週末ゲーム

第666回

恐怖の世界へご案内。ホラーなゲーム特集

純粋な怖さや独特なシステム・グラフィックなどが印象的な4作を紹介

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回はホラーゲーム特集として、4作品を紹介する。思わず画面から目を背けたくなる純粋な恐怖を味わえる作品や、恐ろしさを感じながらも先を知りたくなる物語重視の作品などを集めた。

ローグライク×ホラーという新たな恐怖体験「RxHpsychosis」

「RxHpsychosis」

 本作の主人公は平凡な青年“明有”。ある日、おかしな服装をした謎の女の子“くれは”を見かける。明有はくれはを夢の中で見た覚えがあり、導かれるように彼女を追いかける。そこで突然、明有は気を失ってしまい、目を覚ますと、異形の存在がうごめく謎の世界に迷い込んでいた……。

 ゲームシステム上の特徴は、ホラーとローグライクというふたつのジャンルの組み合わせにあると言える。明有は、恐怖の存在が徘徊する謎の世界で、拾ったアイテムを駆使しながら敵を退け、世界の出口を求めさまようことになる。

 ゲーム内で扱うパラメーターのひとつである“電力”は、時間の経過とともに減っていき、減るごとに周囲を照らすライトが弱まり、視界が暗くなっていく。敵の存在が見えにくくなる実害と、視界が制限されることによって恐怖心が増す巧みなデザインとなっているのだ。

 また、ローグライクでありつつもターン制ではなくリアルタイム制のため、たとえば、探索中に恐ろしい敵を撃退する“スタンガン”を拾うも、怖くてうまく当てられず無駄使いしたり、周囲を明るくする“懐中電灯”を、恐怖感から必要以上に置きながら進んでしまう。頭ではわかるが、恐怖によって理性的に行動できない。ゲームシステムによって増幅されるそんな体験を、ぜひ味わってみてほしい。

明有とくれは、2人は不可思議な世界を探索することになる
思わず目を背けたくなる不気味な生物、逃げ切ることはできるだろうか?
「RxHpsychosis」
【著作権者】
れんたか 氏
【対応OS】
Windows
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.8(16/01/04)

少女は謎に満ちた屋敷に足を踏み入れる……「ファウストの悪夢」

「ファウストの悪夢」

 父親を亡くした少女“イリザベス”は、父が生前所有していた屋敷にやってきていた。彼女はそこで、不思議な格好をした紫色の悪魔に出会う。悪魔から逃げようとするイリザベスだが、屋敷の外に出るための扉が消えてしまっていた。そこで突然現れた黒い猫に導かれるように、狂気と謎に満ちた屋敷の中を探索することになるが……。

 本作の特徴は、狂気と幻想に満ちた世界観に沿った謎解きが用意されていること。謎解きに使用するアイテムは、屋敷の中のモノに対して使用する場合が多く、探索して入手したアイテムを、どこで、何に対して使うか?という楽しみが上手く作られている。謎解きには難しい内容も存在するが、ヒントの出し方として適切と感じるのものも多い。そのバランスから、自力で謎を解きたいと思わせてくれる難易度となっている。

 物語がわかりやすく語られるというよりは、プレイヤーがゲーム中で情報を集め、物語を組み立てる側面も強いものとなっている。美しくも恐怖が滲み出る世界の先には何が待つのか。ぜひクリアしてから、この物語はどういうことだったんだろう、と考えてみてほしい。

暗闇が覆う屋敷の中には謎が詰まっている
独特のタッチで描かれたキャラクターグラフィックも印象的。彼らはイリザベスとどのように関わるのか?
「ファウストの悪夢」
【著作権者】
白鼠ゲーム実験室
【対応OS】
Windows XP/7/8
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
1.07(16/02/16)

恐怖の空間と化した自宅を探索するワンマップホラー「モノルーム」

「モノルーム」

 このゲームの主人公は、新入社員の青年“アユム”。普段のように会社に出勤するべく外に出ようとするが、どうしてか部屋に戻ってきてしまう。アユムは記憶が曖昧になりながらも、何度も何度も部屋の外に出ようとする。そして、そのうちに部屋の様子が変貌していくことに気が付く。アユムの目の前に、謎の存在が現れるが……。

 本作の特徴は、探索の舞台が自分の部屋というワンマップだけでありながら、探索を終えて部屋を出るたびに、細かい部分が変化していくシステム。これによって探索に飽きが来ることなく、部屋を出て、戻ってきた時には何かが変わっているかもしれないという恐怖感により、プレイヤーも徐々に追い詰められていくホラー要素が魅力だ。

 作品のボリュームとしては1プレイ30分ほどでクリアできるものとなっており、またマルチエンディング制を採用しているのでエンディングを収集する楽しみもある。部屋の中がおぞましい光景に変わっていく純然たる恐怖を味わうホラーゲームを、一度味わってみてはいかがだろうか。

ここは本当に自分の部屋なのだろうか?じわじわと忍び寄る恐怖の演出が見事な作品だ
「モノルーム」
【著作権者】
まにぬ 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
2.03(17/01/07)

それは一通の手紙から始まった。掌編ホラーADV「Nevermore」

「Nevermore」

 「Nevermore」は、ある日、青年“ケイ”に届いた友人の手紙から物語が始まるホラーADV。手紙の内容は日常的な風景が描かれたものだが、最後に短く『兄に殺される。助けてくれ』と書かれていた。それを読んだケイは、急ぎ友人のアパートに向かう。しかし、そこには誰もいなかった。建物の中を探索するケイの目の前に待ち受けるものは……。

 ゲームシステムとしては、横スクロールのマップを探索するアドベンチャーとなる。アパートで見付けたアイテムを使用し、新たな部屋に入るなどして探索を進めていく。手に入れることができるアイテムは、光る目印があったりとわかりやすいものになっているため、探索の苦手な人でも楽しめるアドベンチャーゲームとなっている。

 本作における探索以外の面白さは、ストーリーの要素だろう。ケイに送付された謎の手紙の意味とは。そして、誰もいないアパートの秘密とは。ゲームを進めていく中の回想で描かれる物語などを含め、それらを読み解いていく楽しみがある。ボリュームとしては1プレイ15分ほどで、複数に分岐するエンディングを制覇しても1時間程度の短編となる。ハードなホラー演出も存在しないため、怖い作品が苦手な人も試してみてほしいゲームだ。

不気味なまでに静かなアパート。住んでいる人間はいるのだろうか?
そして変貌していく家の中を前に、ケイは……
「Nevermore」
【著作権者】
ゐおり野 氏
【対応OS】
Windows
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(15/03/30)