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「Google Chrome 87」が安定版に ~タブスロットリングやオクルージョントラッキングで高速化
新しいタブ検索、オムニボックスから「Chrome」機能の実行などもサポートへ
2020年11月18日 09:00
米Googleは11月17日(現地時間)、デスクトップ向け「Google Chrome」の最新安定版v87.0.4280.66を公開した。メジャーバージョンアップとなる「Chrome 87」ではタブスロットリングやオクルージョントラッキング、バック・フォワードキャッシュといった高速化技術が導入されており、起動の高速化・読み込み時間の短縮・バッテリー消費の低下といったメリットが得られる。
タブスロットリング(Tab throttling)は、アクティブでないタブ(バックグラウンドタブ)が消費するリソースを抑える技術。同社の調査によると、バックグラウンドタブで行われる処理の40%以上をJavaScriptのタイマーが占めており、内部調査によると、この頻度を1分に1回へ調整することで、音楽の再生や通知といった機能を損なうことなくCPU使用率を最大5倍にまで抑え、バッテリー持続時間は1.25倍にまで伸ばすことができるという。
一方、オクルージョントラッキング(Occlusion Tracking)はウィンドウの重なりを追跡する技術だ。ウィンドウが最小化されていなくても、他のウィンドウの下に隠れて実際には表示されていない場合は消費リソースを抑えて最適化する。Chrome OSとmacOSにはすでに導入されている技術だが、これをWindowsにも導入することで起動時間を最大25%、ページの読み込み速度を7%改善できるという。メモリ使用量の削減も期待できる。
これらの改善は「Chrome 87」で実験的に導入され、「Chrome 88」でデフォルト有効化されるようだ。
最後のバック・フォワードキャッシュは、Android版で段階的にロールアウトされる。モバイルデバイスでは戻る・進むのナビゲーションがよく使われるため、それらをキャッシュしておけば表示速度の改善が見込める。
そのほかにも、開いているタブ(他のウィンドウのものも含む)をプルダウンメニューで表示し、検索する機能がChrome OSを皮切りに提供されるとのこと。アドレスバー(オムニボックス)から「Chrome」の機能を検索して実行する機能や、閲覧を中断したページをカードにして新規タブへ表示する機能なども導入されるという。
開発者向け機能としては、カメラへアクセスしてパンやチルト、ズームをコントロールするAPIや“Service Worker”による“HTTP range requests”がサポートされる。また、“Font access API”が“Origin Trial”で試験提供される。また、全ユーザーの50%でFTPサポートが既定で無効化される点にも注意したい。「Chrome 88」でFTPは完全に無効化される。
本バージョンおける脆弱性の修正は全部で33件。このうちCVE番号が公表されているのは23件で、深刻度の内訳は“High”が10件、“Medium”が11件、“Low”が2件となっている。そのほかにも、内部監査やファジングで発見された不具合も修正されているとのこと。
デスクトップ向け「Google Chrome」はWindows/Mac/Linuxに対応しており、現在、同社のWebサイトから無償でダウンロード可能。Windows版は、64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10に対応する。すでにインストールされている場合は自動で更新されるが、設定画面(chrome://settings/help)から手動でアップデートすることもできる。