新Windows 10が配信中!新機能と改善点をおさらい
第7回ユーザーインターフェイスは使い勝手が向上、その他にも注目すべき機能改善が
高DPIモニターのサポート拡充で古いアプリケーションが蘇る
2017年5月9日 06:00
「Windows 10 Creators Update(バージョン 1703)」の新機能を紹介する本特集。最終回となる今回は、ユーザーインターフェイスの改善と、小粒だが便利な新機能・既存機能の強化を取り上げる。
[スタート]画面はよりシンプルに
まずは、利用頻度の高い[スタート]画面から見ていこう。「Creators Update」ではよりシンプルな[スタート]画面が導入され、「Anniversary Update」までの[スタート]画面と切り替えて利用できるようになった。
新しい[スタート]画面は、「設定」アプリの[個人用設定]-[スタート]セクションにある[スタート メニューにアプリの一覧を表示する]オプションを無効化すると利用可能。[スタート]画面のハンバーガーメニューの下に2つのボタンが追加され、“タイル”と“アプリの一覧”を切り替えられるようになる。どうしても“タイル”に馴染めないユーザーにとっては、「Windows 7」を彷彿とさせる“アプリの一覧”の方が親しみやすいかもしれない。
なお、“アプリの一覧”を初期設定にするオプションは用意されていない。希望する場合は「フィードバック Hub」で要望を送ってみるとよいだろう
また、複数の“タイル”をフォルダーへまとめられるようになったのも「Creators Update」における改善点の一つ。「Windows 10 Mobile」ではお馴染みの機能で、限られたスペースで“タイル”へのアクセスを確保するのに有用だ。マウス操作が中心のデスクトップ端末ではあまり恩恵が感じられないかもしれないが、スマートフォンと同様、タッチ操作が中心となるタブレット端末ではありがたい。
[共有]画面は使いやすく
そしてもう一つ大きな変更が[共有]画面のデザイン変更だ。
「Anniversary Update」までの[共有]画面は「Windows 8」時代に使われていたサイドパネル[チャーム]のデザインを引きずっており、特にスクリーンの大きなデスクトップ端末ではマウスカーソルの移動距離が長くなりがちで、操作性に難があった。
しかし、「Creators Update」の[共有]画面はスクリーンの中心に表示されるため、マウス操作でも使いやすくなっている。また、[共有]アイコンも刷新され、よりわかりやすいものになっている。
「コントロール パネル」から「設定」アプリへ
また、「設定」アプリの充実も見逃せない。「Windows 10」の機能拡充に伴い[ゲーム]などのセクションが追加されたことはすでに紹介したが、それ以外にもさまざまな改善が施された。[Windows]+[X]メニューから「コントロール パネル」へのアクセスが削除されたことからも、「設定」アプリで「コントロール パネル」をほぼ代用できるようになったとMicrosoftが自信を持っていることがうかがえる。
まず、[システム]セクションでは[ディスプレイ]の使い勝手が向上。詳細設定を開かなくても、解像度の変更が行えるようになった。ブルーライトをカットする[夜間モード]も、ここで有効化することが可能だ。
一方、これまで[システム]セクションに配置されていた[アプリと機能]は、独立した[アプリ]セクションとなった。[既定のアプリ]なども、ここでカスタマイズできるようになっている。
また、[デバイス]セクションではBluetooth機器がリストアップされるようになった。デバイスの種類に応じてカテゴリ分けされるようになったのも細かいながら有用な改善だ。
先に紹介した[スタート]画面などのカスタマイズを行う[個人用設定]セクションでは[テーマ]機能が拡充され、「コントロール パネル」で行えたことがほぼここだけで行えるようになった。テーマカラーをより柔軟に選択できるようになった点や、「ストア」からテーマを入手できるようになった点も大きな変更点と言えるだろう。
高DPIモニターへの対応
「Windows 10」では高DPIモニターのサポートを継続的に強化しているが、開発者がアプリケーションをバージョンアップさせないとその恩恵を受けることができない。しかし、「Creators Update」ではDPIスケーリングの動作をユーザー側で上書きする機能が追加されており、メンテナンスされていないアプリケーションでも恩恵が受けられる。
DPIスケーリングの動作を上書きするには、まず実行ファイル(またはショートカットファイル)のプロパティを開き、[互換性]タブへ切り替える。次に、[設定]セクションに[高い DPI スケールの動作を上書きします]というオプションがあるはずなので、これを有効化しよう。すると、スケーリングの動作をプルダウンメニューから選択できるようになる。
「Creators Update」で選択できるモードは、“アプリケーション”“システム”“システム(拡張)”の3つ。
“アプリケーション”は、DPIスケーリング処理をアプリケーションに任せるモードで、これまでの[高 DPI 設定では画面のスケーリングを無効にする]オプションと同じ動作となる。たとえば「TeraPad」の場合、画面はクッキリと表示されるが、ツールバーのアイコンが小さいままで、マウスでの操作が難しくなっている。
“システム”は、DPIスケーリング処理をOSに任せるモードだ。「TeraPad」の場合、ツールバーのアイコンも適切に拡大されるが、画面(特にメニューバー)はボンヤリとした表示になる。
“システム(拡張)”は「Creators Update」で追加されたスケーリングモードで、画面を適切に拡大表示しつつ、テキストをクッキリとレンダリングすることが可能。このスケーリングモードは「Microsoft 管理コンソール」(「コンピューターの管理」や「ディスクの管理」などに使われるインターフェイス)でも利用されている。新旧を比べてみれば、結果は一目瞭然だ。
ただし、これが効果的なのはGDIベースのアプリのみとなっている。アプリによっては“アプリケーション”や“システム”の方がよい結果が得られることもある。
そのほかにも、「Internet Explorer」やデスクトップのアイコンなど、さまざまなところで高DPI対応が図られている。既存アプリケーションの“Per-monitor DPI awareness V2”への対応などにも期待したい。
そのほかの気になる改善 ~そして“Windows as a Service”
まだまだ「Creators Update」の改善点は尽きないが、最後に筆者が気になった改善を紹介して本連載の締めとしたい。
まず、既定のコマンドシェルが「コマンド プロンプト」から「PowerShell」となった。
とはいえ、[Windows]+[X]メニューや、「エクスプローラー」の[Shift]キー+右クリックメニューからアクセスできるシェルが「PowerShell」になったというだけで、「コマンド プロンプト」が利用できなくなったわけではないし、「コマンド プロンプト」へ戻すのも簡単だ。「コマンド プロンプト」がすぐにシステムから一掃されることは考えにくく、これからも「コマンド プロンプト」は使われ続けるだろう。
しかし、今後Windowsで主流になるのはあくまでも「PowerShell」だ。今回の変更は、そうしたMicrosoftのメッセージを反映したものと言えるだろう。
また、コマンドシェル関連でいえば、管理者権限なしでシンボリックリンクが作成できるようになったのは歓迎すべき変更と言えるだろう。あくまで開発者向けという立ち位置のようだが、シンボリックリンクを扱う場面の多いユーザーにはありがたい。
「Creators Update」では、このようにさまざまな改善が施されているが、これらの多くはユーザーのフィードバックに基づくものだ。もし日ごろWindowsに不満に感じているところがあれば、「フィードバック Hub」アプリから意見を投稿してみるとよいだろう。もしかすると、「レジストリ エディター」へアドレスバーが追加されたように、「もはやメンテナンスされていないからフィードバックを送っても無駄だろう」と思っていた部分にも改善が加えられるかもしれない。
こうしたことは「Windows 8」時代にはあまり考えられなかったことだが、常に進歩を続ける「Windows 10」ならば不可能なことではない。まだまだ課題は少なくないが、今後の“Windows as a Service”の進展に期待したいところだ。