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AI好きの仲間に出会える渋谷の「文化祭」に進化! 2026年の「AIフェスティバル」は“見に行く”ではなく“参加して交流”したい
AIゲーム機から10分トーク、飛び入り歓迎のラウンドテーブルまで、今年の見どころをサードウェーブ・西川典孝氏と清水亮氏に訊く
2026年10月23日 12:00
2026年11月7日、東京・渋谷のベルサール渋谷ファーストで「AIフェスティバル 2026 Powered by THIRDWAVE」(以下、AIフェスティバル)が開催される。AIを使った作品や技術に触れ、ハッカソンの真剣勝負も観戦できるイベントで、今回が4回目。入場は昨年に続いて無料で、原則としてドスパラ会員登録が必要となる。
今年は「見る」イベントから「参加する」イベントへと、さらに踏み込んでいる。秋葉原から渋谷に会場を移し、「AIクリエイターズマーケット」を大幅に拡大するほか、「AIゲーム」コーナーや「AIライトニングトーク」、「AIラウンドテーブル」を新設する一方、メインステージは一体感を重視したサイズに変更する。狙いは、来場者と出展者、登壇者が気軽に言葉を交わし、同じ興味を持つ人とつながれる空間を作ることだ。
本稿では、主催する株式会社サードウェーブ 上席執行役員の西川典孝氏と、企画を手がけるAIストラテジースペシャリストの清水亮氏に、今年の見どころを聞いた。


「AIフェスティバル」は参加者が主役のイベントへ
「AIをもっと身近に、もっと楽しく」を掲げるAIフェスティバルには、AIクリエイターやプログラマー、研究者、企業、学生、同人サークルなどが集まる。「創る・語る・競う・つながる」という4つのテーマを軸に、ハッカソンやアートグランプリ、クリエイターズマーケットなどへ企画を広げてきた。
「生成AIによって、作るという行為の裾野はかつてないほど広がっています。AIを使う人同士が顔を合わせ、技術や作品について語り、時には競うことで、日本のAIクリエイターコミュニティ全体を盛り上げたいと考えています」(西川氏)

昨年は入場を無料にしたことで、学生や家族連れなど来場者の幅が広がった。西川氏は、AIフェスティバルが専門家向けの催しではなく、「AIに興味を持つすべての人の入り口」になってきたと手応えを語った。今年はさらに交流を前面に出し、その場で仲間ができ、次の活動につながる場を目指すという。
会場を秋葉原から渋谷へ移した背景には、これまでの会場の課題もあった。秋葉原では地下と2階の2フロアに分かれ、別フロアに気づかずに帰る来場者もいたのだという。渋谷では同等の広さを1フロアにまとめ、会場全体の熱気を共有しやすく、出展者や来場者同士も行き来しやすくなる。
「AIはもう一部の人たちだけのものではなく、誰もが使う時代になりました。だからこそ、出す側も見る側もフラットに参加できるイベントにしたかった。みんなのAIなんです」(清水氏)

今年は著名人を招く従来型の講演をなくし、新たに一般公募の参加者が登壇する「AIライトニングトーク」を設ける。スピーカーと聴講者の境目をなくし、壇上の⼈を眺める構図から、来場者⾃⾝が主役になる構成に切り替える。昨年のハッカソンでは参加者同士が翌年のチームを組む動きもあり、そうした出会いを会場全体へ広げたいという。
約3倍に広がる「AIクリエイターズマーケット」、初参加の70代も

交流の中心になりそうなのが、昨年より始まった「AIクリエイターズマーケット」だ。AIに関する同人誌やグッズ、アート、ソフト、ロボットなどを展示・販売できる場で、今年は出展スペースを昨年の約3倍に広げる。
「昨年は30サークルの枠を超える応募があり、当日の欠席はゼロでした。自分たちの作品を出し、机を並べて交流できる場はなかなかないので、もっとやってほしいという声もいただきました」(西川氏)
昨年から続けて参加するクリエイターや企業も多い。生成AIを使った映像制作やマンガ制作アプリの開発に取り組むPuri Princeは、昨年の企業ブースに続いて今年はクリエイターズマーケットに参加する予定で、AIを使った創作の広がりを間近で見られそうだ。
出展者リストを見ていくと、真面目な研究から思わず笑ってしまう遊びまで振れ幅が大きい。
例えば「東大AI研究会」が持ち込むのは、机の上の建物や公園を自分の手で動かして未来の街を作る体験型の展示だ。模型を動かすとデジタル上の都市も連動して変化し、風や日陰、暑さ、人の流れまでシミュレーションされる。
街の評価を担当するのもAIだ。4つのAIがそれぞれ異なる立場から街を見て意見を出すため、公園を増やせば全員が喜ぶ、といった単純な話にはならない。東京大学の学部1、2年生を中心とする学生団体が、AIを使って「正解が一つではない街づくり」を触って遊べる形にしている。
ぐっと肩の力が抜けるのが「THE BŌ|世界棒鑑定局」だ。道端で拾った「いい感じの棒」をAI鑑定官が材質や輪郭、風化などから大真面目に査定し、漢字の二つ名や必殺技、能力値まで付けたトレーディングカードにしてしまう。ただの枝が「神殺しの槍」になることもあれば、「近所の柴犬の忘れ物」で終わることもあるという、生成AIの無駄遣いを全力で楽しむような作品だ。
さらに、ウエハラケンイチ氏は、AI美少女アバター「ワープちゃん」と会話できる装置を展示する。音声合成AIと空中結像プレート「ASKA3D」を組み合わせ、ディスプレイの中ではなく、何もない空間に浮かんで見えるキャラクターへそのまま話しかけられる仕組みだ。アプリからディスプレイ筐体まで自作しており、AIとの会話を画面の外へ連れ出したような体験ができる。
ほかにも、初参加となる70代の女性を中心とするグループ「ゴールデン街キョウコ's」が、AIと組んだ人生相談を企画している。ハッカソンの抽選に外れたことをきっかけにマーケットへ応募し、中古PCを買い、ChatGPTに「ルルちゃん」と名前を付けて、コンピューターに詳しくない仲間と毎週準備を進めているという。
「昔のマイコンの世界みたいに、まだ手探りの人たちが集まって、訳の分からないものを生み出していく。そういう夢いっぱいの感じが、このイベントの面白さだと思います」(清水氏)


祖父と孫コンビも挑戦する「全日本AIハッカソン」、決勝は来場者も観戦可能に

その場で発表されるテーマに挑む「全日本AIハッカソン」は、2人1組でAIを使い、体験できる作品を作る。制限時間は3時間だ。今年はオンライン3回、オフライン3回の計6回の予選と敗者復活戦を経て、20チームが11月7日の決勝に進む。
自然言語でAIに指示しながらプログラムを作る「バイブコーディング」が広がり、参加者の顔ぶれも変わってきたという。昨年設けたビギナー部門はなくし、初心者も経験者も同じ条件で競うようにした。清水氏によると、予選では毎回7割ほどが初参加で、医師や主婦といったプログラミングを本業としない人も多いそう。
「今年は、おじいちゃんと小学生のお孫さんが参加したり、高校生のペアが3位になったりしています。以前より幅広い人が挑戦してくれるようになり、完成した作品を提出するチームもかなり増えました」(西川氏)

今年は地方から参加しやすいようオンライン予選を積極的に取り入れた。オンライン3回の応募は47チーム、58チーム、70チームと回を追うごとに増えている。ちなみに筆者も応募したのだが、残念ながら落選してしまった。
複数回の予選を開催した理由は、生成AIそのものの進化が速く、数カ月違うだけで作れるものが変わるためだ。そこで予選を一度で終わらせず、複数回挑戦できる形にしたという。

「AIの進化が速いので、毎回違う時代のハッカソンをやっているようなものなんです。半年前なら作れなかったものが出てくるので、その時々のAIをどう使うかも勝負になります」(清水氏)
清水氏は、この大会を単なる技術競技ではなく、AIがホビーになっていく場とも捉えている。大人も子どもも同じルールで競え、勝敗が付くから楽しい。そして「勝てば実力、負ければ運」と気軽にチャレンジできるからこそ「もう一回やりたい」と思える。AIを使って何かを作ること自体を趣味として楽しむ人が増え、今年は目指していた形にかなり近づいたという。
決勝では、一昨年の大阪大会を制し、昨年は全国優勝したチームが連覇を狙う。過去の上位勢が敗れ、初挑戦の若い参加者が勝ち上がることもあり、清水氏は「昨年の優勝チームが何を作るのか、僕がどんなテーマで彼らを困らせるのか。もう勝負は始まっています」と笑う。

当日は一般来場者もハッカソン決勝を観戦できるようにする予定だ。完成した作品だけでなく、限られた時間の中で何を考え、どう形にしていくのかという制作の過程も見どころになる。
その場でAIが動くゲーム機で、遊びながら最先端技術に触れる

今年の新企画の中でも、ひときわ異色なのが「AIゲーム」コーナーだ。
企画づくりには清水氏も深く関わっており、取材時点では5台ほどのゲーム機を用意する計画で、特殊筐体やカメラ、マイクなどを使ったさまざまな遊び方を検討している。
特徴は、AIで作ったゲームを展示するのではなく、プレイ中にAIそのものが動くことだ。写真を撮るとAIがひたすら褒めたり、そこから物語を作ったりするプリントシール機のほか、大規模言語モデルがその場でプログラムを書いてゲーム自体を変化させる仕組みや、ロボットと組み合わせたゲームなどが候補に挙がっている。
「AIで作ったゲームを展示するのではなく、その場でAIが動いているんですよ。そこがミソなんです」(清水氏)

ゲームの内容は取材時点でも開発中だ。AIの進化が速いため、早々に内容を固定せず、直前まで新しい技術を取り込みたいという。
清水氏にとって、かつてのゲームセンターは楽しみながら最先端技術に触れられる場所だった。仕組みがわからなくても、見たことのない映像や動きに驚き、自分で遊べばさらに面白い。AIについても仕事を効率化する道具として説明するだけでなく、「こんな面白いことまでできるのか」と遊びながら体験し、身近に感じてもらえる場所を目指している。
「僕はゲームを『創造力の拡張装置』だと思っています。映画やマンガでは主人公の体験を見ますが、ゲームだけは自分で操作するので自分の記憶になるんです。そこにAIを組み合わせて、自分が主人公になり、次に何が起きるのかワクワクできる体験を作りたいんです」(清水氏)
10分トークをきっかけに、今度はテーブルを囲んで話す
AIにまつわる活動や考えを短時間で紹介する新企画「AIライトニングトーク」

「AIライトニングトーク」は、AIにまつわる活動や考えを短時間で紹介する新企画だ。
取材時点では15人まで登壇者が決まっており、持ち時間は1人10分。「ビジネス&サービス」「イノベーション」「テクノロジー」の3つのトラックに分かれ、「定年5年前、AI始めました」「小学校2年生の子どもはAIを使って何ができるのか。観察と研究の記録」「ドラクエ攻略AI 28万行動を47章に」といったトークテーマが並ぶ。仕事でのAI活用や、子どもがAIでマインクラフトをプログラミングし直した話、ハッカソンの体験談など、内容は幅広い。AIで物語を作る仕組みを研究する人や、ひたすら可愛いものを作り続ける人も登壇する予定だ。専門家だけを選ぶのではなく、一般公募で多様な人に話してもらうことを重視したという。
「ライトニングトークは自己紹介をする場所なんです。大勢がいるイベントで知らない人に話しかけるのは難しいけれど、先に自分のことを話しておけば、「面白かったです」と声をかけてもらえる。登壇する名誉より、友達ができるきっかけを大事にしています」(清水氏)

聞く側は、ふらりと立ち寄って座って聞くだけでもよい。そこで気になった人がいれば、その後に話しかける理由ができる。話す人だけでなく、聞く人も交流のきっかけを得られる仕掛けだ。
モデレーターと参加者が同じテーブルを囲み、一つのテーマについて意見を交わす新企画「AIラウンドテーブル」

さらに、決まったテーマについてその場で意見を交わしたい人向けのための新企画「AIラウンドテーブル」も用意する。
こちらは、モデレーターと参加者が同じテーブルを囲み、一つのテーマについて約60分の時間の中で意見を交わす形式で、1テーブル4、5人程度を想定。来場者は当日その場で自由に加われ、周囲から立ち見で参加してもよい。清水氏は約24年前にゲーム開発者向けカンファレンスの「CEDEC」でラウンドテーブルを担当した経験があり、AIフェスティバルでも気軽に議論へ加わる文化を根付かせたいと考えている。
検討中のテーマには「非エンジニアとAI」「あなたが選ぶたった一つのかわいい」「AIで作るクリエイティブをあなたは誰に評価されたいか」などがある。清水氏自身がモデレーターを務め、「AIゲームセンター」構想について語るテーブルも予定されている。特定のAIツールの操作方法を教わる講座ではなく、答えが一つではないテーマについて、興味を持つ人同士で考えを持ち寄る場だ。
「いろいろなテーマについて、さまざまな意見があってもいい場です。テーブルに座らなくても、まず周りからのぞいてみてください」(西川氏)

「第五回 AIアートグランプリ」は4部門、物理世界に出る作品も対象に

AIフェスティバルの原点の一つである「AIアートグランプリ」も第五回を迎える。
今年のテーマは「調和」で、会場では結果発表と授賞式を行う。応募者数は昨年から大きく増え、AIで生まれる表現の広がりに合わせて部門構成も見直された。
部門は「静止画」「エンタテインメント」「フィジカル」「技術革新」の4つ。映像やゲーム、マンガをエンタテインメントとして扱い、ロボットやインスタレーションなど現実空間に現れる作品はフィジカル、創作を支えるツールや技術は技術革新として評価する。

「AIで作れるものが、ほとんどノンジャンルになってきています。昨年は動画をショートと長編に分けていましたが、その中間も増え、従来の分け方では収まりにくくなりました」(清水氏)
生成画像だけを想像していると、今年はかなり幅広い作品に出会えそうだ。完成品の出来だけでなく、作り手がAIを何に使い、どんな表現へ広げたのかにも注目したい。
「AIの文化祭」で、一日遊び、話し、次の一歩を見つける
マーケットを歩き、ゲームで遊び、トークを聞き、気になるテーマがあればラウンドテーブルに加わる。今年のAIフェスティバルは会場入口のホワイエで飲⾷もできるようにする予定で、一日を通して滞在しやすくする。普段は仕事でしかAIを使わない人から、まだ触ったことがない人まで楽しめるように企画されている。
「最先端のAI技術を使っている方はもちろん、仕事でChatGPTに聞くぐらいの方から、まだAIを使ったことがない方まで来てほしいです。子どもや家族連れも大歓迎です」(西川氏)

清水氏は、このプロジェクトについて毎年「参加した人全員をスターにすることが目的」と話している。その言葉を象徴するような出来事も生まれている。昨年のクリエイターズマーケットでは、大曽根宏幸氏が個人で購入した人型ロボットとApple Vision Proを組み合わせ、人間とロボットがエアホッケーで対戦するユニークな展示を披露していた。
その大曽根氏は今年、東京で開かれたヒューマノイド格闘大会で優勝し、そのままサンフランシスコの世界大会も制した。昨年は会場の一角で異彩を放っていた出展者が、1年後には世界大会で優勝したわけだ。参加者の挑戦がイベントの外へ飛び出し、次の舞台につながっていくような物語が実際に生まれていることも、AIフェスティバルの面白さだ。
「発表する人も、出展する人も、ハッカソンで優勝を狙う人も、全員がスターになっていく場所にしたい。遊びに来た人にも出会いや発見を持ち帰ってもらって、次に何かを作るきっかけにしてほしいですね」(清水氏)

西川氏は、SNSでAIフェスティバルを「AIの文化祭」と表現する投稿を見かけ、今年のイベントにぴったりだと感じたという。作品を発表する人だけでなく、ゲームで遊ぶ人、トークを聞く人、ラウンドテーブルで話す人まで、それぞれが参加者として同じ一日を作っていく。
「今回は『見に来てください』というより『参加して交流してください』という気持ちです。ハッカソンの真剣勝負を観戦したり、ゲームを体験したり、ラウンドテーブルで話したりと、いろいろな楽しみ方があります。ぜひ気軽に遊びに来てください」(西川氏)
AIに詳しくなくても、発表する作品を持っていなくても問題なし。興味のあるもの、面白そうなものをのぞき、誰かの話を聞き、会話に参加し、気になれば自分でも触ってみる。その一日で出会った人やアイデアをきっかけに、次は自分が何かを作る側に回るかもしれない。そうした人のつながりと挑戦が次々に生まれる場所が、今年のAIフェスティバルが目指す「AIの文化祭」なのだ。
AIに少しでも興味があるなら、2026年11月7日、ぜひ渋谷に来てみることをおすすめする。






















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