアップと同期、パッケージチェッカー、各種AI機能、CJK(日本語、韓国語、中国語)ローカライズ、「WSL」サポートなどが含まれない点には注意。「WSL」サポートを除くこれらの機能のほとんどは、「JetBrains Marketplace」で無料プラグインとして利用可能だ。