【第481回】
本格派フライトシミューレーター「Microsoft Flight」
青い空に白い雲、眼下に見える常夏ハワイ。空飛ぶ自由を楽しもう
(12/04/13)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、無料で遊べる本格派フライトシミュレーター「Microsoft Flight」を紹介しよう。
「Microsoft Flight Simulator」シリーズの無料版
「Microsoft Flight」はハワイ諸島を舞台とする、マイクロソフトによる本格的なフライトシミュレーターだ。そのバックグラウンドには20年にわたる歴史を誇る「Microsoft Flight Simulator(MSFS)」シリーズがあり、本作はそのスピンアウト作と言える存在だ。
本作は無料でダウンロードして遊ぶことができ、基本コンテツとしてはハワイ本島、2種の軽飛行機を収録している。オアフ島など、本島以外の島々や、個性的な航空機の数々は有料のダウンロードコンテンツ(DLC)として提供される。日本では“基本無料”、海外では“Play4Free”と言われているビジネスモデルにあたり、マイクロソフトとしてはわりと実験的なプロダクトでもある。
なお、DLCの利用やオンラインマルチプレイヤー機能にアクセスするためにはWindows Live ID、決済のためにはマイクロソフトポイントが必要だ。マイクロソフトポイントはオンラインのクレジットカード決済やプリペイドカードで購入でき、執筆時現在1マイクロソフトポイントは約1.4円相当。またWindows Live IDはXbox 360のXbox LIVE IDと共通なので、Xbox 360でゲームをプレイしている人なら同じアカウントでこれらの“LIVE”機能にアクセスし、マイクロソフトポイントも共用できる。
本作で楽しめるのは、ハワイ諸島(無料では本島のみ)上空でのフリーフライトから、航空機の飛行を遊びながら学べる各種ミッション、アクロバットなど各種のお題に挑戦するチャレンジ、“エアロキャッシュ”と呼ばれるハワイ各地に隠された名勝ポイントを探しだすモードなどとなっている。
収録されたハワイ諸島のグラフィックスは非常に綺麗で、この点では本家「MSFS」以上だ。賑やかな市街地、切り立った崖、森に囲まれた河川、島の中央にそびえる大火山など、ハワイ諸島の見どころが詳細に再現されている。ある程度PCのスペックは要求されるが、是非フルHD(1,920×1,080)以上の解像度でのプレイをオススメしたい。
初心者から上級者まで満足できる内容と洗練された操作性
本家の「MSFS」シリーズは非常に硬派な作りでハードルが高いのが難点だが、本作はより親しみやすいインターフェイスを備え、遊び方も整理されているためぐっと遊びやすくなっている。ユーザーフレンドリーなゲームソフト感覚なので、フライトシミュレーター初体験の人でもすんなりプレイできることうけあいだ。
第1の難関となる飛行機の操作には、マウス、ゲームパッド、フライトスティックにそれぞれ対応した方法が初めから設定されている。マウスとキーボードでもなかなか満足行く操作ができるし、ボタン配置などは序盤のミッションでチュートリアル式に学ぶことができるので、ほぼ誰でも空を飛び回る楽しさを体験できる作りだ。
筆者のオススメはXbox 360コントローラー(Windows対応版)でのプレイ。初めから完璧にスティックとボタンの機能が設定されているので、PCにつなぐだけという手軽さで飛行機を完全にコントロールできる。微妙な舵取りも自由自在で、一般的な操作が手元で全部完結するのでラクチンだ。もちろんフライトシムファンの上級者であれば、本家「MSFS」と同様にフライトスティック+各種デバイスで実機さながらの操作環境を構築できる。
シリーズ形式になっている各種の“ミッション”は、はじめに基本の操作方法、離陸、着陸、各種アクロバット機動……というふうに新しい要素を順次学べる作りになっていて、音声によるガイダンスも充実しているなど非常に親切なつくりだ。何をすればいいか、どのボタンを押せばいいかといった基本的な部分で決して迷わずに済むので、本家「MSFS」で挫折した経験のある人でも簡単に壁を超えられるはず。
各ミッションをクリアすると、飛行内容に応じて経験値を獲得できる。レベルが上がると、より上位のミッションがアンロックされる仕組みだ。上位ミッションでは特定の軌道を正確に飛んだり、視界不良の中で離着陸、あるいは乗客を運んだりといったさまざまな困難なシチュエーションが用意されており、獲得可能な経験値もより多くなってくる。このあたり、まさにゲーム仕立てだ。
経験値はミッションのほかに、よりアクロバティックなお題が用意された“チャレンジ”、各地に隠された名勝ポイントを探し出す“エアロキャッシュ・ハント”でも獲得できるので、自分の好きなコンテンツから順次プレイしてレベルを上げていくこともできる。こういった親切で贅沢なつくりは本家「MSFS」にはなかったものなので、すでに「MSFS」シリーズをプレイしてきている人もぜひ体験してみてほしい。
追加コンテンツでハワイ諸島全域+個性的な飛行機にチャレンジ
色々と親切なつくりの本作だが、無料で遊べる基本コンテンツはそれほど多くない。飛行可能地域はハワイ本島のみ、使用できる航空機は“ICON A5”(最新のライトスポーツエアクラフト)、“Boeing PT-17 Stearman”(第一次大戦時の初等練習機)の2機種のみと、無料で遊べるのはほんのさわりだけといった感触だ。
無料で遊べる範囲で本作を気に入ったら、有料の追加コンテンツで遊びの幅を拡げてみよう。まず、ハワイ諸島全域が飛行可能になる“Hawaiian Adventure Pack”が1,600マイクロソフトポイント。これを導入すると、オアフ島、マウイ島をはじめとするいくつもの島々や、そこを舞台とする多数のミッション・チャレンジなどがゲームに追加される。筆者はさっそく、真珠湾を飛び回ってみた。
追加の航空機は、まだ数は少ないが個性的なものが用意されている。筆者の場合、まず食指が動いてしまったのが“Mitsubishi A6M2”(零式艦上戦闘機)。560マイクロソフトポイントで購入できる。残念ながら本作では機銃を撃って何かを破壊することはできないが、現代の民間機とは全くテイストの違う機敏な運動性を楽しめた。陸・海それぞれの飛行隊カラーバリエーションが用意されているのも心憎い。
このほか、米戦闘機代表として“P-51D Mustang”が640マイクロソフトポイントで用意されているので、性能や飛行特性の違いを本作で確かめてみるのも面白そうだ。そのほかには“Maule M-7-260C Orion”という軽飛行機が1,200マイクロソフトポイントで用意されている。やたら高いのは、米国ではメジャーな自家用機だからだろうか?
というわけで現在のところ用意されているDLCはそれほど多くないが、本作の人気が高まればさらに色々とコンテンツが追加されることになるだろう。ハワイ諸島の美しい景観を眺めながら、自由に空を飛び回る。そんな体験に関心のある人なら本作を要チェックだ。
- 【著作権者】
- Microsoft Corporation
- 【対応OS】
- Windows XP SP3以降
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0.1.30023